vaseline



 絡んだ舌が離れてゆくとき、唇の端に生まれた刺激にぴくっと震えてしまう。
 シャドウは少し怒りながらその場所、小さく割れた傷をもう一度ぬるりと舐めた。

「Stop, Shadow... 痛い」
「うるさい」

 わざと、舌先で何度も傷口を突いてくる。ぴりりと走る痛みに何度かまた身体を震わせてしまう。
 痛いのは嫌いだが、傷に執着するシャドウは愛しい。
 こんな小さな痛みにも嫉妬する、独占欲が強い証拠だ。
 でも、さすがにしつこい。

「痛いってば。…薬か何か無いのかよ?」

 シャドウの動きが一瞬止まった。そして、ベッドサイドから何かを持ってくる。大きめの蓋をしゅるんと回して開けて、中の油分を指先にこそぎ取った。

「…それって、尻に塗るヤツじゃないのか?」
「後でそっちにも塗ってやる」
「えー?なんだよそりゃ」

 文句を言いながら笑いに変わる。
 シャドウの指が唇の傷に優しく触れて、互いの熱で半透明の油分はさらりと溶けた。傷口から下唇に向けて薄く塗り広げられ、きっと女の化粧みたいになってるはずだ。
 ちゃんと塗れたか確認するように、顎をつまみあげられる。

 そして、
 もう一度、シャドウの唇が近づいてくる。







おわる






キスしたい唇…。
ちゃんと精製された白色ワセリンはどこに塗っても大丈夫v
私は足の裏のカサカサに塗ってかかとちゃんを履くww

2009.06.05


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