【花占い】



好き、嫌い、好き、嫌い・・・・・・野に咲いている花を摘み、花びらを一枚一枚取りながら物事の運命を占う・・・・・・それが花占いというもの。
清正は縁側で一人物思いに耽りながら花びらを散らしていた。
「・・・・・・・嫌い・・・か・・・・・・・・」
最後の花びらを摘み取って清正はため息混じりに頭を垂れた。
すでに5回連続『嫌い』という言葉で花びらは終わっている。
その花が悪いのだと違う花でも試してみたが結果は惨敗。
清正はふてくされたようにゴロンと横になり目を閉じた。


清正の想い人は同じ豊臣の家臣である石田三成。
天下も秀吉の下、無事に統一され、ようやく乱世に終わりが見える。
最近は戦でなく内政に借り出されることが多く、忙しくも平和な日々を過ごしていた。
心の余裕もでき、落ち着いた清正は、長年秘めていた思いを告げようと心に決心した・・・・・まではいいのだが、それを本人に伝えることが出来ないでいる。
意見の食い違いでの言い争いはあっても、嫌われていないだろうというのが清正の見解。
だが、それはあくまで嫌われてはいないというだけで、好きかどうかと言うのはまた別の話。
たとえ好意を持っていたとしてもそれが清正と同じ意味の好意でないということも十二分にありえるのだ・・・むしろそちらの確率のほうが高い。
ゆえに清正は占いに頼った。
たとえ占いだとしても自分の背中を押すきっかけになればと。
「やっぱりやめた方がいいってことか・・・」
占いひとつで情けないと思いつつも清正の心は折れかけていた、違う花を使っても結果が一緒ということであれば信憑性は十分だ。
「・・・・何をサボっておるのだ。」
突然、頭の上から聞こえた言葉に清正は驚いて体を起こす。
そこには茶碗を手にした三成が立っていた。
「花をこんなに散らかして・・・・子供か・・・」
三成はため息をつきながら清正の隣に腰を下ろす。
「・・・俺は休憩だ、しばらくしたら政に戻るさ・・・・・」
子供扱いされたことが不満だったのか、少し不機嫌そうに清正は答える。
そんな清正の様子を見て三成は少し口元に笑みを浮かべた。

(あー・・・やっぱ俺、こいつのこの顔好きだ・・・・・・)

天下統一が成ってから、三成の笑みを浮かべる回数が増えた。
特に自分の前ではこうして笑みを浮かべることが多いと清正は根拠の無い自信を持っていた。
それが告白を促すきっかけにもなったのだが。
「・・・貴様の分も点ててきてやった。政に戻るのは茶を飲んでからでも遅くはないだろう。」
ズイッと清正の目の前に差し出されたのはまだ湯気の立つ抹茶が入った茶碗。
「お、おぉ・・・・・・」
それを素直に受け取って清正は口を付ける。
「・・・・・・甘い?」
いつもであれば少し苦味のあるお茶、しかし清正の口付けたお茶はほんの少しばかり甘かった。
「抹茶に砂糖を混ぜたのだ・・・疲れた体には甘いものが良いと聞いたのでな」
そう言って三成も同じように茶に口付ける。
清正が想いを告げようと想ったのはこういった三成が取る自分への態度も関係している。
「しかし、花を千切って何をしていたのだ?」
「そ・・・それは・・・・・・・」
まさか花占いと口に出せず、清正は頭をガシガシとかきながらうまい言い訳を探す。
「・・・・・・・まさか、花占いをしていたのではないだろうな?」
三成のその指摘に清正の肩がビクリと揺れる。
「はぁ・・・そもそも二択なのだから花弁が割れる枚数であれば後から口にした言葉で終わるに決まっている。」
「・・・・・・・えっ?」
てっきり馬鹿にされるとばかり想っていた清正の耳に予想外の情報が飛び込んできて思わず三成を見た。
「なんだ・・・知らぬのか?野に咲いているような花は割れる枚数である場合が多いのだ、好き、嫌いと続けるならばほとんどの花は嫌いで終わる。」
それをねねに伝えたところ夢が無いと怒られたと三成は清正に話した。
「はは・・・・・なるほどな・・・・・・・・・・」
では今までの自分の落ち込みはなんだったんだと清正はため息をついた。
「さて、そろそろ政に戻るぞ・・・」
すっかりお茶を飲み終えた三成は清正の茶碗も手に取ると立ち上がった。
「・・・・・何を占っていたのかは知らんが・・・せいぜい割れない数の花弁を付けた花を探してくるのだな・・・・。」
三成は口元にいたずらっ子のような笑みを浮かべる。
「そう・・だな・・・・・次からはそうする・・・・」
清正も三成同様立ち上がると三成の横へ並び二人並んで歩き出した。
割れぬ枚数の花を見つけたなら三成に想いを告げようと・・・そう心に決めて。



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花びら6枚構成の花が多いんだよ〜っという話を聞いて。
花占いの意味無いじゃん!っていうwww


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