アジア・アウトリーチ・AR230

 2019年9月21日、私は妻とともにハノイへ渡航し、そこにおけるアジア・アウトリーチ・ベトナム の働きを視察した。ハノイで二つの働きの責任を担っておられるデヴィッド&プシュパ・ウォーターズ師 夫妻が接待してくれた。彼らの家は研修センターをかねた教会兼事務所である。デヴィッド師たちはここ でのミニストリーを10年続けており、二人にかわいらしい娘がいる。ベトナムで神様に仕えるために全く 献身してこられた。デヴィッド師の奥様が若かった時、彼女の故郷であるテレンガヌにベトナム人の乗っ た船が到着したのを見た彼女は、憐みに満ちた思いでいっぱいになった。これを聞いた当時の彼女の牧師は、 デヴィッド師の奥様がベトナムへ帰る小さな船に乗っている幻を見た。その後、デヴィッド師が初めて ハノイを訪れた時、神様が心に触れてくださり、ベトナム人に福音を伝える思いを与えてくださった。 1995年からデヴィッド師夫妻は24年間ベトナム人に対する働きを続けておられる。

妊娠中絶合法化反対のミニストリー

 デヴィッド師は彼と一緒に現地で働いているベトナム人の働き人、クイェット師とその奥様ヴォット さんを紹介してくださった。9年前、神様は二人に胎児を救うための働きをするようにと導いてくださった。 そして、この働きを専門的に行っているアメリカの団体による研修を受けた。その後、二人は40kmも離れ ている村々を6週間にわたって旅し、いくつかの地域にある20もの教会を訪問し、妊娠中絶合法化反対につ いての研修やこの働きについて伝えた。
 聞いたところによると、村での中絶は病院では行われない。お母さんが特定のハーブや草を用いて、 飲み物によって胎児を中絶する。リーダーたちによると、このような方法での中絶は一般的に広く行われていて、 実際に、働き人の中にも中絶を経験した者たちがいた。牧師たちの夫人の中には、泣き崩れて過去に中絶した 経験を告白していた。中絶は13歳以上の既婚・独身女性の中で広く行われている現状がある。
 中絶が行われる背景にはいくつかの理由がある。
1.すでに子どもをもっている貧しい既婚者女性に二人目ができたが、経済的に支えていけない。
2.子どもの数が多すぎてもう手に負えない。
3.婚外子として生まれるため家族から見捨てられる可能性がある。
4.身勝手な理由から行われる中絶もある。

あかし

 中絶してしまったことの精神的な苦しみは大きい。ある女性は、実に3年間「お母さん、なぜ私は生きられないの?」 といっている小さな女の子の声を眠っている時に聞き続けた。また、別の女性はクイェット師が来られる8日前に 中絶してしまい、「なぜ8日前に来て下さらなかったのですか?」と言って泣き崩れてしまった。さらに、 ある牧師婦人はすでに四人の娘に恵まれていた。しかし、授かった五人目も女の子かも知れないと思い、 恐れから中絶してしまった。

妊娠中絶合法化反対のミニストリーの計画

 デヴィッド師は妊娠中絶合法化反対のミニストリーのための、人材確保や支援チームの結成を計画している。 この計画の目的はなるべく多くの働き人や信徒リーダーを養成し遣わすことにある。訓練を受けて遣わされた働き人は、 ベトナム中をまわり、個々のクリスチャンやクリスチャン団体に、中絶を経験した人に対する支援や中絶を考えている人を、 いかに助けるかを教える予定だ。
 デヴィッド師もプシュパ師もこの働きに大きな重荷をもって献身している。彼らの願いは一人でも多くの赤ちゃんを 救うことであるが、経済的な課題が大きい。彼らのもとで学んだ働き人たちがベトナムを巡回するための旅費の確保が 難しいのだ。しかし、ベトナムにおける中絶問題は緊急な解決を要する課題だ。この働きについて聞いたある男性は、 ミニストリーに必要な施設建設のために自身の土地の一部を提供した。施設は主に研修のために用いられるが、 独身女性を保護する役割も担う予定だ。施設の建設は慎重に計画されなければならない。しかし今は、 妊娠中絶合法化反対について学ぶ研修プログラム費や教師たちの旅費、そして様々なベトナム語の方言にも対応する 冊子の作成のための費用を必要としている。ベトナムで一般化している中絶を未然に防ぐための知識をまず急いで 伝えなければいけないのだ。


ハンセン病患者ミニストリー

 デヴィッド師たちの土曜日の夜の集まりにおいて、みことばの奉仕や信者との交わり、そして祈りの時をもつ恵み を受けた。また、妊娠中絶合法化反対のミニストリーの働き人たちの研修会においてもみことばを分かち合った。 時間の都合上、ハンセン病患者ミニストリーを訪問することができなかったが、この働きをしているヒエン師に会うこ とができた。ベトナムにおけるハンセン病患者ミニストリーは、特に患者の身体的な必要のために仕えている。 これに合わせて、非常に緊急であり根本的な必要である霊的な必要―イエス・キリストを救い主として、 主として知る―のために仕えている。ヒエン師は、五つの施設を巡回し、それらに暮らす患者やその家族に仕えている。 ハンセン病患者をもつ家族は、たとえ健常者でも、偏見を受けてコミュニティーから追放されている。
 私はまた、デヴィッド師と働いているモン族のリンという女性に出会った。彼女は2018 年にモン族の豚プロジェ クトに携わっていた。モン族の村は大きな地滑りの被害を受けて、すべての豚とその子豚たちを失ってしまった。 このため、アジア・アウトリーチは新たに子豚を買うための支援を行った。支援を受けたリンさんは村人のために新た な子豚を手に入れたのだが、その後、悲劇的にも豚コレラがモン族の村を襲い、子豚たちを処分しなければならなく なった。しかし幸いにも、政府がこの保証をし、処分された子豚に代って、より良く、より多くの家畜が与えられたのだ。 モン族の助けとなれるドアが開かれている。リンさんは今、彼らの友となって、聖書のことばを分かち合っている。 リンさんはモン族に対するミニストリーの可能性を模索しているところだ。



アジア・アウトリーチ・ジャパン・・・アジア・リポート No.230

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JANUARY - MARCH  2020.