彼がSWAにいなかった理由〜ナックルズ編
トルネード号の翼から飛び降りたのは、崩れかけた遺跡の前。
静かだけれど、生き物の気配に満ちた穏やかな森の中心。
白い石壇の上には、蛍火のようにふわりふわりと明滅を繰り返す巨大な宝石、マスターエメラルドが祭られている。
「Hey, Knuckles! 久しぶりだな」
階段を上がると、最上段に寝転がってる赤いハリモグラが面倒臭そうに起き上がった。
「なんだ、ソニックか。ガイアなんとかってヤツとのケンカは終わったのかよ」
「あれ?知ってんの?」
「テイルスが一度聞きに来たからな。ガイアの遺跡は知らないかって」
ふーん、と軽く返事する。もちろん知らなかったんだろう。知っていれば飛び出してくるに違いないから。
手袋越しにマスターエメラルドに触れると、カオスエメラルドとは違う、丸みを帯びた癒しの力がぬくもりになって伝わってくる。ナックルズはちょっとイヤそうな顔をしている。勝手に触るなって声が聞こえそうだ。
「なあ、マスターエメラルドに何か変化はなかったのか?」
「別に。特に。何も」
「Really!? カオスエメラルドは大変なことになってたっていうのに」
不審がるナックルズに、カオスエメラルドが力を失ったことの次第を話す。
Dr.エッグマンとの戦いでスーパー化したものの、罠にかかって力を奪い取られて。
「それじゃマスターエメラルドは反応しないな。もともと、カオスエメラルドを使う者の力によってこの世に災いが起きる時、マスターエメラルドがそれを抑えるんだろ?」
「使う者の力…?」
「エッグマンがカオスエメラルドを使ってこの星をぶっ壊したんならともかく、お前は災いを止めようとして「光の力」を使ったんだ。それは奪われても力の性質を変えない。この星を壊したのが「光の力」なら、あながち間違った使い方ってワケでもねえし」
闇を目覚めさせるのは光のみ、そういうことか。
エッグマンの行動にはちゃんと裏付けがあるんだよなあ、と変なところで納得する。
が。
ナックルズがニヤニヤ笑ってる。
「騙された、だってさ」
「いつも騙されてるナックルズに言われたくないな」
「へえ。けど、いくら俺でも、騙されて星をぶっ壊したことはねーよ?」
Shit!
ムカつくが事実だ。
「じゃあ、ナックルズはずっとここにいたってワケか?」
「ああ。マスターエメラルドと一緒にエンジェルアイランドにいたぜ。星が割れた時も揺れは感じなかったな。だって最初からエンジェルアイランド浮いてるしー」
とんだ鈍感なんだろうか。それともマスターエメラルドの守護か。きっと前者。
「夜は?何ともなかったか?」
「夜はあった!地面から湧いて出るヤツだろ?最初わかんなかったけど、チャオが騒いで教えてくれたんだぜ。デカいヤツは強くて面白かったな」
「…お前、戦ったのか」
ナックルズが拳を握ると、その先にジャキーン!と硬い爪が現れた。
ま、今無事ってことは、それなりに頑張ったんだろう。
「ところで、ソニック。さっきから気になってたんだが、腕にあるのは何だ? アミュレット?」
「Yes! よく聞いたナックルズ! 説明してやるから途中で寝るなよ?」
very special friends, you too...
おわり。
こんな話だったらいいなー的な!
2009.02.14
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