【ふんしつ7】


突然清正と三成の関係が終わった。
否・・・清正が三成に接触しなくなったのだ。
普通に顔を合わせれば会話もするし、もちろん内政の進め方について二人で話の場を設けることもあるがそれだけで、色づいた雰囲気も話も無い。
「・・・・・清正」
三成は一人部屋で清正の衣を胸に抱きしめていた。
今日は忙しいのだろうと自分に言い聞かせて早十数日・・・自分に触れる機会や時間は幾度と無くあったにも関わらず清正は三成に一切触れて来ようとはしなかった。

『・・・清正の気が向いた時で構わない・・・・・』

三成は自分の言葉に後悔を覚えた。
あの時はそれで構わないと、そう信じていたから。
だが実際はこうだと・・・清正が辞めたと言えば簡単に終わらせてしまえる関係。
もしかしたら清正は自分に愛想をつかしてしまったのかもしれないと・・・
「好きなのだ・・・清正のことが・・・・・・・俺は・・・・・・・・」
体の底からわきあがってくる悲しみと絶望。
どうすればこの関係を保てるのだろうかとわずかに残った希望で三成は考える、もっと自分が頑張れば何とかなるのだろうかと・・・・仮にこの関係が本当に終わってしまうというのならば、もう一度最後に抱いてもらいたいと。
「清正は・・・・呆れるのだろうな・・・・・・こんな俺に・・・・・」
自虐的な笑みを浮かべて、三成はゆっくりと立ち上がり湯船へと向かった。

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「はぁ・・・・・・・」
清正は部屋で杯を傾けながらため息をつき、かゆくもない頭をぼりぼりとかきむしる。
三成にはもう触れないと決めたあの日から、気を紛らわせるために酒を煽ってみるが酔うことはなく、眠れない日々が続いていた。
もちろん秀吉の女遊びに付き合う形で忘れようとも思ったが、どうにもそういった気分になれず、結局飯と酒だけをたしなんで帰ってくるという始末。
「そろそろ寝るか・・・・・」
清正は床にゴロンと横たわる、触れてこないことに対して、三成はどう感じ、どう思っているの・・・できれば自分と同じ感情を持っていて欲しいとそう願いながら。



いつの間にか寝てしまっていたらしい清正は自分の体に違和感を感じてゆっくりと目を開く。
「み・・・つ・・・・・・なり?」
清正の目に飛び込んできたのは清正のものを口に頬張っている三成の姿。
あぁ、とうとう夢に見るまでになったんだなと、そんな風に考えもう一度目を閉じようとした清正だったが、夢にしてはやたら感触がリアルで・・・・・・。
まさかと思い目を開く。
「ん・・・清正・・・・・・・・」
「っ・・・三成・・・・・・これ・・・は・・・・・・・・」
どういう事だと問おうとするが、寝起きの頭はうまく回転が掛からず、腰から来る甘い快感に思考をすべて取られていた。
「っ・・・三成離せ・・・・・・出る・・・・」
そのまま快感に身を委ねていた清正だったが、覚えのあるもよおしに三成の頭を引き離そうとするが、三成はかたくなにそれを拒否し、清正のものを咥えて離さない。
「くっ・・・・・・」
清正が息を詰めたのと、三成の咥内に清正の欲が放たれたのはほぼ同時。
三成はゴクンと喉を鳴らすと残滓まで吸い取るように飲みきった。
「・・・清正・・・・・・・・何も言わず、このまま・・・・・・」
口元を拭いながらそう言った三成は帯を解きながら清正の上に跨る。
「んっ・・・・・・っ・・・・」
三成は腰を浮かし前のめりになると自分の後孔へと指を沿わせ、ゆっくりとその指を沈めていった。
「ぁ・・・・・きよ・・・まさ・・・・・・・」
切なげに名を呼びながら三成が自慰行為を始める。
「三成・・・・・お前?!」
ツー・・・・と一筋の涙が三成の頬を伝い清正の頬へと落ちる。
それは止まることなく、二筋、三筋・・・・と・・・・・・・・・・
その異様な光景に、清正は三成の腕を掴み自慰行為を止めさせた。
「何があった・・・・・・」
清正としては何か辛いことでもあったから気を紛らわせようとしているのかと思ったのだが。
「・・・・き・・・・なのだ・・・・・・・・・」
しばらくの沈黙の後ボソリと呟かれた言葉。
「清正が・・・好きなのだ・・・・・・・頼むから俺を嫌わないでくれ・・・・・・・後生だ・・・・・・・」
清正はその三成の言葉に思わず絶句した、もちろん嫌ってなどいるはずもなく、むしろその逆。
そんな清正の沈黙をどう捕らえたのか・・・三成はゆっくりと体を起こすと流れる涙を袖口で拭いながら乱した衣類を整え始めた。
「・・・妙な事を言ってすまない・・・・・清正の気が向いた時で構わないと言ったのは俺なのにな・・・・・」
馬鹿だなと呟いて、三成は悲しげに目を伏せた。
「いや・・・・・馬鹿は・・・・・俺のほうだ・・・・・・」
清正は悲しげに目を伏せていた三成の腕を引くと、自分の胸元へと抱き寄せる。
「あれだけ抱き合っといて・・・まだお前に肝心な事を告げてなかった・・・・・ここまでさせて・・・・すまん・・・辛かったよな?」
突然の清正の謝罪に、今度は三成が沈黙する。
「俺も・・・・・お前が好きだ・・・・・・・」
てっきり関係を終わらせる言葉を言われるのだと思っていた三成だったが、思いもよらない告白に、驚いて清正と目線を合わせる。
「・・・・・それは・・・・どういう・・・・・・」
期待してはいけないと思いながらも三成の胸の鼓動はだんだんと早くなっていく。
清正はそんな三成の頬へ手を滑らせると、目元に溜まった涙を拭うように頬を撫でゆっくりと言葉を紡いだ・・・・・
「俺の恋人になってくれないか?」
「・・・・本当に・・・・本当に俺でいいのか・・・・?」
まだ信じられないといった様子の三成に清正は笑みをこぼすともう一度三成の体を抱き寄せた。
「俺はお前がいい・・・・待たせて悪かった・・・・・・」
その言葉と腕の温かさに三成の目から止まりかけた涙がまた溢れてくる。
自分はこんなに泣き虫だっただろうかと思いながらも涙は止まることが無く・・・・そんな三成の心境を知ってか知らずか、清正は三成の目じりに口付け、そのまま口唇へと口を寄せる。
「・・・・今夜は帰せそうにないんだが・・・いいか?」
「俺も・・・・帰るつもりはない・・・・・・・・」
互いの言葉にクスリと笑いながら啄ばむような接吻を何度も繰り返す。
朝が来るまでずっと・・・二人は時間を埋めるように抱き合った。



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やっぱり最後まで女々しい三成ですいません・・・でも楽しかった。


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