心室中隔欠損症
Ventricular septal defect



<所見ポイント>
a)心室中隔欠損の部位
 心室中隔の欠損部位により手術時のアプローチ部位が異なるため欠損部位判定は重要である(表1)。V型、W型は希である。

欠損部位の検索は欠損部を直接検索するよりも大動脈弁右冠尖の右室側への逸脱や、膜様部中隔瘤等の二次的形態異常を検索した方が欠損部位を推定しやすい。直接的にはドプラ法で短絡血流が検出できれば欠損部位が明きらかとなる(図22)。



b)大動脈弁右冠尖逸脱の有無
 KirklinT型の場合大動脈弁右冠尖が支えを失い右室側へ逸脱することが多い(図23)。
c)大動脈弁閉鎖不全の有無
 KirklinT型の場合右冠尖逸脱による接合部不整のため大動脈弁閉鎖不全を来すことが多い。
d)バルサルバ(Valsalva)洞破裂の有無
 バルサルバ(Valsalva)洞破裂の場合短期間に心不全へと発展するため、確認しだい手術適応となる。
e)心室瘤の有無
 KirklinU型の膜性部中隔欠損に多く認められる(図24)。この時中隔尖の形態異常を伴い三尖弁閉鎖不全を生じることが多い。
 


f)肺高血圧の有無
 肺高血圧により短絡血流が右→左優位な症例では手術適応外となる可能性が高くなるためこの評価は重要である。確定診断は心臓カテーテル検査に依らねばならないがある程度の評価は三尖弁閉鎖不全からの右室圧や短絡血流速度からの左右心室間圧較差から推定可能である(図25)。