かぞくしんぶん「あさま」  
   021号 2002年8月26日 (月)   
 

<ニューカレドニアへの旅>


<ニューカレドニアへの旅(1)>
出発前に、世界地図を開いて見た。オーストラリアの東の海上のはずと思って探して見た。たしかにのっているが、小さくて判りにく い。拡大図はと次のページを見るとフイジー、ナウル、トンガなどはのっていたがニューカレドニアは省略。「天国に一番近い島」と いう小説で知られている程度の平凡で小さなサンゴ礁の島なんだというくらいの認識で出かけた。
  ところが行って見て初めて判った。広さは日本の四国くらい、千メートルを越える山が連なり、立派な川もある。3500年以上も前 から人が住みつき、遺跡も残されている。 ただ世界第2位の大きさをもつサンゴ礁に囲まれているため船が近づきにくく、ヨーロッパ人による発見が18世紀と遅れ、「世界地図 に最後に書き込まれた島」とのこと。ニッケルが無尽蔵に採れ、食料も自給出来て、それだけで十分生活は潤っているが、10年ほど前 から観光など新しい産業にも手を出しはじめている。  本島から100キロメートル離れた所に、ウベア島、リフ−島、マレ島といった島があり、ぼくはそこのイメージと間違えていたとい う事が判った。


<ニューカレドニアへの旅(2)>
トラブルから旅は始まった。関空から飛ぶ予定のニューカレドニア航空の飛行機が故障のため飛ばないので、成田からエアフランス航 空で行く事になった。新幹線の「のぞみ」に初めてのる事ができたが、出発は半日も遅れてしまった。行きも帰りも飛行機泊と、3泊6 日の強行軍となった。ずっと、帰りの飛行機もちゃんと予定どおり飛ぶのかなと気にする事になった。雨の成田から、台風をさけ約9 時間かけてニューカレドニアに到着。ヌーメアのノボテルサーフホテルに朝9時チェックインした。


<ニューカレドニアへの旅(3)>
風呂に入りひと休みした後、バイキングの昼食を食べた。第一印象は「フランスパンが美味しい。」その後どこで食べてもこのパンが 美味しいので、御飯が食べたい、味噌汁が恋しいと言う気持ちが起きなかった。(どの国に行ってもバイキングでお粥と味噌スープが あればいつも必ず食べるのだが。) 午後は全員でヌーメア市内観光。ウェントロの丘と水族館がおもしろかった。 ウェントロの丘には高射砲が2台記念に残されていた。てっきり植民地時代の名残だろうと思ったら大間違い。太平洋戦争の時、日本 軍の南下にそなえ造り始めた。ところがソロモン諸島のガダルカナルの激戦で日本軍が敗北しそこから敗退したので、未完成のまま残 された。しかし今はニッケルの最大の輸出先が日本というのも時代の違いか。 この水族館にしかないものは、生きた宝石といわれる「光るサンゴ」。真っ暗にした部屋の水槽の中で様々な色で輝いていた。何万年 も姿を変えていないそのままの深海生物ノーチラスもはじめてみる珍しいものだった。


<ニューカレドニアへの旅(4)>
 21日最初のオプションは、リビエール州立公園をたずね、生息しているのはここだけという「飛べない鳥カグー」に出会う事。  仲間は8人で全員日本人。ガイドは32才のフランス人、一人で車の運転、ガイド、料理となんでもこなしてしまう。フランス語、 英語、イタリア語と少しの日本語を話す。説明は英語に日本語を混ぜてくれるのでとても解りやすい。 リビエール州立公園は、ブルーリバーを堰きとめて造った人造湖をとりまく赤い山肌が剥き出しの山々に取り囲まれた別天地にある。 カグ−はブルーリバー沿いの密林の中に住んでいた。昼食後、密林の入口に車を停め、子犬の鳴き声に似たカグーの声を密林に向かっ てしばらく流して、しずかにカグー探しに分け入った。変わった熱帯植物の説明を受けていると、「あ、いる、静かに。」ノブタが掘 り起した後のミミズを啄ばみながら、すんだうす青い羽をした鳥が薮の中から出てきた。日にあたると白くなる。天敵がいないため羽 が退化して、ニワトリのように飛べなくなってしまったのだ。卵も地面の上に産み落とし、オスとメスが交互に抱いて孵化させるとい う。幸運にも二羽のカグ−に出会う事が出来た。

飛べない鳥カグー


<ニューカレドニアへの旅(5)>
ニューカレドニアの空は澄み切っている。星もケアンズよりよく見える。 「南十字星が見えるよ」の声に誘われて、ホテルの海に面した芝生の土手に登ると、南の空低く明るい星が六個輝いていた。上二つを カットすると横向きの十字架が現れた。たびたび南半球に来たけれども、こんなにはっきり見えたのは初めて。沖縄からも南十字星が 見えると聞いていたが、こんなに低いから夏は無理、きっと別の季節の事だろうと思った。 同じ場所から見る水平線に落ちて行く日没も見事、出発2日前に買ったデジカメにお母さんが納めていた。

(誠人)


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