arrow of fire



 マジンがうようよ湧いて出るシャフリヤールの王宮を駆け抜ける。
 砂漠に咲く大輪の花のような美しい王宮は、無残に壊され。
 オアシスにも砂の川が流れ込んでしまえば、そこにある町は消え、旅人の休む場所も無くなってしまう。

「だから、せめて砂の流れを変えたくて、王宮にいたんだ」

 テイルスによく似たアリババがそう言う。聡いところもそっくりだ。
 資金になるリングを集めたり、要所に現れるマジンをやっつけたり、ソニックに手伝えることなんてそれくらいだ。

「さあ、次は何をすればいい? シャーラ」
「水源が変わって、巨大な生物が棲む森ができてしまったらしいの」
「ああ…なんかデカいヤツらがいるジャングルだな」

 早速行ってみようか。
 足を向けようとすると、なぜかシャーラが目の前に立ちふさがるように浮かぶ。
 困惑気味の、言葉を探しているような表情で。

「今日は…今夜はこの街のバザールで休んでいかない?」

 間もなく日が落ちる。
 崩れた王宮の周りにもランプの明りが灯され、オアシスの水面も輝かせる幻想の景色。
 その炎の美しさは、胸に刺さった矢と同じ。

「確かに、ずっと走りっぱなしだったもんな。疲れたか?」
「いえ、私はリングの精だから…でも」
「Thanks. オレに休めってコトだろ。…そーだな、夜のバザール見物にでも行くか!」

 シャーラは嬉しそうに笑って、リングの中へ戻っていった。
 日が落ちる。
 胸の矢が明るさを増す。

 シャーラは知らない。
 この矢は、ソニックの心臓を握るように締め付ける。


 時間が無い。急げ。急げ…


 ふ、と一息。
 ソニックは夜の星のようなオアシスの町へ踵を返した。










ひみリン萌える!!!!!!!

2010.01.08


--- ブラウザ・BACKでお戻りください。 ---