写真1.2.3.4. 古い部品を外した直後

ギターアンプの技術情報

Tech 1.   ハンダのテクニック ジョイント部のクリーニング

・ 部品を外すときに古いハンダを完全に取り去ること
・ 新しい部品をハンダ付けするときに不純物をとりこまないこと

ギターアンプの修理の基本として、非常に大切なことは古いハンダを残さないことです。
古いハンダはアンプ製造時点に一度、熱を加えられて部品を固定しています。
この時点で金属としてのハンダは酸化しやすくなっています。
修理のとき、2度めの熱を加えると、 ハンダはさらに酸化しやすくなります。
酸化した部分は本来の金属が持つ導電性(電気を通しやすい性格) よりもはるかに電気を通しにくくなります。
この古いハンダをそのまま残したままで新しい部品を取り付けると、付けた当初は音が鳴っていても遅かれ早かれ
ハンダのジョイント部分が劣化し、音が割れたり、鳴らなくなったりといういわゆる「イモハンダ」の状態になってしまいます。
部品交換の際には古いハンダは全て除去クリーニングしてから新しいハンダで部品を取り付けることがアンプの品質を維持
する上で欠かせません。

次に大切なことは、新しい部品をハンダする際に、ハンダ結合部分に不純物を取り込まないことです。
不純物がハンダのジョイント部に含まれたままハンダ付けしてしまうと、つけた瞬間はどんなに堅牢そうに見えてもジョイント部
の中にハンダとと不純物でできた化合物が形成されてしまいます。これもまた「イモハンダ」の原因となります。
ハンダ・ジョイント部分はきれいになっていても、ボード上に不純物が放置されていることは良くありません。
部品交換の際のハンダ付けでボード上の不純物がハンダ・ジョイントに流れ込んでしまいます。
また放置された不純物がむ原因となり、不要な回路を形成することもあります。
本来は導通してはいけない異なるハンダ・ジョイント同士の間で不純物を介して電気結合してしまい、電気が流れてはいけない
端子同士に電気が流れてしまいます。このことを絶縁破壊といいます。
部品交換するときにはハンダ・ジョイントをきれいにすると同時にボード上の不純物も除去し、きれいにする必要があります。

下の写真1. 2. 3. は劣化した古い部品を外しているところです。
写真3.を見ますと、
・ ハンダ・ジョイントは古いハンダで汚れています。
・ ボードは不純物で汚れています。
  これらはアンプが製造された時、ボードに吹き付けられたワックスとハンダ・ロジンの融け糟などです。.

上の写真4でまず古いハンダをポンプで抜き取ります。
その結果、下の写真5.のようになります。まだジョイント部にはハンダが残り、ボードは不純物で汚れています。
次に写真6でポンプでは取りきれなかったハンダをハンダ吸い取り線を使い、取り除きます。
次に写真7.で綿棒などを使って、不純物を取り除きます。
写真8.がクリーニング後です。
写真3. と写真8. を見比べると一目瞭然です。常に写真8るのようなきれいなボードにしてからでないと、
新しい部品をハンダ付けしてはいけないのです。
写真5.6.7.8.9. ハンダ・ジョイントとボードのクリーニング
最後に新しい部品を写真9のようにハンダ付けして完了です。

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