ドラマ版「霧越邸殺人事件」……「湖畔の館殺人事件」ガイド



(注)ドラマ「湖畔の館殺人事件」についてはすさまじくネタバレしています。にもかかわらず、「霧越邸殺人事件」についてはほとんどネタバレしていないかと思います。ミラクル!


 名(迷あるいは冥)作二時間ドラマ「湖畔の館殺人事件」とは、実は「霧越邸殺人事件」ドラマ版。案外アヤツジストの方でも見られてない方が多いのですね。私は知ったのは随分あとにもかかわらず、たぶん二回再放送で見た記憶があるのですが。
 というわけでこれはいったいどういうものだったのか、ここで紹介してみようかなどと思いました。私も二回見たっきりで曖昧なので、「間違ってるぞ!」てな部分があれば遠慮なく突っ込んじゃってください。


 タイトル「湖畔の館殺人事件」……まあこれはよしとしましょう。一応「湖畔の館」には間違いありませんし、それほど雰囲気ぶち壊してもいませんね。

 キャストは主役が神田正輝さん(鈴藤良平)、高木沙耶さん(的場あゆみ)などなど。役名は微妙に同じだったり違ったり……。ま、このへんについてとやかく言うのはよしましょう。個人のイメージってものがあるし、完全な一致を望むのは無理というものです。

 設定は、「新人アイドル(しかもわがまま!)芦野深月のツアーを行っているスタッフ一同が、雪の山道で遭難。なぜかシーズンオフの温泉旅館にたどり着く」というもの。……流石にこれは違うだろっ! もうすべてからして怪しいじゃん。厳密なツアースケジュール組んでるはずなのになぜに遭難? なぜにシーズンオフの温泉旅館? 作為見え見えです。この時点で視聴者五割は犯人の見当がついたと見た。
 もちろん原作ファンにしてみれば、頭抱えたい展開です。霧越邸が温泉旅館……泣きますよ! いくら予算的に無理があるとはいえ、これはあんまり。悪夢だあ〜。でも恐怖の展開はこれだけでは終わりません。
 ちなみに温泉旅館、風情はあります(とはいえ霧越邸では断じてありませんが)。湖の対岸に位置しているので、そこに行くためには船が必要。でもって都合よく、ちゃんと船もあるんだよなあ。絶対企んでるって。手漕ぎボートで旅館にたどり着く一同。誰か躊躇せんかい。

 旅館、老舗という雰囲気はあるけどシーズンオフなもので、寂れてます。まるっきりの無人。なのに露天風呂はしっかりメンテナンスされてたり……だから誰か怪しめってば!
 で、そこに流れ出す北原白秋「雨」のメロディ。……オルゴールじゃありません。「あぁ〜めが降ぅ〜ります」と妙にこぶしの利いた演歌調な女性の歌声が館内放送で流れます。私、ここで泣きたくなりました。いや、まじで誰か怪しめって。すぐにここから逃げなさい。

 で、予想通り起こる第一の殺人は……まあ普通か。ただし、解決編が明かされてみればわざわざ見立てしなければならない理由は何もなかったんですけど(一応復讐の意志を表す、てのはあるにしろ)。このへんはまあ二時間ドラマだし、視覚効果を狙ったってことで。
 一同は死体を旅館の外に運び出し、雪の上に横たえます(実はこれがポイント)。

 そして第二の殺人。スタッフの男女2人が殺されてました。そしてここが一番の笑いどころ。
 「雨」の二番、折鶴の見立てです。なので部屋の真ん中に位置する死体を囲むように、何十何百という折鶴が寸分の乱れもなく床一面を埋め尽くして。かなりデコラティブな光景です。
 しかしみなさん、ここで想像してみましょう。一心に小さな折鶴を折り続ける犯人の姿を。そしてちまちまと死体の周りに折鶴を並べる犯人の姿を……いったい何時間かかったんやっ!
 そんな悠長なことしてる余裕があったら、もうちょっと他にすることがあるだろうが。これにトリックはありませんでした。単なる視覚的見立て以外の何ものでもありません。そこまでする執念ですか? だいたい誰かにその現場見つかったらどう言い訳するんだよ〜。
 例により死体を屋外に運び出す一同。第一の被害者の遺体は、実に綺麗に雪でコーティングされておりました。人型に積もる雪。爆笑。

 このあたりだったのかもう少し前後していたのか覚えていませんが、スタッフの二名が助けを呼ぶため、脱出を試みます。しかし失敗、雪原を転がり落ちて行方不明になる約一名。そして凍死体で見つかる一名。……どう考えても怪しいよな
 さらに唐突に、地元に住むらしい猟師が登場。怪しい! 怪しすぎるっ! そういえば「怪しい視線」はちらちらと映っていましたが、あまりにも不審。案の定「すべて見ていたぞ、お前たちは人殺しだ!」みたいなことを言いながら襲い掛かってくる猟師。間違いなく犯人ではありません。一時期監禁状態におかれるスタッフ一同、しかしこの猟師もやっぱり殺されちゃう(猟銃の暴発事故みたいな感じで死んだような)。犯人は実は他にいた!(そうに決まっとるだろが)

 第三の殺人もたぶん起こってたよね。でもこのへんでもうどうでもよくなってきます。殺人事件の被害者(怪しいだけの猟師含む)の遺体に綺麗に積もる雪が哀愁を……思わせないでもないか。

 動機は徐々に判明。どうやら殺されたスタッフたちは、過去にアイドル志望の少女を集団で暴行し、自殺に追い込んだという過去があったそうな(ちなみに主役の2人はそれに関わってはいないけど、なんとなく察してはいる、という設定。で、アイドルは無関係)。そしてその少女がオーディション?のために持ち込んだカセットテープが白秋の「雨」だったのです。ついでにいえば少女が飛び降りた屋上に残されていたのもそのテープでした。しかし……なぜその歌を選んだ? これがこの作品最大の謎かもしれません。
 さらに舞台となった温泉旅館に住んでいた家族(管理人か?)がいて、そこの娘がその少女だったらしいことが発覚。さらにさらにその少女に兄がいたらしいことも判明。その名前は……やっぱり先ほど雪原を転落して消えたスタッフでした。ちなみに彼は、脚を負傷(当然カモフラージュだ)したもののなんとか無事に戻ってきてます。丸分かり。思い返せば旅館に一同を誘導したのも彼でした。本当に誰か怪しまなかったのか?

 で、追い詰められる主人公2人(アイドルはターゲットに入っていません。でも目撃者ってことで消される可能性はあったかも)。そして的場をかばい、犯人とともに湖に落ちる鈴藤。たぶん2人とも凍死?でハッピーエンド。「頑張ってアイドルを目指します」と言う芦野深月。……いいのか、それで。ま、「呪われたアイドル」てなコンセプトで売れるかもね。


 ……曖昧な記憶に頼っているので若干違うところがあるかもしれませんが、原作と違うってのだけは明らかです。共通点探す方が難しい。でも面白いです。笑えます。断じて断じて「霧越邸」ではないんですけどね。
 あと、「うわ、原作読む前に犯人もトリックも知っちゃったよ!」てな事態に陥ることのないのが救い。だって何から何まで全部違いますもん。ある意味ここまでやっちゃうとあっぱれってなもんです。実は名作か。

 なのでまた再放送したら、見ちゃうんだろうなあやっぱり(苦笑)。というよりDVD化してほしいのですが。