アジア・アウトリーチ・AR224

アジア・アウトリーチ・香港 ミニストリーと開発管理者

ミシェル・リュン

 香港では数多くのお祭りが祝われています。そのどれもが喜びに満ちています。私たちはお祭りの機会を用いて、 イエス・キリストの愛を伝えています。そして、この方法はとても効果的であることが分かりました。香港には多様 な人生を歩んできた者同士が共同して暮らしているからです。その中には35 万人もの海外からの労働者がいます。 彼らは長い旅を経て自分たちの家族から離れて香港人の家族を世話するためにここで暮らしています。この人たちは 故郷に残した子どもや両親や友達たちを忘れられずに暮らしていることでしょう。香港は人に満ち溢れていますが、 それでも時々寂しくなることがあるのです。

 秋の中頃には、中秋節のお祭りがあります。これは中国文化において、家族の一致と家族について感謝するための お祭りです。満月の夜に家族は一つ所に集まり、大人たちは月餅を食べ、子どもたちは月の提ちょう灯ちんで遊びます。 香港で、 とても人気のあるお祭りです。街の通りや路地は色を塗った提灯を持ち運ぶ子どもたちであふれます。街中がお祭り ムード一色となります。しかし、海外からの仕事をするために移住してきている人たちにとってこのお祭りはあまり 意味を持ちません。この人たちが様々な料理を用意し、月餅をつくり、子どもたちの提灯づくりを手伝っているから です。彼らにとってこの祭りは、自分たちの家族に会いたいという気持ちを一層かきたててしまうでしょう。

 香港にはアジア・アウトリーチ・香港やいくつものクリスチャン団体によって結ばれている「TKI ケア」という 集まりがあります。この集まりは香港で働いている移住者に敬意を表し、彼らの香港社会に対する貢献に感謝をする ためのお祭りを年に一度開催しています。中秋節で祝われるように、海外からの移住者たちを自分たちの家族として 歓迎し、彼らに感謝し、尊重していることや一緒にお祝いしたいことを、このお祭りを通して伝えているのです。社 会福祉や経済界から支援をいただき、年に一度のお祭りを持っているのです。海外からの移住者たちに対して感謝の 意を伝えるとともに、香港の社会が異なる文化や民族から働きに来ている方々を敬うようにと励ましているのです。 特に、このような方々が私たちの社会にとって欠かせない存在であり、神様が彼らを愛していることを伝えたいから です。

 2017 年にはこの祭りは中秋節の後の祝日に同時に2か所で開催されました。一つの所ではお祭りの始めにインド ネシア国家が歌われ、大きな歓声があがりました。海外からの移住者として香港で働く人達はその社会的な立場のゆ えに、日常的には劣等感を感じ、自分を低く見がちなのです。ところが、香港人が計画してインドネシア国家がお祭 りで歌われたことで、彼らの誇りが心に戻ってきました。それは彼らの表情にも表れたのです。大勢の人が感動して、 決して忘れられない瞬間となったのです。

 2か所目の所では、アジア・アウトリーチ香港主事であり「TKI(インドネシア家政婦ケアー委員会)」の理事であ るジェームズ・チャック師によるスピーチがありました。スピーチは海外移住者たちの労働に対するねぎらいであり、 故郷に家族を残して香港の家庭に犠牲をもって尽くすことに感謝の意を表すものでした。女性参加者の中には涙を流 しながらこのスピーチを聞いていた人が大勢いました。
 非営利団体の会員や香港にあるインドネシア人教会は熱心に余興を準備していました。当日は午前から衣装に着 替え、お化粧をしていました。またボランティアたちは出演者や参加者に純インドネシア料理をふるまいました。 余興や衣装、そしてその場にただようインドネシア料理の香ばしい香りを通して、参加者たちは様々なインドネ シア文化に一度に触れることができました。まるでインドネシアの複数の個所を一度に訪れたかのようだでした。

全体的なケア

 「TKI」は香港に住む外国人たちに対して全体的なケアを行っています。いくつものNGO 団体 が今回のお祭りに招待されました。虐待予防や経済的な学びなどのサービスについて、様々な展示ブー スが設けられました。ある化粧品会社は無料でお化粧するというサービスを提供しました。海外からの労働者たち に外見や内面を整えることの大切さを伝えるためでした。このような関わりを通して、外国人が香港人と会って話 すチャンスができたのです。私たちは福音を語りながら神様の愛を目に見える形で伝えることができました。

 香港の地域教会も外国人労働者や移住労働者たちに手を差し伸べています。教会は彼らが普段働いている家族の 中に、キリストの良い影響を与えることができるための働きをしています。教会の最終的な目標は、いずれ これらの外国人労働者たちが自分たちの国に帰った時に、霊的に十分に整えられた者として、送り出されることです。 週ごとに聖書研究会が持たれており、新しくクリスチャンになった人たちの霊的な成長とともに、自国に帰ってキリ スト教に強く反対する家族と暮らすことになっても、イエスの証人として生きていけるように研修をしているので す。こうなるには、神のみことばをしっかりと握ることが重要だと考えているからです。聖書研究会とともに、とて も必要とされているカウンセリングも行っています。家族から離れて暮らしている間に、十分な励ましと支援を受け るためです。

 「在留異国人を苦しめてはならない。しいたげてはならない。
あなたがたも、かつてはエジプトの国で、在留異国人であったからである。」
(出エジプト記22:21)




アジア・アウトリーチ・ジャパン・・・アジア・リポート No.224

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JULY - SEPTEMBER 2018.