ついのべ(ツイッターで小話)とか、短いヤツ。その2




純血の吸血鬼である「あの方」はもういないのだ。
あの頃を知る僕が、無限の時を死にながら生きている。
キミは違う。
卑しいダンピールだ。
それなのに、何故、「あの方」の面影を宿すのだ。
さあ、僕を殺すがいい。
この永遠に終止符を打てばいい。
そうでなければ、僕がキミを殺すまでだ。
さあ、早く…


組曲Vampire Hunter D 2010.03.27


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シャドウよ。
お前は悩むであろうな。
なぜなら私が迷ったからじゃよ。
お前を存在させるその理由について。
多くの力を持たせたが、それは後悔してはおらん。
力を振るうのはお前のココロ次第じゃからな。
迷うのだ、シャドウ。
そして、正しい選択をお前に託す勝手を許して欲しい。
私はお前に…



ELECTRIC PROPHET 2010.03.27


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「ダメー…ッ!」

エミーの叫びは俺の目の前で途切れた。
光の矢に撃たれ、命の終わりに俺の再び立ち上がる姿を瞳に映して。

「どうして」

…こうなんだろうな?
体中から怒りが、闇の力が溢れだす。
エミーの動きを止められなかったのは、この姿を見せたくなかったせいなのか。
神とさえ戦える、この姿を。


思いがけない ソニエミ 2010.03.27


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俺にできること、といったら、笑うことくらいだ。
すべてを失った、そう思っていた。
守るべき人たち、信頼する仲間、帰る世界も。
すべてを無に帰し新たに創りなおす、だと?
まだ俺が残ってるじゃないか。
暖かな混沌に包まれて、俺は笑う。
世界に不要なものなどない。
あるとすれば、それはお前だ。
神よ。


その一言で ダーソニ 2010.03.27


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飛沫を上げて落っこちる水の中。
必死で手足をバタつかせても浮き上がる気配もなく、明りはどんどん深緑色に変わってゆく。
そうだ、カオスコントロール!
握りしめた宝玉で港町をイメージする。
と、確かに足元は白い石畳に変わったが、一緒についてきた海水が津波になって街を襲ったのは悪夢だった。


恐怖 ソニック 2010.03.28


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「そのカードで、最強を気取るつもりかい?」

表情の読みやすいヤツ。
今のチェンジで究極のワイルドカードを手にし役を揃えたはずだ。
チップを投げ1枚捨てる。
ディーラーが投げて寄こしたカードを見ることなく、俺は手札をヤツに見せる。
スペードの10〜13…最後の切り札は?


ポーカー 2010.04.01


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残り2枚。
左側を摘まれて、オレは奪われないようにガードを持つ指に力を入れる。
するとヤツはムキになって左側のジョーカーを取る。

「さーて!これで最後にしようぜ」

ペアがいないひとりだけが残る、淋しいゲームを。


ババ抜き 2010.04.01


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「そーれーでー? 言い訳はおしまい?」
「言い訳…だ、だ、だけどっ!嘘じゃないぜ!別の世界に行ってて帰れなかったんだから」
「別の世界ね。"この世界を救ってください"なんて、可愛い女の子に言われたんでしょ?」
「かわいい…けど、おっかなかったぜ。エミーと一緒だな」
「あら、そう?」

ニッコリとエミーが笑う。
殺気が増した。

「それじゃあ、私がこの世界を闇に沈める魔女にでもなろうかしら!」
「Wait! Wait! 冗談じゃない、ホントに滅びちまうぜ!」
「さあ、剣を抜きなさい。騎士ソニック!」
「うわあっハンマーデカすぎだろ!」

逃げ出したい、のに、逃げられない!
あの、金色に輝くハンマーの一撃で、身長10センチくらい伸びる(タンコブで)のは明白なのに!
騎士は敵を前に逃げないとかそんなの言ってられる状況じゃないと今すぐオレに言ってくれガウェイン!


お題、蛇に睨まれた蛙wwwww 2010.04.04


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世界は重く硬直した。
撒き散らかされた闇と悪意に、不安げに空を見上げる人々。
事情も知らされぬうち、諦観に狂気の叫びも沈黙に変わってゆく。
そこに一閃する光。

「勝ったつもりか?」

余裕の声音はたった一つの希望。
絶望にうちひしがられた世界に、蕾を開かせる春風が、烈風を伴い光を咲かせてゆく。


華(花 2010.04.06


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「俺が強くなったんじゃない、お前が弱くなったんだろ」

言いながら、口元を引き結ぶ。
思い切り叩きつけたおれの拳に崩れてゆくお前の身体が、彼女の悲しみを呼ぶ。
彼女は絶対に俺に真実を言わない。
俺にお前を倒すことができなくなってしまうから。
指輪の精霊が千夜一夜を愛しているなどと、決して。


声にだしてしまったら 2010.04.06


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エッグマンがカオスエメラルドをかっぱらって逃げた。
その後を守るように煩いメカ達が銃口をこちらに向ける。
思わず駆けだし、ジャンプしてホーミングアタックを次々当てる。
ダッシュパネルを踏み、トゲを飛び越え、リングの道を繋いでいく。
当たり前だろう?
俺はこんな道を走るのが楽しくて仕方ない。


欲求には勝てない 2010.04.07


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「小休止にしよう」

ランスロットの指示で行軍が止まる。
グレートメガリスの砦まで、一般兵もつれて3日。
安全な場所で食事を摂るのが常なのだが、硬く焼きしめたパンばかり続き飽きてきた。

「料理できねぇの?」

ソニックが言うと円卓の騎士たちの目が何かを求めるように輝いた。

「王がするんですか?」





騎士には貴族のものが多く、料理などしたことが無いらしい。
パーシヴァルも例外ではなく、このような野外では、野菜は生で、肉や魚はただ焼いて食べるだけだという。

「ソニックが料理をするのか?…食えるのか?」
「うっ…しょーがないねぇ。食材取ってこいよ、ガウェイン」

半信半疑のままニヤニヤ笑うガウェインが野営地のそばの森を覗きに行くと、他の騎士たちもそれぞれ顔を見合わせて食べられそうなものを探しに動き出す。
砦へ持ってゆく物資を少々拝借して、残る兵士たちとかまどを作り湯を沸かした。
白いシーツを半分ばかり裂いてエプロン代わりに体に巻きつけていると、騎士たちが獲物を手に手に戻ってきた。

「キジバト3羽捕まえたぞ!」
「甘くはないが林檎があった」
「野生のハーブを摘んできた」
「これは山芋だろう?どうやって料理するんだ?」
「こらー!聖剣を包丁にするな!」

鳥を絞めその命を頂き、中に豆や野菜を詰め芳ばしく焼き上げる。
林檎は大きな葉に包んで焼けた石で囲んで甘味を引き出した。
芋にも火を通し、ハーブと一緒に軽く焙ったパンに沿えると、元の胃に流し込むだけのかたまりではなくなる。

「大雑把にやっちまってたいした料理じゃないけど、パンだけよりはマシになったろ?」

焼き林檎を食べながら紅茶をすする、白いエプロン姿の王の前に、円卓の騎士たちが揃って跪いた。

「なかなか美味かったぜ」
「陛下の手料理を頂けて、光栄でございます」
「…次は、僕がやる」

最後の発言者に、皆がぎょっとした。
王への対抗心がギラギラしているその騎士に、ソニックは満面の笑みを向けた。

「ランスロットの手料理、楽しみにしてるぜ」



料理+オマケ 2010.04.06
ソニックにエプロンつけさせてみたw


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双剣ガラティンが唸りソニックの手からカリバーンが弾け飛ぶ。

「昼間がお前の方が有利すぎるぜ」
「ハッ!悪いな」

長かった対戦に決着がついて、甲冑の分だけ身が重いガウェインも王の隣へ倒れ込む。
呼吸を整えながら、太陽の騎士が得意気に宣言した。

「オヤツのしっとりクッキーはオレのモンだ!」


ガウェイン・燃える おやつ争奪戦 2010.03.27


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どんな致命傷さえ、たちどころに治してしまうエクスカリバーの鞘。

「今すぐ、ここへ」
『なりません、アーサー王の世界が崩壊してしまいます』

解ってるそんなことは!
テイルス、ナックルズ、エミー…みんな、そしてシャドウ、その傷は俺がやってしまったんだろう?
すぐに治してやるから、な?
その鞘で。


お題、傷。ダーソニ一歩前 2010.04.13


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ぽとり、最後の陽光が落ちて、月の気が体中に満ち溢れる。

「…ぐるぉおおぅ!ハァ、ハァ、ヨルのオレ、待ってたぜ」

その遺跡に現れる夜のバケモノ、ソレと同じ力を持ってるヨルのオレ。

「ソニック、今夜こそやっつけちゃおうよ!」
「まかせとけチップ!」

ヒルのオレ、お前にオレは負けない。


月日。SWAで。 2010.04.13


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「消え失せろ!」

交錯する瞬間に電気の火花が散る。
光と影、表と裏、+と−、生と死、ぴたりと重なる身体という入れ物を持ちつつ、どこまでも対極。

「お前が俺に勝ったらな!」

再び打ちあわされる力と力には、憎しみより歓びの方が勝る。
ふたり、永遠に戦い続けられるのなら、神も悪魔も信じよう。


欲望には勝てない。 2010.04.15


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シャドウに会うのは都会が多い。
人波を見下ろす摩天楼の上、地下工場の排気口、ハイウェイを支える橋脚の下、いつも騒がしい音に包まれている。

「オレは静かな田舎の方が好きなんだけどな」

人里離れた野山もシャドウは嫌いではない。
だが。

「この星にいては絶対に聞こえない音を、僕は聞いていたから」


音 2010.04.15


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物語には必ず終わりがあるように、あなたがこの世界を終わりに導くの?
あまたに存在する汚れた世界も美しい世界も、すべて終わらせてしまうというの?
私は守りたいのよ、この世界を、永遠に。

「そんな世界に、何の価値がある」

あなたと私はずっとこの物語を守ってゆくの。
永久の愛こそが世界の価値。


消え行く世界の中。 2010.04.16


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「じゃあな」

そんな挨拶ひとつで別れられるのは、どこかで必ず会えるという確信があるから。
世界中の街々で、はじめて会ったこの場所で、必ずいつか会えるって。
やっとわかったよ。
過去も未来も今のすべて、離れがたくて手放せない程大切なのは、星の中で俺を見守ってくれるお前がいるからだ。


離れがたくて 2010.04.16


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遊びに行きましょう!
いつものように誘ったのに、チーズはおうちから出ようとしません。
だから私も今日はおうちにいたんです。

「なるほど、そういうことか」

野原のお花をソニックさんが摘んできてくれました。

「大切にしてくれよ、クリーム。それがこの世界に残る最後の花になるかもしれないからな」


恐怖。 2010.04.18


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お気に入りのチリドッグと音楽、
こどもたちと遊び、
女の子から逃げて、
汗臭い野郎どもと拳を突き合わせ、
天才科学者の後始末に走り回る。

そんな日常が楽しくて仕方が無い。
怒ることも悲しいことだってあるさ。
大切なもの全て守りたいんだ。
ずっとずっと。

…まさか?
違う。
本当に守りたい。
いつか俺が…


壊す。 2010.04.20


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「う〜〜ん!とってもいい匂い!」

幸せそうに鼻をひくつかせるチップの隣で、ソニックは長い長い竜の道に一本の横線を引く。

「ここがスタートラインだからな」

楽しそうなソニックだけど、すっごく本気モードだ。

「この競争だけはチップの勝ちだと思うな」

ゴールに肉まんのお皿。
…Ready GO!


衝動に駆られる 2010.04.21


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「枯れてきたな」

水に挿した花は大きく開き、花弁の縁を灰色に変えていた。
何故花は散ると知っていて咲くのか、その答えを知っているか。
そう問おうとすると、シャドウは淡々としおれた花を白い紙に包み、屑籠へ捨てた。

「そのまま捨てればいいのに、なんで紙に包むんだ?」
「マリアがそうしていた」





たった一輪のバラの花。
水を代え、時に薬を与え、比較的涼しい場所に置かれ、マリアの目を和ませていた。
それでも、どんなにかいがいしく世話をしても、花は2週間が限界だ。

「シャドウ、わたしね、この花みたいに死んでいくのかな?」
「マリアは死んだりしない。プロフェッサーが…」
「そうじゃなくて、一般的な話よ。…そうね、わたしがおばあちゃんになって死んだとしたら、ね?」

マリアは楽しそうに笑っているけれど、シャドウは老人になったマリアというのがどうしても想像できなくて、ぽかんと呆けた表情を作った。

「この花みたいに枯れて散っていきたいの。きれいな花のうちに乾燥させてつくるドライフラワーや、香りを長持ちさせるポプリにすることもできるけど」
「醜く枯れて壊れるのが望み、なのか」
「そうなの。ありがとう、シャドウ」

シャドウはマリアの望みならばなんでも叶えてくれる、きっと。
だからその時まで、この花もさよなら、ね。
そう言って、マリアは枯れたバラの花を白い紙に包んで、屑籠に捨てた。
捨てられた花は、アークの微生物分解施設へ運ばれ、また植物を育てる土に戻るという。
そうすれば、花はマリアのもとへ、戻ってくることになるだろう。


rose gray(ローズグレー)#cea5b0 +おまけ 2010.04.23


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お宝探しの途中で舞い降りた。
お宝の予感がしたからじゃないんだけど。
背の低い木に盛り上がるように咲く花が、忘れ物を思い出させたから。
ひとつだけ花を盗むと隠した胸の隙間から甘い匂いがするわ。
いつか誰かがプレゼントしてくれないかしら。

「口紅なんて、自分で買うのが一番無難なんだけどね」


躑躅色(つつじいろ)f01f7a 2010.04.24


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「カオスエメラルドは頂くぞ!」
「やってくれるじゃないか」

頭から叩き落とされた土からは血に似た味がした。
毎度小賢しい騙し打ちに引っかかってやる俺も親切だな。
足元が崩れ始める予兆と噴き出す熱風の位置を読み一気に走る。
風を捕まえればまだ追いつける!
赤い砂嵐が俺の身体をすくい上げた。


赭 (そほ) 赤土、酸化鉄を含む火山灰土の色。 2010.04.27


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振りまわしてたハンマーが爆風で吹っ飛ばされた。
もうダメ、私ひとりで守りきれない!

「誰か助けてー!」

震える小鳥を抱きしめて叫ぶ。
誰も助けてくれたりしないのに。
機械の手が無数に迫って思わず目を閉じた。
そしたら、ふわっと身体が浮かんだの。

「Hey,Lady.俺を呼んだかい?」


撫子色(なでしこいろ)
ナデシコ→大和撫子→クシナダ姫→スサノオとヤマタノオロチ退治・・・
ってことで、女の子のピンチを助けるヒーローなのだ! 
2010.03.27




過去日記とツイッターからのサルベージ
日付は初出か、だいたいそのへん。


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