かぞくしんぶん「あさま」  
   047号 2002年12月1日 (日)   
 

<40年前の下宿は>


休みの日、日差しが暖かくなってから、永觀堂、哲学の道、真如堂、黒谷、聖護院と約3時間歩いた。
永觀堂は秘宝展をやっていて特別拝観料が1000円。「もみじだけ見たいんですが?」と聞くと、その場合でも1000円ですと言うので中に入るのはやめにした。
光雲寺の南、北ノ坊町の学生時代から結婚するまで下宿していた家を見に行った。路地の突き当たりにある200坪程の屋敷が下宿だった。角を曲がって路地に入って驚いた。路地の両側に並んでいた家並みのうち、左半分の家がなくなって駐車場になっていた。正面にあるはずの2階建ての古い家は消えて、木戸だけが残こり、その向うは木が生い茂る林になっていた。ぐるりと回って哲学の道からのぞいてみると、荒れ方はもっとすごく、舟を浮かべていた池が勝手に生えた木々の中に消え、記憶に残る石灯籠が斜めに傾いていた。荒れ果てていても屋敷跡が残っているのを見ることが出来ただけでも幸せだった。ここで「数学を勉強しよう。幸せな明日を築いていこう。」と夢を追い続けた青春時代の熱い思いを呼び戻すことができた。
真如堂の紅葉は、「今年は例年より早く、2週間前が一番の見ごろでした。」と落ち葉を掃いていたおばさんが説明してくれた。
黒谷のどっしりした門をぬけ、お母さんが小学生から高校生まで過した家跡を見に行った。住んでいた家を建て替えたのがさらに新しく建て替えられていた。隣にあったあらものやさんに、「昔、この隣に住んでいたものですが、」とお母さんが声をかけたが、「そんな人も居られたようでしたが」というあいまいな反応だった。すぎた40年の歳月はとてつもなく長いのだと実感した。

真如堂


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