フォルティア使用レポート


 富士フイルムから限定発売されているポジフィルム「fortia」。高彩度で鮮やかな発色が売りのフィルムです。ネイチャーフォトグラファーからは大人気のようですが、「天体写真としての適正はどうなのか?」ということで、今回テスト撮影を行ってみました。

 少し前の天文誌にテスト結果が載っていましたが、同じような波長で光っている白鳥座付近の星雲では、フィルムの特性がわかりにくいと思って、いろいろな色彩が混じっているぎょしゃ座の散光星雲を今回のテスト撮影に選びました。

fortia
 上の写真は、フォルティアを使って60分露出で撮影し、+1.5増感現像したものに画像処理を施したものです。この写真だけ見るとHII領域の写りが良好なことが認められ、なかなか良さそうにも見えます。しかし、実際のポジ原板の発色はかなり緑色に被っていました。

 下にポジをスキャンした画像を載せてみました。実際ポジを見た感じに近いと思います。ここからグリーンを引き、少々画像処理したものが上の写真というわけです。現像上がりのポジを最初見たときには、鮮やかな緑色をしており「なんだこれ?」と思ってしまいました(笑)。

撮影データ NFD400F2.8+67 fortia(+1 1/2増感) 60分露出

fortia raw data
 このフィルムはグリーン感度がかなり高いようで、天文誌にもあったように光害に対する発色が良すぎるようです。全くの無光害地で撮影できれば、良好な結果が得られるかもしれませんが、この日本では不可能に近いことです。

 Hα光の感度は上の写真からも案外高いことが認められます。ですので赤い散光星雲の写りは良好です。それだけにこのグリーン被りが残念でなりません。またかなり硬調のフィルムですので、増感すると著しく粒状性が悪化しました。ISO50ということを考えると+2増感はしたいところですので、この面でも苦しいところです。

 明るい光学系にフィルターワークを駆使して、天体写真になんとか使えるかどうかというフィルムだと思いました。私の個人的な結論としては「天体写真には使えないなぁ」というのが感想でした。

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