森の民たちが火事に巻きこまれないようにするため、ソーマはかなり強引な手段を用いたらしい。
 確かに水の力を使ったのはポポだが、ソーマがこの森に連れてこなければ何もかもが灰になっていたかもしれないのに。

「弱い者ほど正義を振りかざす、ってのがデュークの持論だったっけ」
「だって、森を救ったのはソーマでしょ」
「おまえだろ。俺は力を振りかざす悪党の方が性に合ってる」
「まったく。いつまでも素直じゃないなぁ」

 激しいスコールの後、たっぷり水を含んだ森は熱病を払う力を取り戻したようだ。
 雲が切れた星明りの下で、ふたりは竹の葉を高いところで幾重に合わせて仮の宿を作った。

「パムには10日で帰ると言ってきたけど、どうする?普通に歩けば10日、早道すれば7日」
「じゃあ早道する」
「家族思いだな」
「それもあるけど、ソーマと一緒だったらちょっとぐらい危険な道でも楽しいから」

 面倒は御免だと言いかけて、ソーマは少し考えた。

「途中、遺跡らしいものがあるんだ。寄り道してもいいか?1日余計にかかるが」

 いいよ、と答えて、ポポは旅装の手入れをはじめるソーマをぼんやりと眺める。
 いつまで、一人旅を続けるんだろう。

「ソーマ、お嫁さんいらない?」
「そうだな、おまえの娘だったらいいかも。名前がパピプペポ系で笑えるけど」
「うるさいな。かあさんの名前を貰ったんだからいいだろ!小さいピアはまだ2歳だからダメ」
「冗談だって」
「じゃあ、冗談じゃなくて、ぼくたちの森に住まない?帰る場所じゃなくて、いつもいる場所に」
「…プロポーズ?」
「茶化さないでよ。ぼくは、」

 チカリ、チカリ、影を作るほどの星が流れた。
 久しぶりだ、ソーマが空に向かって呟いた。
 この星に降り注ぐソーマへの愛。

「俺は、もう一度飛ぶ。今は俺が追いかける番だから」

 ソーマが手を伸ばした先に星空色が現れて、それがチョウだとわかったときにポポに眠気が訪れた。
 サーカス団のみんながさ、ソーマを蝶を出す手品師って宣伝したら人気出るって言ってた。
 懸命に意識を保ちつつも最後は寝言になった。

「それはとっくに実践済みだ」

 その夜、星はずっと降り続いた。



「ねえ…遺跡ってまだなのー?」
「崖登り始めてまだ半日も経ってないだろ?」
「やること無茶苦茶なんだよ、ソーマは」
「付き合うって言ったくせに!文句言うなポポ!」

 滑って転んで痛い目にあって、遺跡でも酷い目にあうのはまた別の話。



おしまい。






謎。10年後の彼らってどうなってんの?ムシワールドの時間設定って結構謎。

何がやりたかったって、「果て無き冒険スピリッツ!」(番組違う)
ポポとソーマがファイトー!イッパーツ!をやったら楽しいんじゃないかと♪
物語中盤、ソーマが仲間でいた頃。
ポポとソーマふたりなら、何でもできそうだった。世界征服だってできるぞ!(笑)
だから別れたんだよなぁ。
もうちょい子供でふたり旅もええなあ〜でもパムがいるからダメーてことでこの設定。

あ、「別の話」は書きません。続きの話になります。多分


2006.04.19


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