胸骨傍−短軸断面
parasternal short axis view



 1)画像の描出
 短軸断面は被検者の足側から心臓の割面を観察するように画像を構築する。すなわち長軸断面での探触子を時計回転方向にほぼ90度回転させ、モニタに向かって右が患者の左(健常例ではモニタ上で左室が右室の右)になるようにする。
 探触子を患者の頭側を見上げるように傾ける(探触子の頭は心尖方向に傾く、傾きが大きくなりすぎる場合は1肋間上方にずらす)と大動脈弁レベルでの短軸像が描出される(図5)。
 
次いで徐々に探触子を心尖方向を見るように傾けていくと(左室腔が楕円とならず正円となるように必要に応じて肋間の移動も行う)、僧帽弁レベル、腱索レベル、乳頭筋レベル、心尖レベル(図6,7,8,9)と順次各レベルでの短軸断面が観察されるので2)の観察ポイントに注意しながら断面を描出していく(左室短軸断面の静止画を記録する場合は壁運動評価もある程度可能な拡張末期と収縮末期の2時相が適している)。
 


2)観察ポイント
a)大動脈弁はほぼ等しい大きさで三尖あるか
b)大動脈弁各弁尖の硬化や解放制限がないか
c)大動脈弁弁輪、僧帽弁弁輪の石灰化はないか
d)心室中隔の欠損や瘤はないか
e)僧帽弁の硬化、前後の交連部に癒着はないか
f)腱索の硬化、癒着はないか
g)心室中隔を含め左室壁の肥厚や菲薄化、運動異常はないか(心筋の運動方向だけでなく収縮期の心筋壁厚の増加も確認する)
h)乳頭筋の肥大、付着位置異常はないか
i)血栓等の異常エコー像はないか
j)心尖部では収縮期の内腔の消失はないか
k)右室腔とのバランスはいいか(要経験)
l)心筋周囲にエコーフリースペースはないか