花が千切れる。

ポポと戦って、追い詰めて、追い詰めて、あと一歩のところで勝利を手にすることができない。
守護者の証はこの子の勝利の証でもあるというのに。

花を千切るのは、優しさを忘れるためか。
それとも。

「協力してくれるよね、かあさん?」

ソーマは地に落ちた花を集め始めた。
あぁ、嫌な予感がする。

「協力してくれるよね!?  か あ さ ん !」
「機嫌が悪くて花を千切ってたんじゃないのかい?」
「一石二鳥だろ?」
「はいはい」

私は苦手だったんだ。
花粉ダンゴ作り…。
ソーマは手際よく蜜と花粉をこねてまとめる。
慣れた様子が幼い頃からの苦労を思い起こさせる。

「…かあさんは花粉を集めて。下手なんだから」
「悪い母親で、ごめんね」
「悪い息子だから、丁度いい」

むしりとった花びらが、甘い香りと一緒に風に舞った。




06.花



31話から。
うちのチビズが花粉ダンゴを作れとうるさいです。
どーやって作ればいんですか!?(涙)

2006.03.26


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