RDF(Refuse Derived Fuel)はゴミ問題の救世主となるか?


提言

1.各地方自治体の長は、新規焼却炉の建設禁止宣言をする事。
2.ゴミ処理の優先順位を環境基本条例に明記
する事。
3.ゴミ収集の有料化やディポジット制の活用で、ゴミ問題無関心派をも巻き込む事。
4.再利用、リサイクル、コンポスト化のシステムを構築する民間事業活動への
社会的責任を自覚した地方金融機関よる融資。
5. 減量、再利用、コンポスト化、回収、リサイクル化などの数値化及び目標値の設定。
6.既存のゴミ分類方法を変更して、まず有害ゴミとそうでないゴミに分類すること。


太郎「この間の読売新聞の社説では、RDFが
ダイオキシン問題やゴミ問題の切り札になるようなことが書かれていたけど、
所で、RDFって何なの?」


花子「RDFって、Refuse Derived Fuelの頭文字をとっているんだけど・・・。」

太郎「そんな、横文字並べられたってわかんないよ。」

花子「RDFっていうのは、一般廃棄物から
紙、布、木、プラスチックなどの可燃物を分別し、粉砕、圧縮、乾燥して
容積約5分の1の棒状固形燃料
として使用すると
説明されているの。」

太郎「説明されているとは、どういうこと?」

花子「前にも言ったように、
一般廃棄物といっても一部の産業廃棄物も混じっているの。
それに、
不燃物と可燃物を厳密に分ける方法は、技術的には可能なのだけど、
コストを考えると厳密に分ける方法ないに等しいの。」

太郎「要するに、いろんな種類のゴミも混じっているというわけだね。」

花子「大切なことは、
不燃物と可燃物が混じっていることでなく、
有害ゴミがまじっていることなの。」

太郎「どういうこと?」

花子「厚生省も検討中みたいだけど、
一般廃棄物と産業廃棄物という分類は、
環境問題の視点から考えると、あまり意味をなさなくて、
むしろ
有害ゴミと
そうでないゴミとに分類するほうが、理にかなっているの。
実際に、
欧米ではそのような分け方を重要視しているのよ。」

太郎「おばあちゃんの大好きなおからが、
なぜ産業廃棄物に含まれるのかってことだね。
ところで、固形燃料を作りだす過程でも、
たくさんのエネルギーを消費することになると思うんだけど、
なぜ直接燃やさないで、
わざわざ固形燃料に変える必要があるの?」


花子「まず、ゴミをそのまま燃やすゴミ発電より、
燃料(ゴミ)がいつも確保されているから
安定的に発電できるわ。
それに、
塩素成分を抑制する添加剤を使っているから
ダイオキシンや焼却灰の減量にもつながると
RDF推進派は言っているわ。」

太郎「ダイオキシン発生量が少なくなり、
ゴミ発電の発電量が増えるなら、
エネルギーを消費して固形燃料を作ってもいいことなんじゃないの?」


花子「まあ、読売新聞の社説でも言ってるくらいだから、
太郎くんがそう考えるのはしかたがないわね。」

太郎「いったい何が問題なの?」

花子「ゴミを固形燃料化して、それを、
どこかのゴミ発電所で燃やして
発電した電力を関西電力などに売電するんだけど、
そうするには、
ゴミを大量に安定的に確保する必要があるの。
イギリスでは、RDFではないけど、ゴミ発電の燃料のために
 わざわざゴミをドイツから輸入しているのよ。
だから、RDFは、ゴミの排出抑制には、つながらず、
逆に
ゴミを出すことを奨励しているのと同じことになるのよ。
このことは、
1993年度にできた環境の憲法である
環境基本法に書かれている
ゴミ処理の優先順位の低いゴミ処理法(焼却)が、
優先順位の高いゴミ処理方法
(ゴミ最小化、再利用、リサイクル、コンポスト化)の
推進を邪魔することになるわ。
こういうことをすると、
今、真剣にリサイクル運動に関わっている人達を
がっかりさせることになると思わない?」

太郎「僕はリサイクルには関わってないから、
そんなことどうってことないけどね。
それに、
今、みんなが心配してて、
人体に影響ある
ダイオキシンの発生が抑制されるなら、
そのほうが価値があるよ。」


花子「ほとんどの化学物質では、
許容量という考え方が受け入れられるのだけど、
いわゆるダイオキシン類を含む環境ホルモンについては、
少量でも人体に何らかの影響があるという事が、
ほぼ世界中で定説になりつつあるのよ。
だから、
ダイオキシン問題の解決法としては、
その量を限りなくゼロに近づけるという方法でしかないの。

それに、現在 東京の杉並区の井草で起こっている
杉並病の問題もあるし。」

太郎「杉並病はゴミの中継所問題と大気汚染(特に環状8号線)の
複合汚染と言われているよ。」


花子「RDFも、焼却処理方法のひとつなんだけど、
物を燃やせば容積や重さがゼロになるのではなくって、
必ず重量比で、15%から20%くらいが灰という形になって残るのよ。」

太郎「僕も含めて、燃やせば何もなくなって
解決すると思っているという人がほとんどだよ。」


花子「それに、その灰はね、炉に入れられる前の有害物質を含む
(そのままでは、そんなに有害ではない)ゴミが濃縮されて、
非常に危険な灰(さざまな環境ホルモンを含む)
に変わるの。」

太郎「だから、高濃度のダイオキシンで一躍全国の脚光をあびた
能勢の焼却炉で、灰処理に従事していた人達が
ガンにおかされたり、健康を害したりして、今、訴訟をおこしているんだね。」


花子「だから、結局、燃やしても問題の解決にはつながらないし、
埋め立て処分場の延命策にしかならないわ。
それに、
たとえダイオキシンをなるべく少なくする最新の技術を取り入れた
最新の焼却施設を作っても、
その焼却炉で、何十年間かゴミを燃やし続けないと、
膨大なお金をかけて建設した焼却施設のコストが
ペイしないから、その間、
ゴミの減量化やリサイクルの推進はできないことになるわ。」

太郎「ふーん。この環境技術先進国日本の最新鋭の焼却炉を導入すれば、
ゴミ問題は解決すると思ってたよ。」


花子「太郎くん、重要なことを思いつかせてくれたわ。
あまり一般には、議論されていない問題なんだけど、
焼却炉の一基当りのコストは莫大で、
各自治体の財政の重荷になっているの。
それを表面化しないようにするために、
政府が補助金をだして、自治体のその負担を軽くしているんだけど
結局は、私達の税金が使われているのよ。」

太郎「日本人は、環境問題になるとコスト意識がとんでしまうよね。
それに、中央も地方も財政難の時代だかれらね。」


花子「だから、つい最近、厚生省も
従来のゴミ問題に対する姿勢(焼却、埋め立て中心)を
やめるという事を審議会に答申していると発表したわ。」

太郎「なんでも、お金がなくなると方針が変わるんだね。
ところで、花子さん、どうすればゴミ問題が解決するのかなあ?」


花子「まず、自治体の長が、新規のゴミ焼却炉建設の禁止を宣言し、
環境基本条例にゴミ処理の優先順位
(1.最小化、2.再利用とコンポスト化、3.リサイクル、
4.適正処理(焼却、ゴミ発電、埋め立て))を明記しないといけないわね。」

太郎「そんなことをしたら、
ゴミ問題を真剣に考えなければならなくなるよ。
ぼくは、あまり関心ないから、どうでもいいけどね。」


花子「そんな太郎くんみたいな無関心派も巻き込むために、
ゴミ収集費用の有料化やディポジット制の導入をすべきね。」

太郎「もし、そんなことになると、不法投棄が増えると思うけどなあ。」

花子「そうね。政府が導入を進めているんだけど、
民間に不法投棄監視の役割をまかせるの。
それに、
警察も、最近は、すでに不法投棄を厳しく取り締まる方針に従い実行しているのよ。」

太郎「でも、駐車違反とおんなじでイタチゴッコに終わるんじゃないかなあ。」

花子「それは、やり方次第だと思うわ。
例えば、名前を公表したり、罰としてシンガポールのように
公衆でプラカード(私は不法投棄をしましたというような。)を
掛けて清掃作業に従事させるとかね。」

太郎「それは、厳しすぎるよ。人権擁護団体から攻撃されそうだよ。」

花子「要は、いろんな方法があるってことなの。」

太郎「ただ、今の状況じゃあ、いくら再利用や、リサイクルしたくったって
一部のもの(ペットボトルや紙パックなど)しかひきとってくれないよ。」


花子「だから、そのためにもそれらのシステムの早期構築が必要になるのよ。」

太郎「なんで、早く出来ないの?」

花子「それは、環境問題は外部不経済といって、
市場経済の枠組みの外にあるのに、
その対策のための施策が市場経済の価値観で評価されるので、
どうしても不経済になりやすいのよ。
その弊害を除くには
費用対効果を考慮しながら そのやり方に
ハンディキァプをあげないと そのやり方は
市場経済の枠内では機能しないよね。」

太郎「だから、再利用、リサイクル、コンポスト化のシステムを
構築する民間事業活動への
社会的責任を自覚した地方金融機関よる融資が
必要なのか。」


花子「そのとうり!
それに、減量、再利用、コンポスト化、
回収、リサイクル化などの
数値化及び目標値の設定が必要ね。」

太郎「そうすれば、一般の人にも判りやすくなるよ。
一方、行政側は大変になるだろうね。」

花子「本当に、解決したければ数値化及び目標値の設定は、
絶対必要な事だから、それは避けられないわよ。」

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K.Nihei (3/21/01)