ついのべ(ツイッターで小話)とか、短いヤツ。




スクラップになったエッグドラクーンが炎の海に沈んでいく。
闇に近づくにつれ、身の内に潜む力も強大になったが、あの、星に巣食う闇はさらに深くすべてを飲み込む。

…帰せ…汝に与えたその力…

闇の瞳が俺を捕らえる。
たった今までみなぎっていた力は俺のものではなかったというのか。
ヤツの眼力が、星が壊れてから今までのすべての夜を引き剥がすように奪ってゆく。
圧倒的な闇が最後のカギと言わんばかりの力を吸いとり、ヤツは真の力を目覚めさせた。
まるで身体中のトゲを抜かれ、裸にされてしまったような頼りない俺は、大切な友達を守ることさえできない。
土を掻いて叫ぶ。

「逃げろチップ!」

頑張って、負けないで、そう願う友の声に応えられそうにない。
闇のつぶてがオレたちを撃つ。
守りきれない。
その時。
初めて星に落ちた時と同じ、守りの光がオレを包んだ…。


2010.02.02


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昼の公園には賑やかなダンサーたちがいて、夜にはバスとサックスでジャズを奏でるやつらがいる。
どちらも魅力的だが、エンパイヤシティのコーヒーを飲むのは夜の方が気に入ってる。
夜になると味覚まで変わってしまうのだろうか。
確かに弾けるような爽快感と、染みるような苦みは相対している。
どちらも自分自身、どちらの自分も気に入っている。

嘶くサックスが、コーヒーの苦みを緩くしてくれるようだ。


2010.02.03


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「チョコ食べる?」

エミーが差し出したのは板チョコだった。
思い出すのは星の中に帰った小さい奴のこと。

「また会えるわよね?」
「エッグマンに特大目覚ましでも作らせるか」

楽しそうなエミーに、もう一度手を伸ばす。

「エミーの手作りは?」

不思議な位、簡単なおねだりは、小さい奴のが移ったらしい。


2010.02.14


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「チョコ食べる?」

差し出された箱の半分はすでに無い。
遠慮の要らないものだということか。

「毒入りか?」
「アンタならそれでも死なないわよ」

ひとつ摘んで艶のある唇の中へ消えてゆく。
僕はチョコレートに興味を示さなかった。
その代わり、ルージュの手を掴み、指に残るココアパウダーを舐め取った。


2010.02.14


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今夜のキスは「苦い」。
どこで食べてきたんだよ。
お前にチョコあげるヤツなんてもの好きすぎるだろ。
熱い舌を噛んでやろうとしたのに、喉の奥まで探られて。
飲みきれない唾液が胸元へ落ちた。
滴の冷たさに震えると、ようやく唇が離れ、赤い瞳が見えた。

「お前がチョコいらないって言ったんだろ?」




「そうだ。代わりに君を食べる」

この世界に愛されてる君は、さぞかし忙しい一日だっただろう。
何にも嫉妬などしていない。
世界に愛される君を奪うのだから。
こぼれた唾液をすすり上げると、君は舌打ちをして視線をそらした。
君の、指先も、唇も、その内側も、全身が蕩けるほどに「甘い」。


2010.02.14


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大丈夫よ、シャドウ。
彼女はどんな時でも笑顔でそう言った。
何故苦しみを隠すのか、あの頃の僕には理解出来なかった。
でも今は、その言葉は嘘じゃなかったことが解るんだ。
心を添わせていただけだったけど、確かに彼女は笑顔になったよ。
僕の苦しみを癒やしてくれる人ができて、やっとわかったんだ。


2010.02.21


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抱きしめる。
言葉も、呼吸も押し殺して、互いに腕を回す。
触れる場所からぬくもりを交換し、こすれあう肌で僅かな毛並み、針の違いを確かめる。

離れているときには、互いのことを思い出したりなどしない。
面白おかしく、または、淡々と、日々を過ごしていくためには、不要な存在ともいえる。
邪魔をされるくらいなら、消してしまいたいと思うこともある。

なのに。

「あいたかった」

どちらの声なのかわからない。
出会えば嬉しくて、それまで片輪でいられたことが信じがたいほどせつない。
常に、世界中の最も危険な場所に身を置いて、まっすぐ前を向いて立つために。
それでも己の命を投げ出さない、手放せない、その理由。
暗闇よりも見えないのに、そこにあるもの。

ひとつになるほど、抱きしめあって。
素直に喜びを表す緑色の瞳と、無の中に戸惑いを隠した赤の瞳が、静かに閉じられた。


2010.03.09


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摩天楼の街が好きだ。

遠い空の上から見ていた時も、ひときわ強く輝く巨大都市に思いをはせていた。
彼女は、マリアは、そこに生きるたくさんの人々は、互いを尊重しあって平和な世界をつくっていると僕に教えてくれた。
素敵ね、そう言って笑っていた。

僕は、人が押し合いながらじゃないと進めない、殺気立った混雑を知ってる。
ゴミ溜めになった裏路地に、猫の死骸が転がっているのを知ってる。
最初は小さな諍いでも殺し合いになってしまう、そんな対立も知ってる。

それでも、
マリア、
この街をキミに見せたいと思う。
美しいのは夜の明りだけで、醜く薄汚れたままの人々を。

そんな街でも、こんな世界でも、受け入れることができるようになった。
僕を、マリアは受け入れてくれるだろうか。

橋脚の天辺から、暗い虚空を見ていると、突風が、はせた想いをあの場所へ連れてゆく。


2010.03.10


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「どうしてフィギュアってのは男女ペアなんだろうな」

当然のことをぼやくソニックにあきれる。

「ピーチとデイジーの姫ペアスケートなんてのもいいだろ?」

そういうソニックはさっきシャドウが滑ったSP巧くトレスした。
ふたり並んで滑れたら、そんな思考を振り払う。
ありえない。
許せるものか。


マリソニ・バンクーバー 2010.02.23


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美しい双剣を丁寧に打ち鍛える。
歯毀れの理由は剣が教えてくれる。
手柄と信頼を同時に勝ち得、大切な主君の懐に抱かれたいが為。
僕にはわかる。
その夢は砂糖菓子のように甘いけれど、太陽の騎士の未来には何も残らない。
それでも汗を押さえて鉄を打つ。
鍛冶屋の意地でその夢を見せることができれば。


ガウェイン・ブラックスミス、砂糖菓子のように甘く 2010.03.05


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いつまでも続く地獄。
水を掛けられ澄む視界には、暗い炎の瞳。
キミが狂うところを見てみたい、そう言われ、オレは頷いた。
薬でとろけて、中に潜った器具が何度も絶頂へ導くけれど、オレの正気は消えない。
前に差し込まれた黒い針を抜かれ、気が遠くなる。
なぁ、このまま抵抗を続けていれば、永遠に…


抵抗 2010.03.06


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眠りましょう、私と共に。

優しい声で包まれていた揺りかごは、熱い望みにより壊された。
世界は再び、敵意に満ちて。

眠りましょう。

何故?
与えられる力は世界を映す鏡になる。
雨を、嵐を、この世界に混沌を。
彼女の悲しみも、すべて水の怒りで沈めてやろう。
七つの力を与えよ。
…目覚めてしまったのだ。


怒、カオス 2010.03.08


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私は現在「家出中」だ。
たった一人の騎士にアーサーの名を与えられる、たったひと振りの剣だというのに、ヤツの、ソニックの私の扱いはますます酷くなる一方だ。
今回こそ、アヤツが土下座で謝るまで絶対に帰らない。

「いらっしゃい!どうしたのカリバーン?びしょ濡れじゃない」
「もの干し竿にされた」


カリバーン・捉えたつもりが 2010.03.09


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泥酔した客をタクシーに乗せた後、店に戻り片付けを始める。
照明を落とし、グラスを磨きあげ、使った食器をすべて棚に戻す。
有線チャンネルを変えれば、けたたましいロックが鳴り響き、顔をしかめたがそのままにした。

「あれ?俺の歌じゃないか」

僕は、午前三時の客にいつものワインを差し出した。


ミュージシャンとソムリエwww 2010.03.10


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なぜワシが世界征服をたくらむのか知りたいだと?
ぜーんぶヒトリジメしたいからに決まってろうが!
不可能だと?
フン!知ったことをぬかすでないわ。
無限の可能性という言葉は、キサマひとりのものではないぞ!
ナマイキなハリネズミども、礼を言うぞ。
強い影を作るため、強い光が存在するのだからな。


DR.エッグマン、私の太陽 2010.03.10


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醜悪な千夜一夜よ。
強大なエネルギーを破壊にのみ使う、哀れなランプのマジンよ。
シャーラはお前を愛していた。
今も俺に、お前を止めてくれと願ってる。
だが、俺はお前を救ってやろうなんて思わない。
裁きの炎はお前にくれてやるよ。
確かに俺も魅了されるよ、お前のその力に、ゾクゾクするほどな!


ダークスパイン、俗に言う一目惚れ 2010.03.11


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「ねえソニック、この写真の人すごいよ!」
「どれどれ?ロボット工学博士」
「18歳にして化学数学言語歴史学その他モロモロの権威で」
「苦手なのは料理だけ、か」
「しかも、カッコイイよね!」
「40年前の写真か。今頃どんなナイスガイなんだろうな」
「あれ?この名前は…」
「まさかウソだろ?」


Dr.エッグマン、嘘 2010.03.10


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「なんなりと、ご命令を」

自らプログラムしたとはいえ、心地よさも行き過ぎれば不愉快だ。
ワシに反乱を起こしてみろと言えば、回路はショートしてしまう。
自立思考は生物にのみ許される、そう祖父は説いていた。
ワシはそれを超えるつもりじゃよ。

「エッグマン様、まーた失敗ですか?」
「うるさーい!」


Dr.エッグマン、忠誠 2010.03.13


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私たちに未来は無かったわ。
私が時を止めてしまったから。
これ以上、あなたを、誰も傷ついてほしくなかったから。
封印が解かれ、この時代に放たれたあなたは、かつて私がしたように、また封じられるのかしら。
それとも、別の夢を見るように?
私もあなたの夢が見たいわ。
また、
明日も、
ねえ、
カオス…


ティカル・また明日 2010.03.14


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「キミ、大丈夫かい?」

倒れたまま動かない鉄屑に、ボクはそっと手をあてた。
熱を持った部分をみつけ、丁寧に切れた回路を探してゆく。

「キミを作った人は不思議だね」

パチリ、新しい道にエネルギーが流れた。
そこに伝わるのは、愛情。
キミは捨てられてしまったんだ。
悲しみは電気信号に変わる。


テイルス・泣けない君 2010.03.15


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ランスロットが無言のまま立ち上がり、闘技場を出て行った。
どこか怪我でもしていたのだろうか。
剣を持つ俺の腕が震えるのを見て、ソニックがクツクツと笑った。
膝を折ろうとするのを制され、王の手が俺の仮面を上げる。

「今の試合、お前の圧勝だったぜ」

勝者への褒美はもっと信じがたいものだった。


ガラハッド・覚めない夢 2010.03.16


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映画「ソニラン」30秒CM、2本



「俺のいない世界が怖いのか?」
「怖いと言えば、君は共に死んでくれるのか?」

青空に消えるランスロットを、追うことができなかった。
シャドウの中にその面影を探してしまう。

「俺が、戦っても構わないか」

怨嗟の叫びの中に、ソニックは愛しい者の声を見つけられるのか!?

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「そっくりだよ、シャドウと」
「その名は気にくわない」

一緒にいるだけで幸せだった。
なのに、未来は一緒じゃなかった。

「アイツが俺と一緒にいたこと、どう証明すればいい?」

眠りについたシャドウは答えない。
ソニックはカオスエメラルドを握りしめ、遠い空に歌いだした。


映画「ソラニン」を余裕で空目できる人用www 2010.03.18


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かすむ視界で睨みつける「奴」の姿。
膨れ上がった憎悪から叩きつけられる一撃は、確かに俺の急所に当たってる。
死ぬだろう、あと数分ももたない。
俺も、この世界も。
恐怖に震える足で、残っていた小さな花を踏みつぶした。
負ける、負けてしまう。

「ハン!口ほどにもないな。蹴っ飛ばしてやるよ!」


ソニック、声にだしてしまったら 2010.03.20


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初めて草原を見たとき、緑色のモンスターに襲われた土地じゃないかと思ったんだ。
初めて空を見たとき、重くて落ちてくると思ったんだ。
初めて海を見たとき、消える波が大地を食って飛び出してくると思ったんだ。
でも、初めて花を見たときは、アンタに似合うかなって思ったんだぜ?


シルバー、平和 2010.03.20


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やっぱりアイスだよね!
世界中のどの町でも食べたいな。
ホロスカも氷の部屋の中はチョコも溶けちゃうくらい温かくって、食べたいって思っちゃうよね。
ソニックはそんな風に思わないの?
冷たくてもあったかくても、いつでもどこでも、美味しいものは美味しいよ。
ボクのおなかのなかがどうなってるって?


チップ、真夏の太陽のような 2010.03.20


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「ククク…ほらまた走らなきゃ、次の敵だよ。音速ヒーローは忙しいねェ」
「その娘を守りたいのかい?できるさ。僕は過去だって変えられるんだからねェ」
「目覚める必要はないよ。まだ眠いんだろう?焦ることはないよ」

…時には夢をみて寝坊するのもいいと思うんだけどねェ。
もう目覚めてしまうのかい?


メフィレス、みんなには内緒 2010.03.20


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「やめろよ、見るな!」
「いーじゃないか」

ソニックは走りながらシルバーのスケッチブックを捲る。
世界を写真じゃなく絵で閉じ込めてある。
最初のっぺりとした線ばかりだったが、最近描いたものは風の形まで見える。

「上手いぜ、隠すなよ」

シルバーは顔を赤くしてPKでソニックを縛り付けた。


今の自分を見て欲しいシルバー 2010.03.21


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子供が泣いてる。何をしても泣き止まずお手上げ。

「ええ!?できるわけないぜ」

テイルスの耳打ちに、でも悲しい涙に断れなくて。
えっと…ブレイズやビッグはどうだったっけ?
手の甲を舐めて、その甲を額にこすりつけて。
耳の後ろが気持ちよくて。
泣いてた子供がピクリと反応した。

「にゃんにゃん!」


ららぽ甲子園の着ぐるみソニックさんが猫ジェスチャーをしてたw 2010.03.21


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