その森は深く深く、どこまでも濃密な緑で、そのくせ花も無く、樹液も無く。



1upキノコ



 食料が尽きる前にと手分けして探しに来てみたものの、自分達が歩いた方角がハズレだったことにビビは少なからずため息が漏れる。
 けれど、連れのソーマは何か目当てのものがあるようで。

「なあ、そろそろ戻った方がいいんじゃないか?」
「いや、この地形ならきっとアレが…あ、あった」

 ソーマが見つけたソレはどうみても岩。迷い無くソレをガツンと叩き割ると、中から水玉模様のキノコが現れた。
 そして、なんとそのキノコはスルスルと動いて逃げ出したのだ。

「こらっ待て!…捕まえた!」
「…ソーマ、それキノコか?動いたように見えたんだが」
「北の森にもあったんだ。食べると大きくなるって」

 何が、とはビビは聞かなかった。
 しかし、怪しさ大爆発のキノコだ。

「それホントに食えるのか?」
「当たり前だろう。何なら毒見してやるよ」
「…毒見よりもパムに鑑定を頼んだ方が良さそうだ」
「大丈夫だって。実は俺の好物だから」

 えー?
 ビビがギモンの声を上げる前に、傘の部分にソーマがかぶりつく。
 …なんだかとってもアヤシイ気分になる図だった。

「なあ、ホントに大丈夫なのか?それ」
「へいきだってー。うたぐりぶかいなあビビはー」
「北の森ってみんなそのキノコを食べてたのか?」
「おとなだけー。こどもはたべたらおこられたー。てか、あつい」

 いつの間にか、ソーマはほんのり上気して薄く汗を滲ませてる。そばにビビがいることも全然気にせず、コートも上着も脱ぎ捨てた。普段ではありえない。

「だ、大丈夫じゃないだろ!?毒じゃなきゃ幻覚キノコだぜ!」
「あ、キノコがにげー」
「追いかけるな!」
「あははははー。ビビっていいやつだよなー」

 見事な酔っ払いぶりに叱ってやろうかと思ったビビだったが、ソーマの目を見て何も言えなくなってしまった。
 …瞳孔が開いてて、そりゃもうキレイだったから。
 そこらの女よりも(バビ含む)、かなり、いい。

「…ソーマ、お前な、俺、男になるぞ?」
「おれもおとこだけどー」
「わかったわかった。今日のところは耐えてやる…」

 でも、一回くらい、キスしてもいいよな?
 ソーマのキスは甘い果実の味がした。そんな歌あったっけ?

 もうこのキノコを食べさせるのはやめておこうと、心にキメたビビだった。



「食料見つけた〜珍しい、動くキノコ」
「ブー、てめぇ…」

 ポヤヤンとへたばってるソーマの元に、ふたり目合流。



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2upキノコ



「いったいそのキノコはなんなんだ!?知ってんのかブー?」
「うん、端っこのピラピラしてるところがウマイ〜」

 ピコピコと身をよじって逃げようとするキノコの傘に、ブーは慎重に噛み付いた。
 上半身裸のソーマがパッと跳ね起きて、目をキラキラ輝かせた。

「ブー、キノコたべたー!!」

 そのまま巨漢に飛びつく。ブーがソーマを抱きとめようとした時にまたキノコが逃げ出した。

「なあ、なめていい?なめていいー?」
「ソーマもキノコ食べたのか?子供には刺激が強すぎるのに…」
「うるさーい」

 強気を滲ませつつ甘えるソーマが可愛らしくてたまらない。
 そうこうしてるうちに、さっきのソーマと同じくブーも汗をかきはじめた。こっちはとっても暑苦しそうだとビビがゲンナリしていると、何を思ったか、ソーマがその汗をペロリと舐めた。

「げー!何やってんだソーマ!?」
「ビビ知らないのか?あのキノコ食べると汗が甘くなる」
「だからってブーの汗…」
「おいしいよー?」

 いい大人(巨漢)のうす汚れた首筋や胸(実際ブーはキレイ好きだからあまり汚れてはいない)に、線の細い少年が舌を躍らせている…。
 ソーマがやってることだと思えば、なおさらビビにモヤモヤが積もる。

「ブーもソーマ舐めたい」
「いいよ。…ひゃっ…やっああっ!!…そこはだっ…ひゃははははっ!」

 脇から胸に一気に舐め上げられて、ソーマは盛大に笑い転げた。
 ビビは自分の理性がプチっと切れる音を初めて聞いた。

「そんなに甘いんだったら俺も舐めていいか?」
「えー?じゃあ、ブーはおれがなめたいから、ビビはおれなめていいよ」

 できればブーは舐めたくなかったからビビには丁度いい提案だったりする。
 素で不満そうなブーに、「なみだがでたらブーにあげるっ」ということになった。
 ビビはソーマの背に薄く浮いた汗をチロっと舐めてみる。

「…マジで甘い。そんで、ウマイかも…」
「あ…やあっ、くすぐったいよビビ…、わきはいやだって…あは…んっ!」
「あ、涙出た出た。…うん、甘露甘露ー」
「…う…なんか、きもちいいよぅっ!ビビ、おれ、おいしい?…いっ…はあ…ああっ!!」



 ばひゅーん ばひゅーん
 ビビとブーが吹っ飛ばされた。

「何やってンの!?あんたたち!!」

 燃え上がる怒りの炎につつまれたバビと、隣に立つパムの手にはニョロニョロ動くキノコ。



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3upキノコ



「いったい何やってんのよ…?男3人絡んじゃって」
「あ、そのキノコ!」

 ビビとブーはバビのつる草ロープでギリギリに締め上げられてしまったので、詳しく説明できるのはソーマだけなのだが、状況が状況だけに…。
 フラフラと逝っちゃった目で接近するソーマに、思わずバビはムチを振るって手首を捕まえてつるし上げた。
 キノコ、と指摘されて、パムが手の中のモノにかぷっとかぶりつく。

「…発汗、分泌物の変化、感覚の鋭敏化…主に快感…」
「何よそれ?」
「ようするに、びようとけんこうとダイエットにすごくいい」

 次の瞬間、パムの手からキノコが奪われ、あっという間に水玉模様の傘がなくなった。

「あー!ぜんぶたべたー!」
「泣くなっソーマ!…う、…ふっ…あつ…あっつー!!なにこれ!」

 バビの体をビリビリっと快感が突き抜けて、へちゃりと座り込んだ。これでは動けないっ!
 意識が熱くて遠くなる。
 しばらくじっとしてるしかないなーと、吊りっぱなしソーマに歩み寄るパムをじっくり観察することにした。

「ソーマ…おいしそう…」
「え……や、やめろって、パム…あ、いあああっ!!」

 パムの舌がソーマの臍あたりから滑って、赤く色づいた胸の飾りに軽く歯を立てた。
 痛みにソーマが頭を振って叫んだので、今度は優しく舐めて吸い付く。

「はっ、あ…んっ!あついよ、パムっ…もっ、もっとしてっ」
「可愛い…」
「い…やあ…、は…パ…ム、そ、そこが…」
「体液、糖度18%」

 パムはにっこり笑って、二つの赤い実を指で押し潰す。こぼれてくる涙と涎を舌ですくって、そのまま深く口付けた。
 ぴちゃぴちゃ絡む水音と、漏れる吐息が静寂を支配する。

 傘が無くなってもピクピク動くキノコを握りしめてるバビはなんだか面白くなくなってきた。
 自分よりも濃いフェロモンが出てるヤツを許せないのだ。オンナとして。
 カーっと熱くなってるのも、自分がオトコにモテないのも全部ソーマのせいのような気がしてくる。
 改めて手の中のキノコを眺めて、ニヤっと笑う。

「ソーマ、もっと気持ちよくしてあげようか?」
「あ、なにする…わあっ!」

 吊るしたままソーマのズボンをひき下ろして、下穿きの中に残ってるキノコを突っ込んだ。
 顔を真っ赤に染めて、逃げ腰になってるソーマを眺めて、バビはちょっとだけ満足した。
 酔いが回ったパムが今度はニコニコ見物モード。

「た、たすけて、ゆるしてっ」
「許してやらないっ!えい!」

 ピシッ!軽くムチを打つ。白い背に、肉の薄い太ももに、数本の赤い線をつける。

「いっ!いや、だっ!…うぅっ!…う…!」

 痛みだけではない善がるソーマの悲鳴を聞いて、バビもだんだん満足してきた。
 ソーマを吊るすつるを切ってやる。

「…あたしの足をキレイにしてくれたら許してあげる」

 ぼんやりと、それでも嬉しそうな顔で、ソーマがのろのろ這ってバビの足元にたどり着く。
 バビの足の甲を舐めて、踝、爪先も丹念に舐めていく。

「バビ、…あし、おいしいよ?」

 上目遣いのソーマに、今度こそバビも満足した。大満足。よっしゃー!



 ごごごごごごごごごごご
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴー!

 局地的大竜巻発生。
 バビとパムは一気に上空1000mへ移動した。

「ソーマ!!ひょっとして、気持ちよければ誰でもいいの!?」

 いわずもがな…森の守護者。



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4upキノコ〜ファイヤーボールフラワー〜



「ソーマ…、ソーマどうしちゃったの?」
「ビビとキスされて、ブーになめられて、パムにちくびせめられて、バビにむちでうたれて」
「だから、どうしてそうなっちゃったの?変…っていうか、ソーマ!?」

 かくん、と膝を折って前のめりに倒れる。抱き起こそうとしたソーマの湿った甘い吐息に触れて、ポポの背にゾクゾクする快感が走った。
 ソーマの唯一残った下着の後ろ側がモソモソ動いたので、ビックリしてそれを剥ぎ取った。

「…ソーマ、何か、生えてるけど?」
「キノコ…なかに、はいっちゃう」
「これ、キノコなの!?どう見ても、エロい棒だよ?」
「たべたらかくかくしかじか、あまくなる…きもちわるい…ポポ、とって…」

 棒の部分だけが残ったキノコは必死になってソーマの中に逃げようとしていた。
 僕専用の場所なのに!とムカつきながらそいつを引っこ抜こうとしたら、安堵でソーマの力が抜けて、ついでに追いすがるような声が漏れて。
 ポポはなんとなく意地悪したくなった。
 半分引っこ抜いたキノコから手を離すとまたそいつは中にもぐっていこうとする。

「やっいやだーっ!ぬいてくれぇ!」
「僕以外に変になっちゃったソーマを見せたんでしょ?僕も見たいなー」

 もう一度ソーマを立たせて、その手を充血した男の子の部分へ導いてやり、ポポはその前に座った。

「手、動かして?」
「へ、へんたいっ!ポポのばかっ!」
「手伝って欲しい?」
「い、いらない…い…よ、もう、みたい…んだったら、う…くぅ…は…」

 ソーマが夢中でしごくと、先端から甘い露がぽろぽろこぼれて、ほとんど間をおかず白濁が飛び散ってポポの顔を汚した。

「…ほんと、甘いや。おいしい、ソーマの」
「う、ひっく、ポポ、の、ばか」
「あ、ごめんごめん、泣いてる?本気で泣いてる??」
「ゆるしてやらないっ!」
「ちゃんとするから、ね?ソーマ」

 ちょっと焦ってソーマをなだめる。
 今度こそ、エロい棒化してるキノコを抜いてやると、カタキだと思ってポポはそれの真ん中あたりを噛み砕く。
 キノコがへちゃりとなる代わりに、ポポの男の子のところがかつてないほど大きく張りつめた。ソーマが嬉々としてポポの服を脱がしていく。

「な、なんだよこれ?ちょっと、痛いくらい…」
「あしのところをたべるのがいちばんすごくなるんだ。だいじょうぶ、おれがなんとかするから…」
「なんとかって…ソーマ、メチャクチャになっちゃうかもしれないよ?」
「いいよ。そのかわり、ポポからでるものはぜんぶおれがなめるからな」
「火の玉みたいなのが出ちゃいそうだけど」
「…さいしょに、キスしていいか?」








 翌朝。
 ひと口もキノコを食べなかったビビだけ、なんだかナマナマしい記憶が残ってる。
 他全員キレイさっぱり忘れてたり、ソーマを筆頭に肌艶キラキラだったり、食糧難の空腹も辛くなかったり。
 それでもやっぱり食料探しはしなくちゃいけないわけで。

「キノコ狩り〜キノコ狩り〜♪」
「やめとけってば…」

 森の道を楽しそうに歩いてるソーマに、ビビは何度となくため息を吐いた。




おわります。





朝チュンはロマンです!!(絶叫)
・・・ごめんなさい(涙)

2006.05.15-19


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