2月14日は?


  
 本日も部活を終え、無事家に帰宅したリョーマ。

 玄関を開けると疲れた身体がもっとも欲しがる甘〜い臭いが漂ってきた。

(チョコレート?)

 臭いに誘われて、台所に顔を出すと。

「何作ってんの?」

「アラ、お帰りなさいリョーマさん。ごめんなさい夢中になってて気付かなかったみたいですね」

「別にいいよ。それより何作ってんの?」

 挨拶など別に気にしない。

 今気になっているのは目の前で菜々子が作っているモノである。

 珍しく答えを催促している。





「チョコレートのお菓子ですよ。明日はバレンタインですからね」

「明日だっけ!?」

「そうですよ。たくさん貰えるといいですね。…………リョーマさん?」

 何故か固まってしまっているリョーマに菜々子は心配げに声をかける。

「どうしよう……。すっかり忘れてた……」

「バレンタインだということですか?」

 青ざめているリョーマに理由が分からない菜々子は問い掛けることしか出来ない。

「バレンタインってことはちょたの誕生日……」

「そういえばそうですね」

「プレゼント買ってない」

「長太郎さんは気にしないと思いますけど? リョーマさんが祝ってあげるだけで、喜びますわ」

 菜々子は鳳がリョーマを好きなことを知っている。なので伝えたことは真実なのだが、リョーマは

納得出来ない。





「菜々姉! お菓子の作り方教えて!」

 少し前にゲームが発売したのと下校途中の買い食いのため、サイフの中身が寂しいリョーマの手段

はコレしかなかった。必死な様はいつもより二割か三割増しで可愛いと思っている菜々子の思考など、

全く気付く余裕もない。

「長太郎さんきっと凄く喜びますよ。なんといってもリョーマさんの手作りですしね。頑張って下さ

いね!」

「うん!」





 何度も何度も失敗して、上手く完成したのはいつもなら既にベッドの中の時間。

「出来た!!」

「お疲れ様です。さすがリョーマさん、上手く出来ましたね」

「ありがと菜々姉」

 完成品を褒められ嬉しさと照れで頬をほんのりピンク色に染める。

 ラッピング用の包み紙と袋を分けて貰い、綺麗に包むと宝物のように大事そうに部屋に持って行っ

た。







 次の日、部活が終わると誰よりも早く部室を出た。3年のレギュラー陣が止める間もなく。

 リョーマが去った部室にはブリザードが吹き荒れていたとかいなかったとか……



「ちょたっ!!」

「リョーマ君!? そんなに慌ててどうしたんですか?」

 明らかに急いで来たことが分かるほど、リョーマの呼吸は乱れていた。

「早く渡したかったんだ。だから部活終わってダッシュで来た!! HAPPY BIRTHDAY! ちょたD」

 大事に大事に持っていた小さな紙袋を鳳に差し出した。

「ありがとうございます! 俺からもバレンタインのチョコケーキです。」

 そう言ってリョーマのより一回りは大きい袋を差し出す。

 正しくプレゼント交換。

 鳳はこれ以上ないというほど幸せそうな表情。対してリョーマはちょっと納得いかない表情。

(俺も貰ったら意味ないじゃん。嬉しいけど…………よしっ)

「ちょた! 少し屈んで。で、屈んだら俺がいいって言うまで目閉じてて」

「?」

「早く!」

 急かされ、逆らうつもりなど微塵もないため、素直に言葉に従う。

 鳳が目を閉じたのを確認すると、周りを見渡し人がいないのを確認して鳳の唇に己の唇を触れ合わ

せた。

「リョーマ君今のって……」

「俺のファーストキスだよ」

 真っ赤な顔を隠すためリョーマから鳳に抱き着いた。




      −E N D−



   ◆◆コメント◆◆      すみません。またやってしまいましたm(_)m      長太郎の誕生日は14日です。なのに今は15日……(←予告はもうしません。ハイ…)      でも、ちょた、誕生日おめでとう!!&バレンタインということで二つのイベント混ぜ      ちゃいました!!      最初は全然違う話だったんですが、時間がなくてこんな感じになりました(-_-;)      ウチのというか、鳳リョのリョーマさんは自分からキスするのが好きみたいです(笑)      次はディープか!?      ちなみに、これがシリーズの第2弾になります(^O^)       2005.2.15 如月 水瀬