Happy Birthday Dear Mwu
マリュー・ラミアスは悩んでいた。
晴れて恋人になったムウ・ラ・フラガの誕生日は目前。なのにまだプレゼントが決まらない。
「何がいい?」と聞いても「なんでもいい」なんて。
他の人にはいろいろ注文してるのに。
何かをプレゼントしても、きっと重なってしまう。
「ねえ、何がいいと思う?」
アークエンジェルの食堂に集まっていた少年組が相談相手。
「この間のマリューさんのお誕生日の時に思ったのは、マリューさんの笑顔が見れたのがプレゼントだと思ったんですけど」
「そうですわね、アスランのお誕生日の時も、笑ったお顔のアスランが見られたのが良かったですわ」
キラとラクスは一様に「笑顔」だと言う。
でもムウの最高の笑顔って?
「いっそマリューさんでいいんじゃないのか?」
「一日くらい…いいかもしれませんね」
カガリもアスランも適当なことを言う。
マリューも実はそれも考えた…けれど、あまりにも…普通じゃないの?って思ってしまうあたり、かなり現状に甘えてるかもしれない。もちろん自分が。
ムウの笑顔、ムウの笑顔…、ムウの最高の笑顔…。
「そうだわ!これにしましょう!」
ポンっと手を打ったマリュー。
「みんなにも協力して欲しいの!…いい?ごにょごにょごにょごにょ・・・・」
「「えええええーーー!」」
「そんなの、マリューさんお一人でやってくださいよ!」
「俺たちがやっても、ムウさんが喜ぶような結果になるとは…」
「何言ってるんだお前ら、面白そうじゃないか!」
「わたくしにお任せください♪」
「ということで、決定事項です。絶対の艦長命令ですからね」
一部文句をブー垂れる連中はさておき、いったい何するツモリでしょう?マリューさん??
艦長命令は瞬く間にムウ以外のAAクルー全員に知れ渡ることになる。
が、あんまりブー垂れるヤツがいなかったのは、モトモトお祭り好きが集まってるからでしょうねぇ。
ムウも、なんとなく周囲が浮き立っていることに気付いてはいたが、そのうち解かるでしょうと、鷹揚に構えていた。
そして、11/29がやってくる。
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その日の朝、ムウが目覚めると眠るときには隣にいたはずのマリューがいない。
寝坊したかと思って時計を確かめると、まだ起床時間には30分ほどあった。
が、まあいい。折角自分の誕生日なんだし、早起きして他の連中を困らせてやるのも。
着替えて、朝食を摂りに一般食堂へ行くと…
「なんじゃこりゃ」
そこは、仮装大会だった。
手前の席にキラがいるが、いつもの彼らしくなく朝食トレイにがっついて食べてるのは?
「おい、キラ?これは一体…」
「るせー、三蔵!ハラヘッタハラヘッタごはんごはん…」
「…三蔵?」
「あ、似てるけど声が違いますよね。おはようございますムウさん。僕は今日一日孫悟空です」
「孫悟空って西遊記の?」
「最遊記!あ、これ、お誕生日プレゼントです」
差し出されたのはデータディスク。頼んでおいたハッキングで資料かっぱらいだ。
受け取りながら、他の連中を見渡す。
キラの前にはミリアリア。えらく…言ってはナンだがヘンテコなドレスを着ている。
「お嬢ちゃんは一体何?」
「・・・とよぐちー!もう、わっかんないわよねぇ!普通こんな格好したって。はい、三日月堂のキャンディーです」
文句言いながらも嬉しそうに可愛らしくラッピングされた小さな袋をムウに差し出す。
後ろを振り返ると、なんだか昆虫仮装な整備班が…何故昆虫なのだろう?
「今日って、ハロウィンだったっけ?」
ムウのつぶやきに応えたのは、水色のドレスを着たカガリ嬢だった。プレゼントはオーブの武術読本。
「先月ハロウィンやってなかったついでと、フラガを笑わせたいってマリューさんが仮装を思いついたんだ」
「んで?お姫さんは?」
聞いてやるなよ。ムウ…。
「シ、シ、……シンデレラ」
ムウがぷっと吹き出した。次の瞬間カガリから鉄拳が飛ぶ。
マードックが赤いツナギでマリオってナニソレだったり。
ラクスがステッキ振りつつ魔法のプリンセスだったり。
恥をかなぐり捨てたアスランがギンギラギンの衣装で踊り狂ってたり。
普段と変わってるんだか変わってないんだか相葉昴治なサイだったり。
ランニングスタイルでグリコをキメるトノムラだったり。
青のごっつい軍服?でえらそうにロイ・マスタングなノイマンだったり。
結構楽しめてしまう。
さて、マリューはどこだ?何を仮装してるんだろう?
ムウが、自分も鼻毛戦士でもしようかと考えながら艦内をブラブラしていると…
♪チャララチャンチャチャンチャチャチャチャンチャン
「あ、やっぱり?」
「月にかわっておっしおきよー!」
くるくるくるくる〜したっ!キメポーズも鮮やかに・・・登場したのはラクスでした。
「あれ?マリューは?」
「それは私のセリフ!」
ムウの後ろからマリュー登場。少し涙目。
「申し訳ございません。一度やってみたかったモノですから♪ではお邪魔しました〜」
ステッキ振り振り去ってゆくラクス…ちびうさ?
マリューはガックリとうなだれてしまっている。セーラーが眩しい。
「よしよし、悲しんでもいいよ、うさこ」
「うわーん!まもちゃーん!」
…キャラが違います。が、まあヨシとしてください。
「で?結局マリューからの誕生日プレゼントって何?」
マリューがハズカシそうにフキダシに汗マークをくっつける。
「私。…じゃダメですか?」
「構わないよ。だけど…」
「だけど?」
ムウがイタズラっぽく笑う。
「用意してあるんだろ?エンディミオンも」
「…タキシード仮面でもいいですよね?」
「上等♪」
ムウの誕生日はみんながそれなりに苦心して、結構楽しい大仮装大会。
クルーたちからプレゼントを貰いつつ、ご満悦なタキシード仮面。
マリューはちょっとだけ不安。
本当にコレでよかったのかしら、と。
「ムウ、誕生日、喜んでもらえた?」
「あったりまえだろ、プリンセスセレニティ。こんなに楽しい誕生日は初めて。…来年もネタ変えてやろうな!」
心底楽しそうな笑顔で、ムウが軽くマリューにキスをする。
こっちのエンディミオンは軽いわよねぇ〜なんて思いつつも、幸せだから構わないと思っちゃうマリュー。
…かなり現状に流されてるかもしれない。
お、終わってもいいですか?(end)
ひー!すんませーん!
実はセラムン、一回だけ漫画で読んだだけで全然知らんのです!(汗)
ファンの人ごめんなさい。
仮装ネタでさらにごめんなさい!
ムウ兄、お誕生日、楽しんでください。
2003/11/25 UP
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