チェンライで優雅(?)にゾウで山越え


チェンマイから さらにバスで6時間程北に、チェンライという北部第二の都市がある。
花子と太郎が乗った このバスは舗装されてない道も、
急な坂道も おかまいなしにスピードをむちゃくちゃ出して走っている。
運転のうまさが自慢の太郎には、日的地に着くまでは気が気でなかった。

チェンライは、こじんまりした街で あまり観光化はされていない。
が、こんな片出舎にも24時間のコンビニがあり、
日本のお菓子(ポッキーなど)や、ヤクルト、花王のロリ工まであり、日本人には便利。
それに、北に行くにつれ 物価がより安くなる。
一番驚いたのは、こんな片田舎のホテルで24時間アメリカの英語放送が聞ける。
ここには六日間泊まることにする。

まずは、観光局にいくと、チェンマイとは大違いで親切な職員。
どうも日本人が好きらしい。日本人が経営するゲストハウスを教えてくれた。
おまけに日本人の誰かが置いていったと言う旅行雑誌までくれた。
日本人の経営するゲストハウスに泊まるつもりで行くが、
お風呂がないのでやめに。
なんせ、チェンライで予定していたお風呂がなかったもんだから、
そんなに高くないのならお風呂ホテルに泊まりたい花子と太郎。
ここの日本人経営者のおじさん、といっても花子と同じ位の年で、
タイの女性と結婚して、ここに住まれている きさくな人。
チェンライ滞在中、食事とお茶のみかたがた何度か話をしに行き、
地元の話などを聞かせてもらった。

チェンライで、大きなホテルは2軒しかない。
はじめ行ったホテルは高くてパス。
2度目のところは、海外からの団体客が入っていて1部屋もあいていなかった。
しょうがないので、はじめのホテルに行くが、
今度はなぜか割り引きに応じてくれ、このホテルに泊まることにする。

初日はキャベツ・アンド・コンドームというユニークな名前の
NGOが経営しているレストランと山岳民族(正確には丘民族?)博物館へ。
博物館といえども、2階のフロアーに少し展示物があるだけだが…。
ここの収益は、山岳民族のエイズ防止の為、プログラム実施や
経済的自立の支援などに使われるらしい。
ただ、ここの職員の待遇は、タイ人の標準から見ると、かなりいいように見えた。
花子と太郎は、ここで、山岳民族の生活様式のスライドを見せてもらう。
ここで働いていたラオ族のコーディネー夕―の人は
以前、日本人の協力で 蕎麦の作り方を学ぶために
名古屋に住んでいたことがあると言う。
この人によると、この辺の畑仕事は一日二百五十円くらいで、
街でホテルの掃除などの仕事につくと、その倍以上の収入になるという。
ただ、山岳民族は タイ国籍を持たないので働き先が限られるらしい。

翌日、花子と太郎は、観光局であった日本人旅行者と一緒に
渡し船で 45分かけて、ルアンミットという山岳民族の
カレン族(象使いで有名)の村に行く。
朝、トリショーの運チャンに「船着場まで行ってください。」というと
リゾートのところへ連れて行かれ、
人が誰もいないので花子も太郎も不安になり、どうしょうかと思ったが、
幸い、そこにいたタイ人のひとが「向こう岸だよ。」というようなことを、
運チャンに教えてくれたので、1日に1回しか出ない舟にまにあって到着できた。
目的地に一応つけたので、花子は 乗る前に交渉したより、
ちょっと多めのお金を払うと、その運チャンは うれしそうにかえっていった。
船着場は、ほとんどが欧米系の観光客だった。
たぶん、日本人だから リゾートのほうに連れて行かれたのだろう。
ちなみに、この船着場は、タイの一般の人も利用しているので安い。

ルアンミットの村では、船着場近くには、観光客向けの象がいたり、
土産物のお店が並んでいる。
少し行くと 小学校があつたり、ニワトリが放し飼いにしてあったり、
店屋の前や裏には、民芸品を作る民族衣装を着たおばちやんがいたり…。
観光客はまばらにいるだけで、時間がゆっくり流れ、ほのぼのとした風景だった。
そして、この村から、隣のヤオ族の村まで1時間半ゾウに乗つて山越え。
それも、人がひとり、やっと通れそうな道を あの大さなゾウで行くのだ。
ゾウ使いの人のゾウの扱い方の上手なこと。ゾウは嫌がっていても、
うまく進ませるのである。ただし、若いゾウ使いには、
やっぱり慣れていないのか、ゾウは反抗的だったが。
途中、野火のようなものが有り、ゾウは火を怖がるという事も初めて知った。
そんな狭い道幅のところ、途中、向こうの村から来た
ゾウに乗った観光客とすれちがう事もあった。
映画でよく見るように ゆうゆうと行けると思っていたら 大きな間違い。
峠を登る時は まだ ましだけれど、
降りる時は振り落とされないように 必死で手摺に掴まる。
お陰で、花子も太郎も、次の日は腕が筋肉痛に。
暑いので、ゾウは体温を下げるため、
鼻から水(もしかして、鼻水?!)を出し、体にかける。
これが 不意にやってくるので、よけられず、全身グショグショ。
(花子は、このゾウの鼻水で首にアレルギーの湿疹ができた。)後で、
地元の英字新聞で読んだが、このルアンミットの村は、
ゾウの観光収入で山岳民族が経済的に成功している例らしい。
帰りに 山岳民族の中で一ばん貧しいと言われている
アカ族の村の前で少し止まると、
子供たちが 土産物を買ってもらおうとドット一斉にやって来たのには驚いた。
ヤオ族の村からの帰りは、ソンテウというミニトラックで街まで。
日本の田舎に良く似た、
山に囲まれた秋の夕ぐれの景色だった。

翌日、花子の首の湿疹が、あまりにもひどくなり、
ホテルで「近くのお医者さんの住所をを教えてください。」と聞くが、
そこそこ大きなホテルなのに、全然情報が得られなかった。
しょうがなく、困った時の日本人だのみで、
近くでゲストハウスをやっている日本人の主人の所に聞きに行く。
主人は留守だったが、奥さんが、
「すぐ近くにクリニツクがあります。英語も通じますよ。
保険なしでも、そんなに高くないです。」と、
親切に行き方とクリニックの名前を教えてくれた。
さっそく、そのクリニック行くと、小綺麗な医院で女医さん。
英語も通じたし、保険が なくとも
診察料、飲み薬、塗り薬、アレルギー用石けんなど、全部で千円くらい。
薬のおかげで、翌日は だいぶん湿疹もひいいた。
ここでは、一日千円あれば 充分、朝、昼、晩食べて、
安い宿に泊まれのだから 地元の人にとっては
この医療費は高く、医者にかかれない人もたくさんいるんだうう。
ゲストハウスの日本人主人によると、
この北部はエイズ患者数が多く、
彼の知っている人の中でも最近、三人もの人がエイズでなくなられたという。


HOME

A.Yamaoka 1/3/2000