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特定非営利活動法人奈良県自閉症協会 

自閉症スペクトラム・発達障害

自閉症スペクトラムをご存知ですか?。

 自閉症や高機能自閉症、アスペルガー症候群などの発達障害は、言語や知的能力の発達には違いがみられるものの、自閉症の特徴は共通しています。そのため過度に細分化せず、全体を「自閉症スペクトラム」と呼ぶようになってきました。
 脳の情報処理機能に障害がある、生まれつきの障害で、病気でも育て方の問題でもありません。見た目でのわかりにくさから、すぐに理解を得られないことも多々あります。
 症状は、知的な遅れの有無や程度、特性の強さなどによって非常に多様で個人差が大きいですが、以下のような特徴をもっています。
基本的特性(その人によって多様です。)
 ・コミュニケーションや社会性の発達のつまづき・こだわり(常同行動)や想像力の狭さ(興味の限定)・感覚過敏(音・光)がある人が多い ・知的な遅れもある人もない人もいます。言語の出ない人もいます。
自閉症スペクトラムの人の困難さ
 解ってもらえない、意思が通じない事での激しい混乱・強いストレス・大きな不安などがあります。
問題行動
・自傷・他害・破壊・かんしやく・常同行動・固執行動・異食等さまざまですが、周りの人の理解と適切な対応で問題行動は防止できます。
困難さの軽減のためにどんなことが必要か?
 自閉症スペクトラムの人の困難さを軽減し、地域で暮らしていく為には、大きく分けて3つの施策が必要です。
自閉症スペクトラムの人の求める施策の3本柱
〇早期発見と発達支援 〇社会の理解と合理的配慮 〇援助・医療・支援制度

発達障害について

Ⅰ.発達障害の概念
 「発達障害」とは胎生期を含めた発達期にさまざまな原因が作用して、中枢神経系に障害が生じた結果、認知・言語・社会性および運動などの機能の獲得が障害される状態と定義されます。そして、発達障害には①知的障害(精神遅滞)のように全体的に遅れがみられるもの、②広汎性発達障害のように正常な発達の質的な歪みが多くの領域に存在するもの、③学習障害などのように特定の領域のスキル獲得に遅れがみられるものなどがあります。
 発達障害の種類には①知的障害(精神遅滞)②広汎性発達障害 ③学習障害 ④運動能力障害 ⑤コミュニケーション障害 ⑥注意欠如/多動性障害などが含まれます。
 これらの発達障害で重要なことはその原因は脳の機能的障害であり、親の愛情不足やしつけによる問題ではないことです。しかし発達障害の子どもたちも親子関係や学校などの環境により二次的な情緒障害をきたすことがあるため子どもを取り巻く環境は重要です。
Ⅱ.知的障害(精神遅滞)
1.概念
 知的障害とは①一般に知的機能が明らかに平均よりも低く、②同時に以下の少なくとも2領域において関連した適応機能の制限を伴っている;意志伝達、自己管理、家庭生活、社会的/対人関係、地域資源の利用、自律性、学習能力、仕事、余暇、健康、安全、③18歳以前に発症していることの3つの条件を満たす障害とされています。つまり知的障害は知能指数(IQ)のみで診断されるものではなく、適応機能が問題となるわけです。
2.分類と頻度
 IQにより軽度(IQ70~50)、中等度(IQ49~35)、重度(IQ34~20)、最重度(IQ20未満)に分類されます。それぞれの発達上限の精神年齢は、軽度でほぼ12歳、中等度で9歳、重度で6歳、最重度で3歳半程度です。知的障害は人口の約1%程度であり、そのうち85%は軽度であると云われています。
Ⅲ.広汎性発達障害
1.概念
 広汎性発達障害とは①社会性の障害、②コミュニケーションの障害、③想像力の障害(こだわり)の3つの障害がみられるもので、これを「三つ組み」の障害と呼びます。その他に認知の偏り、感覚異常、運動の異常などがみられます。
 知的機能については障害のみられるものもみられないものもあり、障害のみられないIQが70以上のものを高機能広汎性発達障害と呼んでいます。
2.分類と用語
1)分類
 広汎性発達障害は以下の5つに分類されています。
①自閉性障害 広汎性発達障害の中核をなすもので上記の3領域の障害が明確に3歳以前に始まるもの。いわゆる「自閉症」と呼ばれているものの大半がこの障害をさしています。知的障害がみられるものも、みられないものもあります。知的障害のみられないものを高機能自閉症といいます。
②レット障害 生後5カ月までは正常に発達するが、その後30カ月までに獲得した手の技能を喪失し、協調の悪い歩行や無目的な手の運動がみられ、女児にのみみられるまれな障害
③小児期崩壊性障害 生後少なくとも2年間は正常に発達し、その後以前に獲得された技能(言語、適応行動、排便・排尿の機能、遊び、運動能力)が著しく喪失するもの
④アスペルガ一障害 (アスペルガー症候群) 「3つ組」の障害のうち、コミュニケーションの障害が軽度であり、社会性の障害と想像力の障害が中心であり、知的障害が認められないものをいいます。
⑤特定不能の広汎性発達障害 明確に自閉性障害やアスペルガ一障害の診断基準には合致しないが、「自閉症的な」子どもたちをさします。例えば、「3つ組み」の障害のうち想像力の障害(こだわり)が明らかでないが、他の2つの障害は明らかなものや、3歳までには障害が明らかにはならなかったが、その後明確になったものなどが含まれます。
2)自閉症スペクトラム
 自閉症スペクトラムとはウイングの提唱した概念で、上記の「3つ組み」の障害があることで定義され、自閉的な子どもたちを示す比較的広い概念です。「スペクトラム」とは連続体という意味で、典型的な自閉症からアスペルガー症候群、重度の知的障害を伴う例から知的な遅れがない例まで、連続した一続きのものとみなします。
広汎性発達障害とよく似ていますが、広汎性発達障害はカテゴリー概念で診断基準を明確にしています。しかし大雑把に自閉症スペクトラムと広汎性発達障害はほぼ同じ意味と考えてもよいでしょう。
3)高機能自閉症とアスペルガ一障害(アスペルガー症候群)
 高機能自閉症もアスペルガ一障害(アスペルガー症候群)も知的障害が認められないということで一致していますが、高機能自閉症は高機能であっても自閉症ですから、自閉性障害の診断基準に当てはまります。しかしアスペルガ一障害はコミュニケーションの障害が軽度であり、2歳までに単語を用い、3歳までに意志伝達的な句を用いることができるものをいいます。しかし臨床的には高機能自閉症とアスペルガ一障害を厳密に区別する必要はないとの意見もあります。
3.疫学
 以前は自閉症は1万人に5人程度のまれな障害であると考えられていましたが、最近のカーデショーらの調査では、自閉症スペクトラム全体では1万人に121人(人口の1.2%)みられ、そのうち自閉症が60.5人であると報告されています。また彼らの報告ではこれらの自閉症スペクトラムの子どもたちの知的機能は、知的障害:境界知能:正常知能=3:2:5で知的障害を伴わない高機能が7割を占めるという結果でした。
また性比では男:女は4~5:1で男児に多いと報告されています。
4.症状
1)社会性の障害
①視線が合いにくい ②生後7カ月頃の人見知りがない ③親の後追いをしない、親がいなくても平気である ④親に自分と同じものを見てもらうための共感の指差しがない ⑤マイペースで介入を拒否する ⑥関わりが一方的である ⑦他人と楽しみを共有しない ⑧一緒に遊ぶとき他人に強いたり指図する傾向がある ⑨年齢、権威、序列などの概念を持ちにくい ⑩恥ずかしさや周囲の迷惑がわからない ⑪相手の気持ちを傷つけることがわからない ⑫場の雰囲気が読めない、相手の意図を読み取れない ⑬規則を厳格に適用する ⑭対人関係において適切な距離がとれない ⑮他人が表現する感情が理解できず、自分の感情表現も適切でない ⑯表情を読み取れない
2)コミュニケーションの障害
①ことばの遅れがあり、ことばが出てくるようになってもおうむ返し、人称関係の誤り、助詞や受動文などの使用に問題がある ②多義語や慣用表現の理解が弱い ③字義どおりの解釈 ④言葉使いや口調が妙に大人びていたり、熟語や格式ばった堅苦しい言い回しをする ⑤借りてきたような表現を使う、標準語をしやべる ⑥必要以上に細かい情報にこだわって話す ⑦話し方が不自然で抑揚に乏しく、一本調子である ⑧独り言が多い ⑨話題と無関係なことを言い、質問する ⑩他人の発言をさえぎったり、割り込んで発言する
3)想像力の障害(こだわり)
①同じであることへのこだわり(時間、道順、物の置き場所、衣服、食事、順番)②固定された習慣 ③儀式的行動 ④対象の細部へのこだわり ⑤興味や関心の限局
4)随伴症状
①感覚異常(聴覚過敏、触覚過敏、味覚過敏、視覚過敏)
②運動の不器用さ
③カタトニア 急に動きが停止して固まった状態になる
④多動
⑤タイムスリップ現象 過去の不快な記憶が突然想起されパニックとなる現象。記憶の鮮明さが薄れることがない。
5)併存障害
①てんかん 自閉症児の約1/5は18歳までに痘攣発作を起こします。発作の頻度は年に2~3 回が多いようです。
②強迫性障害 質問癖、変化への抵抗、収集癖、不潔恐怖、確認癖などがみられます。
③抑うつ状態 自己の異質性に気づくことや他児から阻害されることや自己評価の低下などによりうつ状態に陥りやすくなります。
④解離性障害 以前にいじめや虐待を受けたことが誘因となり、高いストレス状況下で意識消失をきたすことがあります。
⑤学習障害
⑥チック
5.治療
1)療育(治療教育)
 就学前の早期療育が自閉症児のその後の認知発達や集団内での適応行動に非常に重要であるといわれています。児の認知の発達に合った課題を適切に行うことで認知の発達が促進されるといわれています。
2)薬物療法
 多くは対症療法で、原因論に基づいた薬は今のところありません。多動やパニック、こだわりなどの行動を緩和するためにSSRI(抗うつ薬)や抗精神病薬が使われることがあります。
Ⅳ.注意欠如ノ多動性障害(ADHD)
1.概念
 ADHDは発達に不相応な著しい不注意、多動、衝動性を特徴とする行動の障害です。その原因は行動の制御に関連する神経生物学的な障害であるといわれています。そして7歳未満に発症し、症状は6カ月以上持続しています。またその症状は2カ所以上の状況で起こります。例えば家庭と学校です。言い換えれば学校でのみとか家庭でのみ症状が起こる場合はADHDとはいいません。
2.疫学
 全児童生徒の約3%に出現し、性比は男:女=3:1で男児に多くみられます。
3.症状
1)不注意
 他のことに気をとられて、大事なことを忘れてその場で興味を引いたことに次々と手をつけます。注意集中時間が短く、注意の配分が悪い。何回見直してもミスが残る注意深さの障害があります。そのため時間割ができなかったり、忘れ物が目立ちます。
2)多動性
 座っていてもすぐ動き回る移動性多動や絶えず身体を動かしている非移動性多動、過度に騒がしかったりして集団活動からはみだしてしまうことが多く見られます。
3)衝動性
 順番を待つことができずに割り込んだり、質問が終わらないうちに出し抜けに答えたり、他人を妨害して邪魔をすることが多くみられます。
4.随伴症状
1)学習障害 2)反抗挑戦性障害 3)爪かみ、指しゃぶり 4)夜尿症 5)チック 6)強迫性障害
5.治療
1)薬物療法
 ADHDでは薬物療法は有効な治療法とされています。その中で第一選択薬としてメチルフェニデイト徐放錠(商品名;コンサータ)が使用されます。約70%に有効とされていますが、漫然と使用せずに、ADHDTRSなどの行動評価を親と教師が行い、有効性の確認が必要です。
 その他に三環系抗うつ薬などが使用され、衝動性が著しい場合は抗精神病薬や抗てんかん薬が使われることもあります。
 なお平成21年度中にアトモキセチンというノルアドレナリン選択再取り込み阻害薬も厚生労働省で認可され発売される予定です。
2)ペアレント・トレーニング
 ペアレント・トレーニングは、親がADHDを理解し、ADHDをもつ子どもの行動をよく観察し、行動療法に基づく効果的な対応を学び、話し合い、練習してよりよい親子関係づくりと子どもの対人関係技能の向上を目指すものです。小集団で10回前後隔週ごとに1回1時間半のセッションで行われます。
3)ソーシャルスキル・トレーニング
 ADHD児は衝動的であったり、注意集中が困難であるために仲間から拒絶されがちです。
 ソーシャルスキルを身につけることで集団内での適応行動を増やすことを目指すものです。
6.ADHDと自閉症
 DSM-Ⅳという米国の診断基準では自閉症と診断されると、不注意、多動、衝動性がみられてもその症状は自閉症によるものと考え、ADHDを伴うとはしません。しかし近年では自閉症にADHDを伴ったケースと考える研究者もでてきています。実際自閉症児でADHD症状を伴う場合、そのADHD症状はADIiDと同じ治療法が有効である場合が多くみられます。
Ⅴ.学習障害
1.概念
 学習障害とは、基本的には、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、または推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示すさまざまな状態を示すものです。
 学習障害はその原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されますが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではありません。
2.分類
1)読字障害
 文字や文章を読むことに困難を示し、そのため読んで内容を理解することも困難です。
形や位置を識別し、記憶することができなかったり、文字と音とを結び付けられなかったり、そのために文字、単語、文として視覚的に受容できないことが多くみられます。
2)書字表出障害  会話や理解には問題がないのに、文字や文章を書くこと、綴ること、形を整えることが困難です。これには読むことはできるが書くことが難しい場合と読むことと書くことの両方が困難な場合があります。前者は文字を認識することにおいてさして問題はないが、文字を想起して表出するまでの過程に問題があると考えられます。後者は文字情報を分析する視覚認知においてすでに問題があると考えられます。
3)算数障害
 九九が習得できない、繰り上がりの計算ができない、数を理論的に操作できないといった特徴あります。これらの計算のつまづきは数量概念、記憶力、論理的思考の問題の表れと考えられます。また図形の理解と模写ができない、位取りがわからないという問題もあります。これは視覚・空間認知の障害、抽象的・論理的思考力の不足のあらわれと考えられます。
3.自閉症やADHDとの併存>  学習障害では自閉症やADHDを伴うことがあり、学習障害以前に自閉症やADHDを伴っていないかを知っておくことは重要です。自閉症やADHDを伴っていればその障害の治療や、その障害に合わせた指導方法が必要です。
 なお上記に記載したさまざまな発達障害では学校との連携が重要です。教師が児の障害の特性を理解し、児の特性にあった個別の対応と指導計画が必要になります。児に対する細やかな配慮により児が学校において適応しやすい生活を送ることができます。平成19年度より学校では特別支援教育が始まり、まさにこの個別の対応による教育が始まりました。
対象となる児の保護者はぜひこの仕組みを上手に利用すべきでしょう。 (飯田 順三)
※H20年度「豊かに暮らしたい」より


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