秘められた都には訪れる者も無く、気まぐれに唄うわたしたちがいる。

昔はここにいたのは、遠い星からたどり着いた最初の民。
かりそめの地に根付くことなく、遠い星を夢見ながら光になった。
都は太古の夢。
最初のわたしが唄うのはそんな夢。

旅をしたわたしたちが唄うのは、森の夢。
未来にあらわれる、わたしたちを導く者。
かりそめの地に根付いた光の、遠い星へ帰るための道標。
森の民に贈ることができる唯一のうた。

「お前達も帰りたいか。かあさんと一緒に」

黄昏色の髪の旅人がつぶやいた。

「ならば、一緒に往こう。それならきっと、淋しくない」

淋しい都。
わたしたちの他には誰もいない都。
そう、わたしたちには帰りたい場所があった。




20.遺跡




38話前。感傷屋のソーマさまがパムたちに語り掛けないハズはない。(笑)

2006.04.09


--- ブラウザ・BACKでお戻りください。 ---