「事情聴取」2


 早朝0430。
 食堂スペースのディスプレイは外の、薄く夜の明け始めた大地を映している。
 映像じゃなくて窓ならいいのに、なんて考えつつコーヒーを啜っていると。
「あれ?フラガ少佐、お早いですねぇ」
 0500に交代するために軽く食事を取りに来た青年士官が一人。
「なんだ、トノムラかぁ」
「なんだじゃないですよ。今日はバジルール中尉と街へ買出しに行くんじゃなかったんですか?」
「うーん、それなんだけど…。あ、オマエに代わってやるわ」
「え?なんですか、それ!?」
 突然の提案にトノムラが歓喜の声を上げる。
 久しぶりの地球で、知らない街とはいえ出かけるとなると無条件で嬉しい。
「ちょっと用事を思い出して。艦長には俺から話すからさ。仕事も代わるし」
「いえ、今日はこの早朝当番だけ…の予定なんですけどね。でも、いいんですか?」
「いいっていいって。そーだ、ケバブ買って来いよ」
「ケバブ?軍装か何かですか?」
「食いモンだよ。って知らねーのか?美味いぜぇ!ソースも一緒に頼むわ」

「うわっおはようございます!」「おはようございます」
 続いて食堂に入ってきたのは、トール・ケーニヒ、ミリアリア・ハウ、両2等兵。
 トノムラはサンドイッチをかじりながら、軽く手を上げて挨拶に答えている。
「おはよーさん。学生組の早朝当番はオマエさんたち、2人?」
「ええ、そうですけど…」
 戸惑いながら答えるトールに、最初に会ったときにキラを庇ったことを思い出す。
「ちょっと、聞きたい事があるんだけどいいか?ここじゃあナンだから、後でブリッジで話すが」
「あ、はい」
「じゃあ、急いで朝食食べちゃいますね。少佐も食べます?」
 ミリアリアが明るく笑って、サンドイッチの皿を差し出した。


2003/03/29 UP


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