(ここどこだっけ?)
キョロキョロと周りのを見渡せばすぐには分からなかったが、懐かしい景色。
目に入るのは緑、空、海と自然のみ。
眼前には大きな木。所々にある丸いみずみずしい輝きを放つオレンジの実。
(あぁ、ここは……)
リョーマは自分が夢の中にいることに気付いた。それも昔の。
5歳のリョーマはオレンジに目を奪われていた。
危なげに木に登ると一生懸命オレンジに小さな手を伸ばす。
「んぅ〜〜」
後もう少しという所で後ろから突如飛んで来たテニスボールによって見事に邪魔された。
ボールによって枝から切り離されたオレンジは重力に従い落下していく。
その軌跡の先には悪戯に成功したことに喜んでいるリョーマに、いや南次郎に良く似た子供。
オレンジをテニスボール代わりにラケットで球つき。
自分の手の中に納まると彼はオレンジに噛り付いた。
「あっ!? 俺のオレンジ!!」
「名前でも書いてんのかよ、チビスケ!」
リョーマはスルスルと気から下り、彼を追いかけた。
「返せ! 俺のオレンジ!!」
ここは海の近く、追い詰めたと思ったら彼は服を勢いよく脱ぎ捨て海に飛び込んだ。
「俺のオレンジ!」
5歳のリョーマには見つめることと叫ぶことしかできなかった――――
「…………返…せ……の…………バカ…リョ…ガ」
豪華客船のプールサイドでリョーマは無防備に眠っていた。
それを気配を殺して一人の少年が見つめていた。
「いつの夢見てんだよ、チビスケ!」
寝言で名前を呼ばれた少年リョーガは苦笑していた。嬉しそうに。
(まさか、覚えてるとはな)
更に笑みを深めると、もう暫くは起きそうにないリョーマにゆっくり近付くと、
規則正しい呼吸をしている柔らかそうな唇にそっと己のソレを重ねた。
「じゃあ、また後でな、チビスケ!」
−END−
◆◆コメント◆◆
宣言通り1本完成しました!
やれば出来るんですね自分(←だったら普段からヤレって感じですね/死)
これは感想にも書いた管理人の妄想話です(笑)
どうしても書きたかったので一番にUPしました!!
次はどの話にしよう?
2005.2.6 如月 水瀬
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