ついのべ(ツイッターで小話)その3、シャソニ




深夜を過ぎて明け方近く。
冷えた部屋へ戻ると、ソファーの上で眠りこけている青い針鼠が、クッションのぬくもりにしがみついている。
毛布をかけるため立ち去ろうとすると「行くなよ!」と、寝言。
苦笑を殺してその背を揺する。
パチリと瞼が開いたが、まだ夢の中なのか、涙が数滴落ちていった。


2010.03.27


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信じられない。
そう言う僕の態度は拗ねたものだった。
常に戦いの中に身を置く僕と、勝手気ままな風のようなキミが約束など。
僕には、過去と現在だけで手いっぱいなのに。

「そんなことないさ。俺は信じてるぜ?約束は守るためにするんじゃない」
「破るためか?」

ソニックは腹を抱えて笑いだした。


また明日、 2010.03.28


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不器用なおまえのそれ。
優しすぎてむず痒い。
潰れてしまう程強くて叫んでしまう。
なんてことはない場所も、くすぐったさを通り越し痛みを伴わせて愛しくなる。
その、狙っているわけじゃない不器用さが、オレのすべてを探ろうとする仕草が、とんでもない快感を呼ぶなんて、知らないだろう?
お前は。


エロ題、指先。 2010.04.05


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「ソニック、ソニック」

肩を揺すられ、ぱちりと目を覚ます。
開いた眼球がひやりとした空気に触れる。水分が蒸発してゆく感覚。
そして、目尻から頬を伝っていく水滴。

「夢を、憶えているか?」

夢、
憶えていない。
酷く、狭くて苦しかった、そんなことしか憶えていない。
シャドウの手が、オレの瞼に触れ、再び目を閉じさせる。

「日常の整理しきれない感情を、デタラメな夢で治めてゆくらしいな」
「オレにだって、泣きたいことのひとつやふたつ、あるってことだな」

シャドウの指が、涙の跡を拭ってくれる。
唇にもその指が触れた、かと思うのは気のせいか。


お題、泣 2010.04.05


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「遊びに来てやったよ。そろそろお前が寂しがってる頃だと思ってさ」

恩着せがましくおどける青いハリネズミ。
部屋を汚し物を壊し、僕のテリトリーを犯すことをさも当然のように言う。
僕はそれを鼻で笑う。
捕まえようとすれば逃げる風は、何もしなければあちらから飛び込んでくる。

「バカだな、キミは」


2010.04.21


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こぼれたインクを指で拭うと、夕陽に似た色が白い手袋に吸い込まれた。
部屋の蛍光灯に反射して輝く朱は人が合成したもので、本来のものとは違うという。

「お、おいシャドウ!怪我したのか!?」

慌て者の青いハリネズミが飛びあがるのが可笑しい。
この色は本物よりも本物らしいそうだ。


銀朱(ぎんしゅ)#fc3000 2010.04.25


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「寒い」

そう言ってソニックが僕の胸に顔をうずめてくる。
しばらく相手をしていなかったから「寂しい」のだ。
顎を持ち上げて拗ねた表情を確かめる。
そのまま唇を吸う。
舌も呼吸も絡ませるとソニックは頬を赤く染める。

「熱い」

今度は僕がソニックの胸に耳をあてる。
ほら、「嬉しい」と身体は正直だ。


温度 2010.04.29







過去日記とツイッターからのサルベージ
日付は初出か、だいたいそのへん。

2010.04.09〜10.04.14


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