突き刺さる叫び。
 小さな丘に捧げられた野いばら。




光陰




 グルムの剣に添うように、ソーマは笛を置く。
 そこに眠るものに捧げる心も無い、からっぽの自分。
 崩れ落ちる感情は冷たい。

「アクティオン・・・なの?」
「そうだ」

 待っていた声がしても、ソーマは振り返らずにその音だけを聞く。
 はたはたと、雫を落とす。熱の篭る嗚咽。

 何もかもが正反対だった。

「どうして、こんなことに・・・」
「俺がグルムに命じたからだ」

 驚き、怒り、悲しみ、溶け合った視線は真直ぐにソーマを刺す。
 動じることなく受け止めて返すと、自然と頬が緩む。

「アクティオンを囮にポポを捕らえろと、そう言ったんだ」
「なんて、ひどいこと」
「ひどいのはお前だろう?」

 何故だか解からないような顔をするポポ。

「守護者の証も渡せない、自分の命も渡せない。グルムもアクティオンも戦えなくて結局失くした」
「グルムは戦いたくなかったんだ」
「お前は犠牲を食って生きているんだ、ポポ」

 ポポの否定はソーマの肯定。
 そうじゃない、そんなつもりじゃなかった、呟きながらポポの胸には後悔が満ちる。

「わかってるさ。お前はいつまでもきれいなままでいればいい」

 ソーマは手を伸ばして、ポポの頬を伝って落ちる涙を指ですくって舐める。
 優しい海の味を求めて、さらにポポの頬も舐めて、たどり着いた唇を深く抉った。

 ポポが青く眩しく輝くほどに、ソーマは赤く鈍く陰っていく。
 そのことを知られないように。
 狂うほどの想いをソーマは胸に押し込めた。




おわる





あれぇ?なんかソマポポ?(ココロイキはポポソマなんだが)
ポポはきれいなまま、ソーマは穢れを飲めばいいんです。そういう役回り。

2006.05.08


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