ついのべ(日記) 面倒だからまとめて、log15。普通っぽくノマカプぽいやつ。








七夕話



大陸の、高い山と深い谷の隙間にできた小さな村に立ち寄ると、甘菓子の匂いと線香の煙が立ち上っていた。
昼間は僅かな平地にある畑の世話をしている男たちがいないけれど、女たちの賑やかな声は村長の家付近から聞こえてくる。

「何かのお祭りかなー? おいしそーな匂いー!」

匂いの元へ、すぐにでも飛んでいきそうなチップを捕まえて、小さな小屋を覗いてみると。

「ソニック、こちらへいらっしゃいな」

一番小さなイーリンが手招きしてくれた。
皆が手に手に鮮やかな布に刺しゅうをしている。

「へえ。いつも遊んでばかりのイーリンも針仕事か?珍しいな」
「だって、もうすぐ七夕節だもの!」
「たなばた…ああ、月暦だともうすぐなのか」
「えー?何のお話?ねえチップにも教えてよ」

ジタバタ空中で足踏みするチップに、リンおばあさんが話してくれた。
7人の仙女が川で水浴びをしていた時に、ひとりの牛飼い男がその中の一人に恋をした。
その仙女と結婚したけど、他の6人も地上に留まり機織りや針仕事をしていた。
やがて7人の仙女は天に還ったのだけど、牛飼いと生まれた二人の子供たちは廟を立てて仙女たちを奉った…そのお祭りが七夕節。

「7人の仙女様に倣って、針仕事が上手になりますように、すてきな結婚ができますように!ってお祈りするのよ」
「わあ。エミーが聞いたら大喜びするお祭りだね!」
「No way! 勘弁してくれよチップ」

小屋の中が弾ける笑いに溢れた。
ナツメ餡の焼き菓子を喜んで頬張るチップの隣で、リンおばあさんが「そういえば」と切り出した。

「シュイフォンが言ってたんだけどね。遺跡近くの竹林で、また夜のヤツらが出たらしいよ」
「またぁ!?」
「仙女さまたちの水浴びでも覗きにきてるのか?そいつはちょっと許せないな」
「今夜いってみようよ!」

正義感に燃えるチップの皿から、最後にひとつだけ残った焼き菓子を、ソニックが狙って食べた。
次の瞬間、悲鳴がチュンナンの村中にとどろいた。


さて。
7仙女さまは竹林近くの川で水浴びしてるのでしょうか?
それとも水浴びしてるのはソニックそっくりの黒いハリネズミでしょうかwww

ウェアホッグさん、がんばってくださいねww
2010.07.07




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「わたしは幸せよ。シャドウは?」

金の髪を揺らす少女がボクに問う。
でもボクは幸せがよくわからない。

「嬉しいことがたくさんあれば幸せ?」
「それは違うわ。嫌なことヒトツで何もかも不幸に思えることもあるもの」

やっぱりわからないよ。
首をかしげたボクを、優しい手が包んでくれるのは嬉しかった。


お題:「幸福」
2010.07.13



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マリアが楽しそうに目を細め、指を唇にあてた。
温室はマメ科の花が緑の匂いを撒き散らしてる。

「もうすぐ蝶が羽化するのよ。本物の生き物だわ…」

どこから紛れ込んだのかそれはアークにいてはいけない存在だ。
他の研究署員がいれば、ボクは間違いなく指で潰しただろう。

「お願い、シャドウ」

二人だけの秘密がまた増える。


お題:「みんなには内緒」
2010.07.13



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明りの無い廃墟の中で方向を見失ってしまった。
動かない方がいい、そう頭が命じるよりも足が勝手に動いてしまう。
五感を研ぎ澄ますと、誰かが導いてくれる。

「こっちよ、シャドウ」

白い手を追って走れば、次第に像はかすんで歪み、別の夢に続いてゆく。
誰かが呼んでいる。

「こっちだ、シャドウ!」


お題:「覚めない夢」
2010.07.14



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星空を望む丘。
草原に寝転がると、その中に動く影を探している。
巨大な人工衛星は、星食を起こしながら天の川を横切るのだ。

「故郷って、大切なモンだよなあ」

仏頂面のハリネズミを思い出して笑う。
数十年も昨日のことだ。
そして、未来も明日のことも、この大地を見守る影を探して星空を見るのだろう。


お題:「月日」
2010.07.18



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「撮られたことに気付かなかったんだ」

珍しく言い訳めいた口調でシャドウが写真を隠す。
マリアと並んで写っている写真は、ソニックにはごく普通のいつもの仏頂面に見えるけれど。

「変な顔をしている」
「確かにちょっと…緊張してたのか?」
「そんな…ものではない」

笑顔の練習をしていたとは言えない。


お題:「記念写真を」
2010.07.19



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ソニックの怒った顔は珍しい。

「オレが優秀な英雄だって?人々のために尽くしてる?」

青ざめるGUN幹部の後ろでボクは静かに冷笑する。
彼を手駒にして操るには器量が足りない。
交渉決裂。
部屋を出てゆく彼を追う。

「キミが怒る理由が解らない」
「ここの連中にはシャドウでも贅沢だって言ってんだ!」


お題:「憤怒」
2010.07.19



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「ボクの邪魔をするな!」
「ヘヘッ!どっちが」

ハイウェイを滑走するシャドウを追い抜き、高層ビルのガラスに突っ込む。
キラキラと舞うガラスがレーザーを乱反射させ二人を守る。
互いに狙っているのはカオスエメラルド。

「速いもの勝ちだぜ?」
「当然だ」

青と黒が次々と見知らぬロボットを壊して行く。


お題:「共闘」
2010.07.20



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キミの腕に残るリングに微光が揺れている。

「シャドウもいつかチップに会えるさ」

星の中で眠っている友人は随分寝坊だからとキミは笑う。

「ボクだって数億年も生きていられる保証はない」
「生きててくれなきゃ困るぜ。チップを助けるのはお前しかいないだろ」
「勝手に託すな」

ボクの眉間の皺が深くなった。


お題:「永遠」
2010.07.22



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抑え込んでいた「不調」も限界だった。
私の前に現れた青いハリネズミに、もたれるようにしがみつく。

「どうしたんだ、ブレイズ?」

強い雄の匂いがする、私にはお前が、お前が、

「…Sorry,なんだかオレも…からだが」
「私の酔いが移ったのだ…お前の狂った部分を私の中に…」

早く、助けて…。


ブレソニ-発情期w
2010.07.27



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「夢じゃないんだな」

蚊の鳴く様な声。
目の前に立つ鏡映しの姿に、手を伸ばせば激しく警戒される。

「キミは、誰だ?」

あまりにもあの日のシャドウと同じで。
懐かしいなんて思ってる間に風のように逃げられた。
不安が見せた幻かもしれない。
だとしても、オレは心の奥で叫んでいた。
会いたかった、と。


お題:「叫ぶ」
2010.08.15








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日付は初出か、だいたいそのへん…。


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