くじらの寄る港アルバニー、WAの森林地帯デンマーク、ペンバートン


アルバニーはトップ・ツーリスト・タウンと呼ばれるほどWA一番の観光地。
パースから直接行くと4時間半くらいで着く。
エスペランスよりは随分大きい街だが、
煉瓦造りの古い建物があったりして、こじんまりとした可愛い街だ。
マウント・クレアランスという山の上から一望をみわたすと、
小さな島がたくさんあり、日本の瀬戸内海の風景みたいだ。

アルバニーは、昔は捕鯨で栄えた街で、鯨博物館もある。
この鯨博物館にあるコーヒーショップからでも、運がよければ鯨がみられるらしい。
余談だが、オーストラリアを含め、西洋から日本の捕鯨が非難されるのは、
日本の捕鯨方法に問題があるようだ。
ドキュメンタリーで取り上げていたが、
日本の方法は銛で打ってから、鯨が死ぬまで45分もかかるらしい。
はじめて、捕鯨の様子をみたが、確かに、映像で見ると残酷な感じがした。
もうかたちをした鯨の赤ちゃんの死骸が出てきたのも、ショッキングだった。
西洋人は、動物を殺すにも
なるべく痛みの伴わない方法でするというのに価値をおいているみたいである。
フリーマントルの港からアラブに輸出される羊たちを止めようと、
動物保護団体が羊の渡航の改善を求めてデモをしているのを
ニュースで見たこともある。
これらの生きた羊たちは、
日本のラッシュアワーの満員電車にでも乗るような窮屈な船で

長時間劣悪な状態で輸送されているからである。

WA版東尋坊、ギャップという岩の岸壁に行く。
岩場の危ない場所でも
”すべりやすい”というような注意の表示板はあるけれども、
”立ち入り禁止”はなく
”自分の責任ですすみなさい”というような意味の表示板がある。
頭から禁止する日本とは違う。
やはり、自己責任の国ならではだ。
ヨーロッパ系の旅行者たちは、
近くまで行くだけでも、息を呑むような急な岸壁に平気ですわって
おしゃべりしながら楽しんでいる。
太郎は、高所恐怖症なので
こうゆう場所は苦手だった。
花子も太郎も、ここでの海の色は
エスペランスで目のさめるような色と比べると、感動を誘うものではなかった。

アルバニーでのお勧め宿は、ちょっとリッチにエスペラナード・ホテル。
このホテルは規模的に大きくはないが、
ホテルの目の前はビーチで、夜でも散歩できる。
建物の中の中央は ラウンジになり、本や新聞をよめるスペースがある。
部屋には、お風呂のタブ(浴槽)もあるので、日本人にはうれしい。
気にいって
3回ほど泊まったが、
従業員は、いつ行ってもみんなフレンドリーだった。

時間があれば、トゥー・ピーポールズ・ベイをお勧めしたい。
きれいな海岸線で泳ぐにはもってこい。
エスペランスもそうだが、アルバニーでも “たつのおとしご”が生息している。
でも、藻に似たその姿を見つけるには至難の技かもしれない。

アルバニーから、1時間くらい西に行くと、
デンマークという木の香りのする街がある。
ここは、パースで、観光ウィークの時に
キャラバン屋のオーストラリア人が
南では一番好きなところといっていたので、花子も太郎も期待していた。
ユーカリの木がたくさん茂り、その近くに川もながれている。
野鳥がたくさんいそうな雰囲気だ。
夕方、ウィルソン・インレットという入り江に行くと、
潮がひいて湿地になったところに、たくさん鳥がやってきている。
この日はデンマークにつき、
泊まるところを
いろいろまわってみたが、
結局、太郎が決めたホテルで、
外観はレトロ風でよいのだが、中は病院みたいで、花子はぶつぶつ怒っていた。
というのは、
ベッド・アンド・ブレックファースト(B&B)という個人の家を開放して、
かわいいところがあったのに、
ヘビースモーカーの太郎がタバコを吸えないからとやめたのである。
そして、観光バスがとまっていたホテルに

きっと良い部屋だろうと思い泊まることに決めた。
いつもなら、先に部屋をみてから決めるのに、この時に限ってみなかったのだ。
夜、部屋がくつろげず、しょうがないので、外に行くと、
夏休みなので、野外劇場で子供のための劇があった。
小さな街なのに、どこからともなく人が集まってくる。
が、ここの住民は
ほとんど白人だった。

次の日は、ウィリアム・ベイ国立公園に行く。
グリーン・プールという所は、ビーチに大きな岩の間に水溜まりがあるという感じだ。
夕焼けもきれいだったが、
日中は そのグリーン・プールをごちそうにピクニックは最高だった。
グリーン・プールの裏手には、
エレファント・ロックと呼ばれる岩があり
ほんとに象の後姿みたい。
そのエレファント・ロックのある周辺は

ゾウのお尻のような岩と海が調和して、
おとぎ話のワン・シーンでてくるみたいな景色で、
花子も太郎も友達も感動していた。
朝、デンマークを出発して、
ワールポールという幹が直径4mはある巨木のあるジャイアント・バレーにいく。
ここは期待したほど、たいしたことはなかった。
そして、途中、
ノースクリフのフォレスト国立公園を通ってペンバートンについた。
エスペランスやアルバニーとは
全く違い、
このあたりはユーカリの木が多く、木の高さが高い。
そして、時折、小さな青や緑のすずめくらいの大きさの
可愛いカラフルな鳥に出会えるのはナチュラリストには嬉しい。

ペンバートンでは、デンマークで宿泊がハズレだったので、
花子と太郎はカリ・リゾートにリッチな気分でとまる。
モーテルの部屋だが、ベランダは川に面していて
川をみながらボーッとできる。
オージーは、何日も同じ所に泊まり、
しずかに景色のいいところで本をよんだりして過ごす人がおおいようだ。
この日、コテージに
56人のアジア人客が泊まっていて、
麻雀の音が夜遅くまでしていた。
そして、翌朝早くには
もうすっかり、その人達は帰っていた。
こうも、休日の過ごし方が違うのかと感じた日だった。
翌日、マロン・ファーム(くり農場ではない。)という、
マロンという種のザリガニを養殖している農場にいく。
普通、マロンはオレンジ色なのだが、ここのマロンはブルー・マロンといい、青色をしている。
ゆでたマロン(ブルー・マロンは数がすくないので、普通のマロン)
を食べたが、カニみたいな味でなかなかおいしかった。

質問好きな太郎は、農場のオーナーの人に

マロンは どのように増えるのかという質問をしていた。
マロンは
大人になるまで、2年もかかるらしい。
このオーナー、大学で生物学かなにかを勉強して、
会社員から独立してこの農場をしているというようなことを言っていた。
すぐ、なんでも自分ではじめてしまうのが、オージーらしい。
そして、その近くのラベンダーとベリー・ファームは、
イングリッシュ・ガーデン風で、農場をみわたしながら
お茶できる。
花子のお気に入りはベリー・シェークとマフィンについていた手作りジャム。
そして、バッセルトン、ダウンズボローからパースに帰途につく。
バッセルトンには、南半球一長い、木でできた桟橋がある。
釣りをするなら、この桟橋は最高の場所だろう。
が、やっぱり、エスペランス、アルバニー、デンマークがお勧め。


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A Copyright Holder: A.Yamaoka 1/3/2000