Review No.A-010

無人惑星
サヴァイヴ

(C)江口寿史・NHK・NEP21
NHK教育テレビ 毎週木曜日PM7:30 放映終了(2003/10〜2004/10)



 一言で言うと、いかにも NHKらしい描き方のアニメ と言っていいでしょう。民放にありがちなアニメのように、映像や音の特殊効果に過度に頼ることなく、ある意味「淡々と」ストーリーを語っていく 正統派の作品 と言えるのではないでしょうか。
 NHKアニメというと、私はどうしても NHK史上最大のヒット作 (と思っている) 『ふしぎの海の ナディア と重ね合わせてしまいます。『ナディア』は原作が原作だけに、ストーリーにかなり壮大なものがあり、その点では『サヴァイヴ』と比較はできませんが、アニメ作品全体のテイストとしては結構似ているところがあるのではないかと思います。どちらも 「冒険活劇」 ですしね。
 無人惑星でのサバイバルを続けていくうえでの 一人一人の役割が明確 なのも、好感が持てます。 誰一人欠けても、ルナたちは生き残ることができなかったでしょう から。ま、約1名、 邪魔ばっかりして何の役にたっているのかわからないヤツ もいることはいますがね。


 さて、私が『サヴァイヴ』を語るうえで、もう一つ名前を出しておきたいタイトルが 『無限の リヴァイアス という作品です。おそらくタイトルさえも聞いたことがない人が多いと思います。一文であらすじを要約すると、 「宇宙船の遭難により宇宙をさまようことになった少年少女たちが、お互いに助け合いながら救助を求めて基地に向かう」 というストーリーになっています。
 舞台に「無人惑星」「宇宙空間」の違いがありますが、最終目的は同じです。ただし『リヴァイアス』の場合は、少年たちを乗せて漂流する宇宙船が、ある国家の最高機密の対象であり、「救助」どころか「破壊」しようとする勢力もあって、なかなか複雑な展開になっています。そして、最初は『サヴァイヴ』のルナたちと同じようにバラバラだった仲間たちが、次第に協力して困難に立ち向かうようになっていく・・・とここまではよく似ているのですが、 ラストが相当考えさせられる結末 になっているのです。



  当然助けてもらえるものと思っていた基地から逆に攻撃を受けるなど、何度も裏切りにあい、またその裏に潜む陰謀の存在を目の当たりにし、長期に渡って極限状態の恐怖を味わう中で、次第に仲間の中に意見の対立が生じるようになっていきます。そして 最後は、互いに傷つけ殺し合う寸前のところまでいく のです。 結局のところ、救助されてめでたしめでたしで終わるのですが、ラスト3〜4回については、 人間の心の弱さと、越えてはならない一線を越えてしまったときの恐ろしさ を見たような気がしました。

 『リヴァイアス』は人間の醜い部分を描いているので、見ようによっては 相当恐ろしい作品 です。幼い子どもたちが見るには、教育上好ましくないかもしれません。私は『リヴァイアス』を物語としては高く評価していますが、なんだかんだ言っても、 やっぱりアニメは楽しくないといけませんハラハラドキドキのあとには、成功とハッピーエンドがふさわしい ですね。今この文章を書いているときには、結末は見えていませんが、
明るい未来がルナたちを待っていることを願いつつ・・・



独り言・・・
なんだか『無人惑星サヴァイヴ』のレビューというよりは、『無限のリヴァイアス』の紹介記事のようになってしまいました。
普段は他の作品と比較したりしないほうなんですが、『無人惑星サヴァイヴ』は他のアニメを思い起こさせる要素が多いので・・・

(2004/06/27)

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