ガム星雲は、おおいぬ座から南東に10度ほど南下したところにある大きな散光星雲です。「ガム」という通称は、この星雲の発見者であるオーストラリアの天文学者の名前からつけられました。この散光星雲は標準レンズでも収まらないほどの大きさに広がっており、上の写真もガム星雲の一部を捕らえたものにすぎません。南半球からは、天頂高く見えるので比較的狙いやすい対象ですが、日本からは地平線低くにしか見えないので、撮影するのが難しい対象です。また、NGC2477というのは写真の左隅に写っている球状星団のような散開星団です。こちらは小型の双眼鏡で楽々見えるので覗いてみてはいかがでしょう。
私はマイナー目な対象が好きなので、この領域は以前から何度か狙っていました。ですが低空の上に淡いため、なかなか上手くとらえられずにいました。今回は大気状態と光学系、それにフィルムと露出時間を細かく調整して、なんとか写し出すことができました。写真からは、白鳥座の網状星雲を彷佛させるようなフィラメント構造が見てとれ、赴き深いものです。
一度南半球に行って、ガム星雲の全体像をとらえたいものです。今度の2大彗星観測で南半球に行かれる予定の方は、この領域にも目を向けてみられてはいかがでしょう。
撮影条件
NFD400mmF2.8+ペンタ67にて撮影
EM-200赤道儀 BORG76ED+STVにて自動ガイド
露出17分 エクタロームE200(+1増感)
撮影地:奈良県上北山村付近
2004年2月18日撮影
月刊天文入選作品
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