before P-S
「海賊たちのいる島まで送ってってやる」
「助けてやった礼なんていらないぜ? シャーラのマジックカーペットでひとっ飛び…」
「行けるモンなら行ってみな」
フンと鼻を鳴らしたシンドバッドの後を、シャーラはウキウキと付いてゆく。
出会ったときから、シャーラはシンドバッドに一目置いてるのがわかる。
けど、どう見たって直情岩石頭のナックルズなんだから、ソニックは素直に従う気にはなれなかった。
「お前は魔法ってモンをちっとも解ってない」
「なんだよ? シャーラの魔法じゃ行けないのか?」
「リングの精ではイレイザーには敵わないだろう?飛んで行けばすぐに見つかっちまって小煩いマジンが砂嵐みたいに湧いてでるさ」
嵐で荒れる海には、一艘だって船は出ていない。
なのに、シンドバッドは迷うことなく彼の船、古くてボロいが歴戦の勇者を思わせる帆船を、桟橋から蹴り離した。
慌ててソニックも動き出した船縁にしがみつく。
「乗せていって貰いましょう、ソニック! シンドバッドの船に乗れるなんて、アラビアンナイトでは素晴らしいことなのよ!」
「わかったわかった。これでシンドバッドとの貸し借りはナシってコトだな!」
「ハハーン? ソニック、お前、レディ・シャーラがオレ様を褒めるんで妬いてるのか?」
「…やっぱりお前、ナックルズ並みだな」
「なんだとぉ!? それ貶してるだろ!」
怒鳴った勢いでシンドバッドが舵輪を離すと、船に大きな波が被った。
水を被ったシャーラは楽しそうに笑い、ソニックは必死でマストにしがみついた。
「Oh, Sindbad! ファーストクラスとは言わないから、難破だけはさせないでくれ!」
シンドバッドの爆笑も飛沫にまみれる。
舵輪がガラガラと回り、船は嵐の海を滑るように走り出した。
突然ひみリンやりたくなるの!
2010.06.18
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