彼の一番好きな顔



 いつだって彼の周りには賛辞と感謝の言葉が満ち溢れている。
 似合わない笑顔でそれに応えて。

「ただいま戻りました」
「湖近くの黄泉の騎士は排除した、と? それにしちゃ遅かったんじゃないか?」
「申し訳ありません」

 玉座に座る王は不機嫌。個人への叱責を予感した衛兵や騎士たちが勝手に姿を消してゆく。
 だだっ広い広間に、黙りこむ二人。松明の爆ぜる音だけが時折響く。

「似合わねえんだよ」

 沈黙に耐えきれないのは王の方。
 つかつかとランスロットに歩み寄ると、面伏せるその仮面を跳ね上げた。
 刹那、緑と紅が交差する。

「その顔をやめろ。ランスロット」
「わからないことを言う。僕の顔はずっとこのままで、あなたの世界にいるという似てる人物とは違うと、言ったはず」
「混同してないぜ。お前のことだ」

 腕を引き上げる勢いで、ランスロットを膝立ちにさせると、王がいきなり口づけてくる。
 場所もわきまえず。焦って身じろぎするが、掴まれた腕の力はギリリと深く食い込んでくる。
 瞬間的に湧き上がった羞恥心でどうにか身をよじらせると、玉座の周りに下りる天蓋の影に転がりこんだ。

「まっ、ソニック! 本当にわからない、何を苛立ってるんだ、キミは」
「お前の方が、作り笑顔が上手だ。だけど、オレはそれが嫌いだって言ってんの!」

 またキス。今度は幾分怒りが解けた。
 しかし、王の手はランスロットのあらぬ場所を探り始める。
 制止をかけようとするも、馴らされた躯は抵抗を諦めかけて。

「せめてっ! 部屋で…」
「やだね。オレはお前の困った泣き顔が一番好きだから」

 ああ、また落とされる。
 ランスロットが痛感した。










初夢えちゃにて、某梟氏がソニランソニラン!と言うのでw
書いたら大喜びしたwwww

2010.01.02


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