ミヤウチBj-100RBの使用レポート

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Bj100RB

この双眼鏡は、淡く広がる星雲・星団観望用の機材として購入しました。宮内光学は1990年頃に、初期型である接眼部が45度傾斜したBj−100iAを販売し、天体ファンから注目を集めました。その後、天文専用として90度傾斜型のこの双眼鏡が発売されることになります(宮内の社長曰く45度は野鳥観察用だそうです)。今ではこれのフローライト版Bj−100RBFも登場しています。現在この機種はレンズ材の在庫限りの限定販売だそうです。

この双眼鏡、対物レンズは10センチの3群4枚構成のセミアポクロマート仕様(全面マルチコート)となっています。レンズの焦点距離は515mmで口径比は1:5.2となっています。標準では20倍のアイピースが付属しますが、私の場合は社長のご好意で26倍のアイピースを付けていただき使用しています。20倍に比べて26倍の方が色収差や像の湾曲が少ないそうです(アイピースは交換可能です)。

実際に覗いた印象は、色消しレンズを使っていないので少し輝星に青ハロはつきますが、それほど気になりません(ただ昼間、電線などを見るとやはり収差はわかります)。星像も少し肥大傾向はありますが、シャープな望遠鏡と見比べないとわからないレベルだと思います。視野周辺の星像の崩れはほとんどありません。最周辺部で少し湾曲傾向があるくらいです。周辺減光は昼間の景色を見るとやや気になりますが(下の写真を参照)、対象が暗い星空観望ではそれほど気になりません。
実際覗いた時のコントラストは、とても高いものです。ぼんやりとした星雲もこの双眼鏡で見るとハッキリと見ることができます。両眼による立体感と相まってすばらしいものです。これらは特筆すべき点だと思います。

また覗いた時の視野の印象ですが、私の場合は26倍の広視野アイピース(見掛け視界約64度)を使っているので、なかなか広くて快適です。宮内のこのモデルは「視界が窮屈な印象がある」と言われる方がいらっしゃいますが、標準仕様の20倍アイピース(見掛け視界50度)を使っているからではないかな、と個人的に思います。もし買われるのでしたら26倍仕様をおすすめします。瞳径は20倍(5.0mm)使用時より小さくなり、相対的な明るさは若干下がってしまいますが、星雲などの観望にはこのくらいの瞳径(26倍で3.8mm)がコントラスト上がり良く見えると思います。
ただアイレリーフは20倍アイピースの方が長いようです(26mmくらいあります)。メガネをかけて観望される方は、覗いてみて確認された方がよいと思います。37倍の交換用アイピースもありますので、球状星団などを主に観望する方にはこちらもお勧めかもしれません。

M27イメージ
近くの鉄塔
亜鈴星雲(M27)を覗いた時のイメージです
コントラストがよいのでフンワリと浮かんで見え楽しめます
近くの鉄塔をデジカメでコリメート撮影しました
周辺減光の出方がわかります

実際の天体の導入ですが、私がフォークマウントに慣れていないためもあるのか、なかなか上手くいきません。見かけ視野が広い方だといっても、実視野(約2.5度)では一般のファインダーの3分の1程度ですから、暗い天体を導入する時は一苦労です。ファインダーなどの導入支援装置をつけておかれた方がよいと思います。ナビゲーターのようなものがあると最高でしょう。
※純正の小型ファインダー(3×12mm)は見にくいのであまりよくないと思います。これは避けられた方がよいと思います。

       

接眼部

対物レンズ
IF方式の接眼部(眼幅の調整ももちろん可能)
アイピースは簡単に引き抜き交換することができます
アイピースにはフィルターネジが切っていないので、ネビュラーフィルターがねじ込めないのが難点です
10センチのセミアポレンズ 二つ並ぶと壮観です
伸縮式フードになっています
コーティングもなかなか良好で写り込みも少ないです

この双眼鏡の塗装は、三層焼き付け塗装をしていますので塗装膜がとても丈夫です。多少のことでは傷がつきません。私の鏡筒も目立った傷もなく綺麗な状態です。またシルバーメタリックの本体色と相まって、高級感あふれる双眼鏡です。ただ少し重たい(5キロ強)のが難点です(10センチ双眼としては軽い方だそうですが)。ですので中判カメラが余裕で載る大型の三脚は必需品です(私は中型の三脚しか持っていないので少し危なっかしいです)。

また専用フォークマウントも双眼鏡を快適に使用するためには、必需品だと思います(少し高いのが難点)。他社のフォーク型経緯台などを流用してもよいと思いますが、前後のバランスが取れない場合があるようです。また専用フォークマウントをあとで購入すると、取り付け用金具の本体取付が結構手間がかかりそうです。同時購入してお願いしておくと本体に取り付けて送ってくれます(くれました)ので、お勧めします。あと、専用のトランクケースも発売されています。私は購入してしまいましたが、ここら辺は好みがわかれるところだと思います。しっかりした作りだと思いますが「値段の割に・・・」と言えば、そんな気もするケースです。

最後にまとめると、この双眼鏡、トータル的に考えるととてもコストパフォーマンスが高い製品だと思います(コーワのハイランダーなんて8センチ級で倍以上しますものね)。最近いろいろなところから大型双眼鏡が発売されていますが、その中でもお勧めの双眼鏡だと思います。
最高の星像を求められる方は、少し高いですがフローライト版も候補に入れてみてはいかがでしょう。

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