Project:ALBINO-SHADOW



 小さな保育ケースの中に息づくその仔は、とても弱く儚く脆かった。

「プロフェッサー、生命維持機能安定しました。ですが」

 報告を続けようとする署員たちは疲労の色も濃く、また失敗作だったと彼らのリーダーが言いだすのを待っているようだ。
 しかし、ジェラルドにはその小さな白いかたまりが愛しくてたまらない。

 プロジェクトシャドウのプロトタイプは、開発初期から生命力が強く、その強さゆえに制御が難しい。
 最近では産みの親であるジェラルドの命令しかほぼ受け付けなくなってしまった。
 危険は承知で実験が続けられているというのに、次のサンプルを作るなど正気の沙汰とは思えない者が多かったが、だからといって、こんな弱いものを作るというのも多くの署員には理解できなかった。

「これでいいのだ。…シャドウ、よく生まれてきてくれたね」

 遺伝子状態から作られた生命体は、その身を守る被毛はあるものの、全身の色素は欠如し、まるで雪の様な白さで輝いて身体を守っているようだった。
 おそらくこの保育ケースから出してしまえば、一日持たない命。
 マリアと同じ。

「私がキミを強くしてやろう。いや、強くなるのだよ、シャドウ」

 呼びかければ、薄く目が開かれる。
 赤い瞳にはまだ何も見えていない。
 けれど、名を呼ばれ、愛されることは、何かを感じるのかもしれない。

「投薬は中止し、遺伝子改良の実験を始める。このアルビノの身体に、最も強い色を与えるのだ」

 署員たちはまた息を飲んだ。
 弱いけれど美しい、この白いハリネズミをプロフェッサーはどうしようというのか、と。
 その真の目的を見抜くものは誰もいなかった。















プロジェクト・アルビノシャドウに乗っかってみたwww
↑正式オープンしたらリンクはる!


2010.02.07


--- ブラウザ・BACKでお戻りください。 ---