白の降る空



 月のように真っ白なドームを駆け抜ける。
 崩れ砕ける骨どもが雪のように舞う。
 地を蹴ると靴裏にまで付いてきて、なんだ、まるで飛行機雲。

「ソニック、ソニック、急ぎすぎないで!罠が」

 文字を纏って、マジンが現れる。1体、2、3、4…キリがない。
 狙いを定めてホーミングアタックを続け、最後の1体は炎の力を借りて踏みつぶしてやった。
 ハッ、息が切れそうになる。

「ダメよ、ソニック。数が多すぎて不利だわ!」
「関係ないね、シャーラ!」

 考えるより先に、足が動く。
 高い天井からぶら下がる巨大なギロチンが揺れる隙間を滑り抜け、無実の罪人を閉じ込め続ける錆びた鉄柵を叩き壊す。

「見ろよ、死んで骨になってもまだ働かされてるヤツらがいるぜ」
「あれはイレイザーの力ではありません。この城の主、ソロモン王の守護者です!」
「ソロモン王に会いに行くのに、アイツらも倒すのか?」

 カラカラと乾いた音をたてて立ち上がるスケルトン。
 ただ剣を振り回すだけっていうのは知恵が足りない気もするが、当たればこっちが痛いのは確実。
 不思議と笑いがこみ上げる。

「不気味って言うんなら、オレの方がよっぽど、だよなあ」

 左胸に触れてみる。
 熱い炎が突き刺さっている。

「痛むの?」

 不安げな声に、応えるように炎が大きく燃え上がる。
 知ってるか、シャーラ。
 オレがお前を助けることは、仕事とか使命とか、そんなんじゃない。
 それが、当り前のことだからだ。困ってる女の子に手を差し伸べるなんて、ね。
 伝説なんて、後から勝手にできあがるもんだろ?

「面倒だな。お前の力、借りてもいいか?」
「ハイ!」

 指輪が朱く輝いた。
 魔法の力を解放し、すべてを薙ぎ倒して駆け抜ける。

 命は、物語の終わりまで、決して尽きたりしない。






おわり。






ひみリン、大好きだ!
なんであんなにソニックかっこいいんですか!?


2009.02.16


--- ブラウザ・BACKでお戻りください。 ---