日が落ちて暗くなってきた、マストの上の航海灯をつけて走る。
風は一段と吹き上がり10mぐらいになってきたので、メインセールを1ポイントリーフ
(縮帆)にしてジブセールも小さく巻き込んだ。
波もしだいに大きくなってきた、夕食をかき込み、どんよりした空の下を一路南下し続けた。
夜半右から赤の航海灯がきた、前方200mぐらいを横切っていった、大きい5万トンぐらいの船であった
これがさいごの本船であったこれ以後小笠原までは漁船1隻を見たのみであった。
明るくなるにつれ波の大きさがわかるようになった、風もよりつよくなっていて風向は東なのでこのまま南下することにし、ジブをすべて巻き取りメインセールの1ポイントで横からの風の帆走となった。
6時過ぎに前方に一段と険しい波が広がってきた、これが黒潮である。
風と向きが反対になると悪い波ができるのである。
とりあず黒潮を横切って抜けることにし、そのまま南に突っ込んでいった。
風は12mから15mで艇速はあがるが、なみが高く険しいので、ひと波ごとにのりきっていかなければならない、入り口と出口をさがしてできるだけ段差のないところを走るのである。
まちがえれば1mから2mの段差で艇はドシンと落ちる、その衝撃で船体はビリビリ振動するのである、無理をすればマストや船体が破損する可能性がある。
朝6時から昼12時まで自分で舵を握り真剣に走る。
12時過ぎにやっと波が規則正しくなってきた、やっと黒潮を横切ったのだ。