「アスラン・ザラ、ねぇ。プラント最高評議会ザラ議長の子息で、ザフト軍特務隊、おそらくトップガン」

 フリーダムの隣に休息の場を与えられたジャスティスを眺めながら、ムウがつぶやく。何時に無く、渋い口調。
 整備された個所を確認しながらそのつぶやきを耳にしたキラ。

「信用、できませんか?」

 キラの答えにも棘が混ざる。
 ムウが苦笑う。争うつもりなど無いから。

「なあ、キラ。お前、俺たちの立場って解ってるか?」

 立場?
 立場なんて、キラには関係無い。

「僕は、僕の望むもののために戦いたいだけです」
「そうだな。旗が無くなっただけで、俺だって何かが変わったって気はしないなぁ」
「旗?」
「そう、地球軍の旗。今仰ぐのはオーブの旗でもない。欲しいものがオーブと同じだから、一緒に戦ってる」

 欲しいのは、争いの無い空。自由に飛べる空。

「俺たちは地球軍を脱走して、かつての味方を撃った。もう戻るなんてことはできないさ。だが、あいつはどうなんだ?」

 ジャスティスの足元に視線を投げる。
 ムウにつられるようにキラも、視界にアスランを探す。

「ザフト軍が中立のオーブを支援するのがマズイってこと、キラも解ってるだろ?ザフトも地球軍も、どちらも味方にできないんだ。敵の敵は味方じゃない。建前が守れなくて、理想が語れるか?」

 アスランはキラの危機を救ってくれた。
 敵対する意志もないのだから、協力してくれるのかもしれない。
 でも、期待してはいけない。

「お前の友達が信用できないんじゃない。けどな。このままじゃ、あいつも、帰る場所を失うぞ」

 ザフトとして戦うのか、ザフトを抜けて戦うのか。
 抜けたら、もう帰れないかもしれない。
 曖昧は許されない。
 決断を求めるムウの眼は厳しい。
 キラは、ムウの切り捨てられた感情に気付く。

「…少佐は、帰れなくて、後悔してるんですか?」
「んなわけないでしょ。最近のお前を見てると後悔するのがバカバカしい」
「なんですか、それは」

 反射的に答えて、かわされたことに気付く。
 一瞬前までの厳しさはどこかに隠し、キラの肩を軽く叩く。
「仮眠しておけよ」
 そう言って去っていくムウを、キラはただ見送った。

 後悔、しないわけがない。
 今は全てを断ち切って。
 前へ。


end



書きたいことを書きました。
が。
一瞬のフラキラショットにここまでアスラン絡むか!>自分
折角の、折角のフラキラなのに!(好きです。フラキラ)

2003/07/10 UP


--- SS index ---