【ねねと子飼いのキヨミツパロ?】



※バラエティCDのねねと子飼いネタをキヨミツでやってみたというお話。

「不本意だが貴様らに留守を頼みたい」
三成が清正と正則を呼びつけひとつの鍵を差し出す。
「おねね様から俺が仰せつかっていたことなのだが、秀吉様の命で至急、届け物をせねばならなくなったのでな、これは蔵の鍵だ、その中にあるおねね様秘伝の書とやらを俺が戻るまでの間守ってもらいたい」
そう言って三成は清正の手に鍵を握らせた。
「はぁ?頭デッカチが鍵を持ってけばすむ問題じゃねえのか?どうせ鍵がねえと入れねえんだしよぉ。」
正則は面倒くさそうに首筋をぼりぼりとかきながら三成に聞き返す。
そんな正則の様子に三成ははぁ〜とため息をつくと頭を押さえた。
「だから貴様は馬鹿なのだ、もしも道中万が一にも落としてしまったらどうする、鍵までかけて保管されるほどの書なのだ・・・留守を狙い他の忍がやってくるやもしれぬのだぞ・・・忍びにとっては鍵なぞどうとでも出来るであろう。」
事の重大さを諭すように三成が強めの口調で正則を窘める。
鍵はあってないようなものなのだと、既にねねから守り主を交代するという件についての書を送り了解はもらっていることを三成は伝えた。
「・・・・・分かった、俺たちが責任を持って預かろう」
「頼んだぞ清正、正則・・・・俺は明朝には戻る、くれぐれも俺が戻るまで誰も入れぬようにするのだぞ」
そう言った三成は上衣の裾を翻すと急いでいたのか、パタパタと廊下をかけていった。
その後ろ姿を見送りながら清正は改めて手の中に納まった鍵を見た。
鈍色に染まるそれはずいぶんと古いもののようで、ねね秘伝の書以外にも重要なものが置かれている蔵のようであった。
「さて、なら俺たちも蔵へ向かうか。」
「おうよ!!」



夜は更け、清正と正則は蔵の中で札遊びをしながら三成が戻るのを待つ。
「あーあ・・・また俺の負けかよ〜・・・清正、お前強すぎ!」
「正則はすぐ顔に出るからな、勝負の前にまずはそれをどうにかしろ。」
大の字に寝転がりながらうな垂れた正則を見て清正はクスリッと笑いながら札を片付け始める。
札遊びをしながら周囲に気をめぐらせていたのだがどうやら敵が居るような気配もない。
「なあ、清正・・・・・なんか足音聞こえねぇか?」
「・・・・足音?」
その時、ふと正則が起き上がり扉のほうを指差した。
その言葉を受けて清正は耳を傾ける・・・そう言われてみればかすかにではあるが人の足音らしきものに聞こえた。
清正と正則は目で合図を送りそっと傍らに置いた武器を手に取った。


ゴンゴンゴン!


っと扉が叩かれる。
『清正、正則・・・中に居るのだろう俺だ、開けてくれ。』
扉の外から聞こえたのは良く知る三成の声、清正と正則は息を吐くと扉へと近づく。
「なんだよ頭デッカチ、ずいぶんと早いじゃねえか。」
『あぁ、荷受の者が途中まで来ていたのでな、予定の半分の時間で終えたのだ。』
だから早く開けろとばかりに三成はもう一度扉を叩いた。
それを受けて正則がかんぬきを外そうとしたのだが、なにやら考え込んでいた清正がハッとしたようにその手を止める。
「正則・・・おかしくないか?」
「はぁ?何がだよ・・・・・・」
「俺はさっきからずっと人の気配を探っていた・・・扉の前に居るのが本物の三成ならばなぜ気配を消している?」
清正のその言葉に正則も目を見開く・・・・
以前ねねが見事秀吉に化けて正則達にいたずらをしてきたのは記憶に新しい、忍ならコレぐらい出来て当然と得意気に胸を張っていたのだから。
「・・・三成。確認するが・・・・お前は本当に俺たちの知る三成か?」
『貴様は馬鹿か?・・・先ほどからそう言っているであろう。早くココを開けろ。』
三成はもう一度ゴンゴンッと扉を叩いた。
「お前が本当の三成ならなぜ気配を消している・・・」
『あぁ・・・秀吉様の命がお忍びであったのでな・・・・・・コレならばいいか。』
扉の外の三成が一呼吸置くと、清正達が良く知る親しいものの気配が感じ取れた。
「なんだよ、ビビらせんなよな!」
「待て、馬鹿・・・・・・忍なら気配ぐらいどうとでも出来るだろう。」
また扉を開けようとした正則を手で制した清正はもう一度扉の外にいる三成に声をかける、何か確実に三成だと分かるものがあればと・・・・。
「三成、悪いが俺も大事な物を預かっている身だ、何かお前だと確実に確認できるものが無ければここを開けることはできない・・・・」
『・・・・なるほど、それは一理ある・・・・・ならしばらく待て。』
扉の外から気配が遠ざかる。
清正と正則はふーっと息を付いた。
「さっすが清正・・・頭いいな。」
「いや、小さい頃におねね様が本を読んでくださっていただろう、その物語のひとつを思い出しただけだ。」
その内容とは子ヤギが見事子ヤギたちの親に化けた狼に食べられてしまうという内容のもの。
しばらくその話をしていると扉の向こうから人の気配がした。
『清正、コレを受け取れ・・・・先ほど自室で書いてきたものだ』
蔵の小窓から差し出されたわら半紙を清正は受け取る。
そこにはよく知った筆跡で自分が石田三成であるということを証明するように自分の名や秀吉にどのようにして仕えるようになったかということが徒然と書かれていた。
「確かに三成の字・・・・だな・・・・・・・・」
「じゃあ開けるぜ・・・・」
清正の言葉を受けて正則が扉を開けようと手をかけたのだが、清正はそれを手で制する。
「だが、三成・・・・お前俺や他の親しいものに書を出すときは略式の署名をしているだろう・・・これは公式文書で三成がよく書いている署名だ。」
『分かりやすいように一番貴様が目にする機会が多い署名で書いたのだ、当たり前だろう。』
扉の向こうから呆れたような口調で清正の言葉に三成が反論した。
「それだけじゃない、三成にしては少し文字の跳ねが雑だ・・・三成の字は川を泳ぐ魚のように流れるような綺麗な字体だ・・・・これにはその雅が感じられん。」
『っ////・・・・仕方無いだろう、急いで書いたのだ、雑になってしまうのは当たり前だろう』
扉の向こうで三成が言葉に詰まりながら清正の言葉に説明を付け加える。
「すまんがこれだけではまだお前が本物の三成であるという確証が持てん・・・他に何か無いのか?」
『っ・・・・ならばコレは俺のお守りだ、ちゃんと刃に名も刻んである。』
そう言って次に出されたのは三成が脇にいつも差している短刀。
「だめだ、物はいくらでもごまかしがきく・・・・そうだな、お前の手を触らせろ・・・・俺の良く知る三成の手ならば絹のようにさわり心地がいいはずだ。」
『っ///・・・先ほどから聞いていれば貴様は馬鹿か・・・なぜ普通に表現できぬのだ。』
扉の外から照れ隠しで怒ったような声が上がる。
「なぁ、清正・・・・これ本物の三成じゃねえか?」
コソッと正則が清正の耳元で呟く、しかし清正は口唇に指を当て、黙るようにというしぐさをする。
「いつもより少し滑りが悪い気がする・・・・これじゃまだ三成だとは判断できない。」
清正は小窓から差し出された手をじっくりと触りながら口元に意地の悪い笑みを浮かべながら手を離した。
そこで正則は気づく・・・・すでに清正は表に居るのが本物の三成だと確信していると・・・・・それを分かった上で三成で遊んでいるのだと。
「か〜・・・・やってらんねえ・・・・・・・清正、俺は寝るからな。」
「あぁ、ゆっくりと休め・・・・」
頭に手を当てた正則が深いため息をついて持ってきたシーツの上にごろりと寝転がる。
正則も恋人達の逢瀬を邪魔するほど馬鹿ではない。
『・・・・・・そこ、何をこそこそと話しているのだ?』
不機嫌そうな三成の声が扉の向こうから聞こえてくる。
「そんなに気になるか?なら早くお前が三成だと証明して中へ入ってくればいいだろう。」
『・・・・次は何をすればいい・・・・・・・・・』
「なら俺の名を呼んで、いつものように俺に好きだと言え。」
『なっ・・・貴様は馬鹿だろう!正則も居るのだぞ、それに・・・・いつもは・・・・その・・・・・清正のほうから・・・・////』
「その言葉なら俺しか知らないだろう・・・証明するにはちょうどいいと思うんだがな・・・・」
完全に恋人との言葉遊びに入ってしまった清正と三成に正則は大きくため息をつくと、なるべく会話を耳に入れぬように意識を夢の中へと飛ばしたのだった。



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いえ、バラエティCDであまりに清正が面白かったので。
これがキヨミツだとどうなるとかいう妄想・・・・・・・
書いていて楽しかったです。


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