母の悲鳴でソーマは目を覚ました。
 声を頼りに母を見つけると、赤い焔に照らされてデュークに犯されていた。声は悲鳴ではなく嬌声だった。
 ソーマが見つめてもふたりは交わりをやめようとせず、ひたすらに快楽を追い続け、やがて果てた。
 純粋に、母のことが美しいとソーマは思った。




連鎖




「デュークは、母さんを、愛しているのか?」
「愛などいらぬ。チョークは私にそんなものを求めてはいない」
「お前は、母さんに何かを求めてるのか?」
「チョークは美しい。最近はお前が関わるようになって、不安定な危うさが増した。それも女を磨かせる」

 デュークは卓のアルコールを煽る。
 1つの征服が終わり、新たな欲望に凶暴な笑みを閃かせる。
 愛など、消えうせた。

「お前と同じだ、ソーマ。忘れたくても忘れられないのだ、この女は」
「俺は、何も」
「ポポはお前をどんな風に抱いた?」

 ポポは、
 強引に心に割り込んで、
 手に触れ、髪に触れ、耳に触れ、唇に触れ、そして、
 優しい傷痕を残していった。

「いい顔だ」
「俺は、何も、いらない・・・いらないのに!」

 デュークの指がソーマの顔の傷に触れる。
 顔を上げると、デュークが噛み付くようにソーマの唇を奪った。
 その舌に残るアルコールの香りに、一瞬で火がついた。

「忘れさせて、くれるのか?何もかも、全部・・・」
「お前次第だ」

 優しさの欠片も無い交わり。
 ソーマはひたすらにポポのことを想っている。
 忘れたくても忘れられない、傷を裂く行為をデュークは楽しんでいた。




おわる。





ヒトトシテ、マチガッテマス。ワタシガ。
アレだ、ソーマはポポのことを想いつつ、チョークは過去のデュークを想うのよ。
どちらも取り戻せそうで、戻らない。

2006.05.11


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