「上弦の月」
真っ白な半分だけの月。
引き絞った弓のような。
「なんだかソーマの横顔みたいだよね」
いつも、ぼくが振り返ると、ソーマはぷいと横を向く。
何かに迷ってた。
何かを消そうとしていた。
「違う。あの月は横顔じゃない。まっすぐにポポを見つめてる」
正面からまっすぐ、射抜くように。
半分だけ光の当たった顔は、きれいすぎて、恐い。
いつも横を向いていたんじゃなくて、いつもぼくを見てたんだ。
ぼくの前に立ったソーマは、敵と対峙したときのソーマだった。
勇敢で、強くて、容赦が無い。
「上弦の月は影がよくみえる。きっと、ソーマも同じ」
「知らなかった。影なんて」
「光が強すぎるから。ポポは、影を受け入れられる?」
ソーマの影?ぼくの影?
闇が深くて、恐いよ。
08.弓
パムはソーマが全然恐くない。(笑)
2006.03.28
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