日記log。その12 シャソニ




花を一本買った。
クシャクシャと集まった赤い花びらには、母への感謝が込められるらしい。

「お? いいね、カーネーションじゃないか」
「キミは買わなかったのか?」
「贈る人がいないからな」
「贈る人がいなければ、買わないものなのか?」

問えばソニックは苦笑する。
今、存在が確認できなくても、遺伝子上の「親」いるはずだ。育ててくれた人も。
なのに、返答不可を意味する笑みに、僕の唇からも言葉が消えた。

「俺は、今、お前と一緒にいられることが嬉しい」

ソニックは、花の匂いを嗅いで、それから僕にキスをした。
瑞々しい香りが僕に移った。

「なら、花は僕に渡せばいい」
「次からそうする。何がいい?シャドウにはバラが似合うかな?」

今度は僕からソニックに口づける。
正直、花のことはよくわからない。
だけど、今、僕と一緒にいるキミが、さっきよりも嬉しそうなのが安心だった。



ははのひ 2010.05.10


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「口の堅いボウヤね。そろそろ混沌石の在り処を吐きなさいよ」
「HA! 俺に拷問するだけ無駄だろ?」

ビシリ、ビシリ、鞭が唸り、ソニックの頬を傷つけた。薄く傷ついた皮膚から甘い血が染みだしてくる。
その匂いに酔いながら、黒い翼の悪魔を上目で睨みつける。

「ま、いいわ。このままアンタを捕らえていれば、アイツが出てくるに決まってるもの」
「俺を餌にしたって、シャドウは来ないぜ」
「さっきケンカしちゃったから? 嫌われたと思ってんの?」

悪魔の指がソニックの顎をなぞる。
口元から覗く鋭い牙が、彼の愛の証であることに、気づいていないとは、本当に不幸だわ、と悪魔が微笑した。
ガタガタと、強い風が、薄汚れた窓を揺らす。

「あら? お迎えかしらね」

信じがたいと目を見開くソニックの視界に、黒い霧が実体を作ってゆく。
悪魔がニヤリと笑う。
彼女が探す混沌石のひとつは、彼が持っているハズなのだから…。


ソニ・シャ吸血鬼で、ルー悪魔ねw 2010.05.15


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陰間茶屋 (シャ×じょソニ)



 「なあシャドウ、どうだった?」

 茶屋の奥部屋に入るなり、ソニックが抱きついてくる。
 かの義経公が女性であったという芝居を見事に演じ、興奮が冷めやらないのだろう。
 性急に錦の帯を解くと、未だ幼い少年の身体が現われる。

「ここでは以前のままの声を聞かせろ」

 紅色の唇を吸うと力も抜けていった。




 “仕事”の合間に茶屋へ寄る。
 僕がいない間は他の男のものだし、別の街で興業すればそこの男と寝るのだろう。
 決して安くはないのに客が途絶えることはない。

「だから、タダでもやりたいのはお前だけだって、言ったろ?」

 キミと遊ぶ金くらいは持っていると言っても、決して受け取ろうとはしないくせに。
 金の代わりに渡すものといえば、簪に扇子、好みの紅も、贈れば次に会う時には必ずそれを使っている。
 職業柄、女よりも女らしいが、さっぱりとした気性だけは彼にしか無いものだ。
 次に会う約束などしたこともない。
 それでも詰まらぬことで命を落とさぬよう、ソニックに願われることは、心地よい束縛だ。
 いつの間にやら、僕が何者なのかを問うのも止めた。

「来なくなったら死んだと思うさ」

 そうしてくれと言えば、熱を交わす情事の始まり。
 幕府隠密ともなれば妻を娶るのも躊躇うのに、この男ならば甘えられるのは別世界に生きながら同じ匂いを持っているからだろう。

「愛している」
「me too...」


ホントはよく知らなかった陰間茶屋!wikiを見てるうちにモヤモヤと・・・。 2010.05.08


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全力疾走の後でもこんなに息を乱すことなんて無い。
風の冷たさとは真逆の、籠もる熱が愛しい。

「ソニック」

名を呼んで、抱きしめてやらなければ、彼が僕を抱きしめる手が緩まない。
何故こんなに強くしがみつくのか、聞けば彼には似合わない笑みで、

不安だからさ

と答えたのだ。
僕はその言葉の意味が理解できなかった。
だけど、僕はただ彼が愛しくて、その想いで彼を抱きしめれば、彼は必ず僕の手の中で眠るのだ。

「愛している」

眠った彼から返事は無い。
閉じた瞼にキスを落として、僕も眠る。


 2010.05.21


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ソニックが来ない。
どこへやら、冒険に行ってしまい、音沙汰もない。
こんなことはよくあることだ。

新鮮な卵と牛乳、レシピより少し多めの砂糖。
水を張ったトレイにカップを並べてオーブンへ。
時折、火が強すぎないかを確かめて、出来上がりのアラームを待つ。

こんなにたくさんのプリンをどうするつもりだ?
彼ならそう聞くだろう。
僕の答えは、
山積みにして食べてみたかった。
になるのだが。

少し冷まして、冷蔵庫へ入れる。
酸味の少ないコーヒーにホイップクリームを添える。

ソニックが来れば食べさせてやるのに。


 2010.05.22


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「悪かったって!待てよ、シャドウ!」

おおよそ悪びれない口調でソニックが後ろをついてくる。
無視したいのに頬がカッと熱くなる。
大勢の人前であんなことを叫ぶなんて。
寂れた路地裏まで歩き、振り向きざまにソニックを壁に押し付けた。

「キスを強請るなら、僕をもっとその気にさせろ」


ついのべ、キスお題 2010.05.27


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すべての人々に、希望を。

僕の手は、火薬の臭いと血の色に染まっている。
彼女の願いから遠くなってゆく。
それに気付きながらも、ひとりで誤った道を進んでいく。

「シャドウ」

鏡映しの、しかし彼こそが絶望を希望に変える力を持っている。
表情を変えない僕の頬に手をあて、彼は笑う。

「溜めこみ過ぎだぜ。涙も出ないのか?」
「キミの前で泣くくらいなら、石になってしまうほうがマシだ」

すっと、僕を抱きしめる彼の、腕の力が強くなる。ムキになってるのがわかる。
内心僕が笑っていることに、彼は気づいているだろうか。
身じろぎすれば、互いに薄く開いた目が合い、深く深く口づけられた。

「泣かせてやろうか? my honey?」
「だったら、僕をもっと本気にさせてみろ」

突き飛ばされて呻く。そして壁に挟まれる圧力を感じた。
形だけ、抗おうとする僕の手で彼を汚す。

愛している

そう呟けば、きっと涙も落ちるとわかっているのに。


Tommiさんおたおめーv 2010.05.30


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騎士、ソニラン


キャメロット城のあちこちを探してようやく見つけたのは、人気のない武器倉庫だった。
疲れて眠ってしまったランスロットを起こさないようにそっと膝の上に乗せ、仮面を上げて寝顔を楽しむ。

「…ん、陛、か?」

ランスロットの寝ぼけまなこが俺を見つけた。
ふわり笑って、ふたり唇を寄せあう。



 2010.05.31


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旅先で会えるなんて思ってなかった。

「こんないい景色なんだから仏頂面はやめろよ」
「僕には任務が」

その先は言わせないように強く手を引く。
あのオレンジ屋根を駆け上がれば街中が見渡せる。
塔と塔の隙間をジャンプして、わざと着地でふらついた。
お前から抱きしめてくれよ。
そしたら。

キスお題 2010.05.31


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ソニックがエラい目にあってるシリーズを突然書きたくなるの巻。



エージェントの依頼を終えて戻ってきたシャドウは、いつもと違う部屋の様子に全身の感覚を鋭敏にする。
においが違う、いつもの風の匂いがかき消されてる。煙草や火薬の臭いが混じっている。
足音を忍ばせて、リビングに踏み込めば、誰かが暴れたような…いや、ソニックが暴れた気配だ。
カーテンが破れ、重いソファーが下に敷いたカーペットごと大きくずれている。キッチンの椅子も倒れて…

机の上に、携帯プレイヤーが置いてある。
小さな画面に触れると、黒い画面には青い針鼠が映される。
最初は交渉のようだが、何か弱みでも握られたのか彼は足に、腕に、拘束具をつけれられ。

『…何だと!? 約束が違う!離せっ!はな…』

ソニックの声は、時折抵抗しながらも、暴行によって小さくなってゆき、

プレイヤーが止まる。
そして最初からまた再生が始まる。

奴らには見覚えがある。
以前は金で動く武装集団だったが、最近統率が乱れてきたので、エージェントから粛清されたのだ。
組織を立て直すことが先決だというのに。
僕への私怨で、本格的に壊滅させられたいらしいと理解した。

ソニックは、無事とは言えないだろう。
殺されることはなくても、今頃はもう…。




エロい目にあってるんですwwwww ハァハァ、禁断症状出る!! 2010.06.02


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騎士、ソニラン


呼吸を整えながら、崩れ落ちかけるソニックを支える。
汗のにじんだ額を僕の胸の甲冑に当てて、快楽の余韻に浸るその瞳に、心奪われる。
いつから?
もうずっと昔から、こうした関係が続いてる気がする。

「急ぎ過ぎだ。ガントレットくらい外せばいい」
「待ちきれなかったんだから、しょーがないだろ」

焦った様子に僕は小さく笑う。
僕はずっとここに、この世界に縛られている。どこにも行かない。
彼こそ、この国の、この世界の者でなく、気付いた時には風のように消えてしまうのに。

「一体何が不安だと言うんだ。忠誠だけでなく僕の全てを奪ったあなたが」
「うるさい、黙って抱かれてろ」

不安、というのが図星だったのだろう。子どものように頬を膨らませる。
わかった、と答える前に、仮面を上げないままで唇を吸われた。

「ランスロット、お前はいつまでも俺のそばにいろ」

ああ、この方は。



いつだって、すぐ隣に置いておきたいのですよ。
梟ちゃん、おたおめー! 2010.06.03


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「脱がないのか?」
「着せたのはキミだろう?」

海上にぽっかり浮かぶコテージで、赤い花柄のシャツに手を掛けてくる。
まったく、いつまで彼のいいなりにされるのだろう。

「シャドウ、こういうの嫌じゃないだろ?」

熱い手のひらが頬を撫でる。
返事の代わりに、僕は眼を閉じてため息を落とした。


キスお題、アロハでも着せられたんか?w 2010.06.04





過去日記とツイッターからのサルベージ
日付は初出か、だいたいそのへん。


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