オレはギラファノコギリクワガタ。
名前なんてモノは無い。ただのギラファだ。
ジャングルの一番てっぺんの木で自由に過ごしていたのだが、オウゴンオニクワガタと樹液の奪い合いを繰り広げているうちに、気が付いたら変なヤツラに掴まってるわ、ハイテンションドクドク風呂に浸けられちまうわ、ここんとこロクなことが無かった。

オマエの新しい主人だよ〜
なんて、露出過多な女が言い出した時にも正直アゴがギリギリしたけれど、新しい主人となったソーマはオレのことを気に入って可愛がってくれた。
気も荒くてムシ使いも荒くて大変だったけれど、何故か放っておけない。

何でソーマはあんなにいつもギリギリしてんだか。

ちょっとオレと似てるのかな〜
気になりだした頃にはもう手も目も離せないほどだった。
オレが?このギラファが!?

とうとうソーマは昔の仲間の所へもどる決心をした。
ついでにオレをグサッと一突き。
一瞬マジで死ぬかと思ったけど、助かったのは愛の力だな。きっとそうだ。間違いない。
自由になった、どこに行ってもいい。
そうソーマは言ったけれど・・・離れられるワケないだろ。

最近のオレのムカツクことは、チビムシのことだ。
ズルいと思わないか?
大きくなってこのオレサマと互角に戦ってみたり、小さくなってソーマと喋ったり・・・。
オレだって小さくなってソーマと喋ってみたい!!

「ギラファ」

あ、はいはい。なんだよ、ソーマ。

「いつもオレのこと、守ってくれてありがとう。助かる。・・・これからも頼む」

おう、決まってるだろ!
これからもオレの大アゴがオマエを守るぜ!
主人とか、そんなんじゃなくて、ソーマはオレの小さな仲間なんだから。




04.小さき仲間



ギラファがちっちゃくなってソーマさまの頭に乗ったら・・・。
ちっちゃいセランちゃんと場所取り合戦かしら。

2006.03.24


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