Review No.G-002

マイ・ドリーム  〜On Airが待てなくて〜
(C)日本クリエイト 1997,1998

※タイトル画像は日本クリエイトの許可を受け掲載しています

声優・・・それは夢への挑戦

2年間の取材を終えて

 おめでとう、みんな。2年前に養成所に入所してきたあのキミたちが、プロの声優として巣立ってゆくとは、事実であることは理解しているが、いまだに実感がわかないでいる。これからは今まで以上に多くの壁にぶち当たることだろうが、養成所で見せてくれたあの情熱さえあれば、きっと乗り越えていけると確信している。僕は声優雑誌の記者として、また1アニメファンとして、そして2年間を共に過ごした仲間として、これからもキミたちを見守っていきたい。それでは、テレビのスピーカーからキミたちの声が聞こえてくることを楽しみにしている。
 最初にゲーム内のキャラクターの立場で、2年間 (ゲーム内時間) のプレイを終えての心境を述べてみた。もっとも、完全に感情移入してしまった今の私にとっては、プレイヤーとしての心境も似たようなものであるが。

 単なるコンピュータ上の画像にすぎない彼女たちが、次第に生き生きと動き出し、そして語り掛けてくる。 「育成シミュレーションの醍醐味、ここにあり」 である。実を言うと、私はこの「マイ・ドリーム」が初めての育成シミュレーションである。ただ、あちこちで見かける断片的な情報でどのような内容のゲームかは知っていたし、キャラクターへ感情移入するときの気分がどのようなものかは、ビジュアル系RPGをよくプレイするので体験済みである。
  ゲームシステムを除いたところでのRPGとの違いはエンディングのあり方ではないだろうか? RPGでの「BAD END」はプレイヤーのミスによる敵の勝利であり、すなわち「ゲームオーバー」を意味する。しかし、 育成シミュレーションでの「BAD END」は必ずしも「BAD」ではない。 キャラクターが当初目指していたゴールではないにしろ、それは決して人生における失敗ではない。 私は、最初のプレイでは8人のうちの一人も声優にすることができなかったが、それぞれの道を後悔することなく進んで行く姿を見て、むしろ爽快であった。数々の育成シミュレーションが作られ、プレイヤーに受け入れられてきた理由はこのあたりにあるのではないだろうか。

 さて、 マルチ・キャスティング (1キャラクターに対してそれぞれ3人の声優が選べる) ということになると、当然のことながら何度もプレイしなければならない。何度もプレイするとなると、 「イベントの数」 と、そしてなによりも 「1プレイあたりの時間」 が問題になる。 「イベントの数」は適当な数だけ用意されているように見受けられるが、「1プレイあたりの時間」はやや長いような気がする。 もっとも、学生など時間に余裕のある人にとっては「ちょうどいい」かもしれない。しかし私のような「週末ドライバー」ならぬ「週末プレイヤー」にとっては、「朝から晩までプレイし続けてやっと1プレイ完了」というのは少々つらい。ただ、プレイ時間を短縮できる要素がほとんどないのもまた事実だが(ゲーム期間も2年が適当だと思うし)。

 なんだかんだ言っても、数回はプレイすることになるだろうし、プレイする価値のあるゲームだと思う。 声優界を単なる華やかな夢の舞台として描くのではなく、逆に 大半の若者が夢破れて去っていく厳しい世界として描いているところを評価したい。 このゲームの企画・原案は現役の声優が手掛けているのだが、乱発による質の低下が見られる最近のアニメ事情に、警鐘を鳴らす意味も込められているのかもしれない。

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