Review No.G-014

リトル・レディ

※画像は 「おがわ ゆきと」氏 の許諾を得て使用しております。
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※BGMは、かつて 「WAKABA'S MUSIC PAGE」 で公開されていた
フリーサウンドであり、「WAKABA」氏の著作物です。

静かに淡々と、そして心にしみわたる・・・

 当初、私の中ではかなり低い評価だった 『little lady』 。それなのに、なぜレビュー文を書くほどまでに評価が上がったのか? (基本的に、私は気に入った作品しかレビュー文を書きません)
それはこのビジュアルノベルの構成と深い関係があります。



  『little lady』全体が大きく3編に 分かれています。メインストーリーが3部構成の 「娘編」 、そしてサブストーリーが 「舞編」 「ユミ編」 です。
 初めに メインストーリーの「娘編」 をプレイするのが常識だろうということで、私もそれにしたがってプレイしました。
・・・確かに 「可」レベルのシナリオ、ビジュアル、BGM ですが、ただそれだけという感じでした。淡々とした描写で進み、そこそこのイベントは用意されていましたが、「娘編」という名前からある程度エンディングが想像できることから、 「この先いったいどうなるのだろう?」というドキドキ感が得られませんでした
 そうこうしているうちに、プレイ時間がとれなくなるほど、公私とも忙しくなり、 『little lady』 は数ヵ月の間忘れ去られることになってしまいます・・・



 ある日、ホームページのレビューネタに困った私は、ふと 『little lady』 のことを思い出しました。 「そういえば最後までプレイしていなかったっけ。」
 手付かずで残っていた 「舞編」 「ユミ編」 をプレイ・・・なんだ、コレはっ!淡々とした描写は同じですが、 シナリオはとても同じ作者とは思えないほど衝撃的 であり、 ある意味「残酷さ」まで 持ち合わせています。それでいてメインストーリーで成長を見守ってきた 娘「アン」のエピソードとしての意味合いもバッチリ少々ストーリー進行が強引な面もありますが、それを補って余りあるインパクトを持ったシナリオ。 その他の要素はやはり「可」レベルの域を出ませんが、それを気にさせないだけのパワーで読む者に迫ってきます。

 この作品の長所を一言で言うと、 「メインとサブの位置づけが斬新」 であることです。つまり 『little lady』 においては、 「サブストーリーを見せるためにメインストーリーがある」 のです。私が知りうる限り、サブストーリーが中心的な役割を持っている作品はありません。狙ったわけではないのかもしれませんが、結果的にこの 「変則3編構成」 はプレイする人に 『little lady』 を印象づけるうえで非常に効果的です。

 というわけで、 「娘編」 『little lady』 をすっかりナメていた 私は、続く 「舞編」 で痛恨の一撃をくらい「ユミ編」 でとどめを刺されてしまいました ・・・。 背景画像に娘「アン」の愛らしい姿を貼り付けていますが、 『little lady』 をプレイするときはくれぐれも油断しないように・・・

(2006/08/27)

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