リョーマ錬金術を学ぶ6



  



              リョーマがリゼンブールに飛ばされてから、少し(?)遅れて跡部と千

             石も執念からか、はたまた運からかなんとか同じリゼンブールに飛ばされ、

             これまた運よくエドに拾われ、無事再会を果たすこと出来た三人。

              しかし、何故かロイはどちらかに良くないものを感じている。それがこ

             れからの関係にどう影響することになるのか……。



             「エド、紹介する。取りあえず俺の大事な人たち」

             「跡部景吾だ。リョーマを助けてくれて感謝する」

             「千石清純だよ♪ 宜しくね〜。それとありがとう助けてくれて」

             「別に。どっかで見たことある服きてるなぁって思ったからな。で、俺は

             エドワード・エルリックだ」

             「エドワード……じゃあ、エド君でいい?」

             「好きに呼んだらいい。リョーマも好きに呼んでるから」

             「じゃあ決まりねvv で、エド君とリョーマ君の関係は?」

             「関係って?」

             「お前がコイツと異様に仲がいいからな。何かあったのかと思ってな」

             「へ〜。リョーマって大切にされてんだな」

             「二人は心配し過ぎなんだよ……」

             「「で?」」

             「俺とエドの関係は“師匠と弟子”♪ 俺、今エドに錬金術教えて貰って

             んのvv」

             「お前、錬金術師か?」

             「跡部は知ってるんだな。リョーマは何も知らなかったのに」

             「リョーマと俺たちは育った環境が異なるからな。そのせいだ。本来なら

             一緒に過ごすはずだったんだがな……」

             「なんか事情があるみたいだな……」

             「まあね♪ でも今は一緒だからね」

             「そか」

             「そーゆーこと! で、ロイは何でさっきから一言も喋らないわけ?」

             「……」

             「……いい加減にしろよ大佐。この中じゃアンタが一番年上のおっさんの

             くせに、何大人気ない態度とってんだ!! この無能!」

             「……」

             「ちっ!! コレは無能。無能だから特に覚える必要ねーけど、まぁ一応」

             「やっぱり無能なんだvv 雨の日じゃなくても♪」

             「トーゼンだろ。だからコイツの部下である、俺や中尉たちが苦労してん

             じゃん」

             「あぁ、あのおねーさん」

             「「? 何の話(だ)」」

             「俺、実物呼ぼうか?」

             「呼ばんでいい!! てか、当分の間禁止だっつーてんだろ!!」

             「リョーマ。お前何した?」

             「え、別に……」

             「「「……(じ―――)」」」

             「あはは……。召喚?」

             「お前……。教えてもいねぇことを」

             「すごーいリョーマ君♪ やっぱりあの方の……」

             「だから、てめーは余計なことをボロボロと喋んじゃねぇ!!」

              ボコッ

             「痛いなぁ。何も殴らなくても……」

             「黙ってろ!!」

             「?? 何」(←二人の話についていってません)

             「その力、元の世界では絶対に使うなよ」

             「っス」(←取りあえず、頷いておく。後々のために/笑)


 
             「……私は無能ではない」

             「ん? 何か言ったか、む・の・う」

             「エド!! 君は私を何だと思っている! そしてリョーマもだ!! 私

             は軍の大佐だぞ。出世頭だぞ。優秀なんだぞ。それなのに何を根拠に無能、

             無能と!!」

             「証明出来るのか?」

             「当たり前だ!! おい、そこの。確か跡部と言ったな。私と勝負したま

             え!!」

             「あ〜ん? 何言ってんだ。何で俺様が無能なんかと勝負しなけりゃなら

             ねぇ」

             「君は何故か気に食わない。恐らく私と君は人間的に相容れない存在だろ

             う。だからだ!!」

             「……上等じゃねぇか。俺もテメーは気に入らねぇ。リョーマのことをテ

             メーなんかが呼び捨てにしやがって。今すぐやろうじゃねーか。外に出や

             がれ!!」

             「今更後悔は出来ないよ」

             「テメーがな」

             「ちょ、け、景吾!! 何勝手にそんなこと決めてんのさ。名前のことは

             俺がいいって言ったの。だから景吾には関係ない。それにロイも普段は無

             能だけど、錬金術に関してはエドには負けるけど、この国ではちょっと名

             の知れた錬金術師で“焔の錬金術師”っていう二つ名っていうのも貰って

             るみたいだから、たぶん強いんだと思うから。で、ロイも何バカなことば

             っかり言ってんスか。そんなことしてるからエドやおねーさんたちに“無

             能”っていう三つ目の名前貰うことのなったんでしょ!! もう三十路の

             いいおじさんなんだから小さいことに反応を返すな!! そんな暇がある

             なら約束通りにちゃんと俺に錬金術教えてよ。二人に錬金術教えて貰って

             俺が最強になるんだから!!」

             「ちょ、ちょっと待ったぁぁぁ!! リョーマ、お前そんなコト考えてた

             のか!?」

             「……」

             「……(シクシクシク)」

             「リョーマ君叫んでること意味分かってるのかな〜♪」(←一人楽しく傍

             観を決め込んでいるようだ)

             「何かおかしなコト言った?」

             「あ、跡部に対しては何の問題もない。……たぶん。大佐に対しては全く、

             これっぽっちもフォローになってないぞ? 寧ろ反対にどん底までお前が

             突き落としたぞ……って、これも別にどーでもいい。問題は最後の言葉だ。

             俺が最強だ!!」

             (ん〜。エド君も、リョーマ君に負けず、劣らずだね〜♪)

             「……ムカツク」

             「あぁ?」

             「えいっvv」

              いつもの如く、リョーマはパンと手を合わせ、ついで床に手をついた。



             「リョーマ!!」

             「「!?」」

             「……(シクシクシク)」

              今までの経験からエドは身構えた。初めての二人は分かっていない。一

             人は床にのの字を書き続けている。

              しかし、いつまで経っても何も起こることはない。怒鳴り声も、銃弾も

             飛んでこない。ただ、リョーマだけがその場から消えていた。

             「アイツ……」

             「「……」」

             「……(シクシクシク)」



             「まだまだだねvv」

              ニヒルな笑みを今までいた家に向けると、いつの間に持ち出していたの

             か、リョーマの手には小さなかばんが一つ。

             「そろそろ、会いに行かないとね♪」





              師匠'sと保護者'sを置き去りにして、リョーマはエドの家から旅立った。

             一体どこへ行こうというのか。そして誰に会いに行こうとしているのか。

             しかも言葉の内容から少し前から密かに計画していた模様……。一体リョ

             ーマは何をしようとしているのだろうか??

              そして、見事に置き去りにされた彼等もこのまま、引き下がるような連

             中ではない。約一名は不明だが……。

              はてさて、リョーマと彼等の関係は今後どのような展開を見せるのだろ

             うか……。












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