肥大型閉塞性心筋症
Hypertrophic obstructive cardiomyopathy



<所見ポイント>
a)大動脈弁の収縮中期半閉鎖の有無
 閉塞性肥大型心筋症では収縮中期に左室内で狭窄を生じ駆出血流の低下をきたす。このため大動脈弁も収縮中期に半閉鎖を呈する(図15)。頚動脈波における2峰性波と同様の現象である。
b)僧帽弁の収縮期前方(中隔側)運動の有無
 左室流出路での高速駆出血流によるベンチュリー効果や乳頭筋による牽引効果等のため僧帽弁前尖が心室中隔側へ動き左室内狭窄の一因ともなる(図15)。

c)心筋の肥大(非対称性肥大)の程度と範囲
 高血圧心での心筋肥大は全周性肥大であるが(図16)、

本症での肥大は心室中隔を中心とした非対称性肥大の場合が多い(図17)。中隔肥大が強く心腔内狭窄が高度の場合心筋切除術等を行うがこのとき肥大の程度と範囲が重要な情報となる。

d)乳頭筋の肥大の有無と付着位置異常の有無
 乳頭筋の肥大により乳頭筋レベルでの左室内狭窄も生じることがある。
e)左室内での圧較差の有無
 左室内狭窄部で圧較差を生じる。