月の真実
「結構便利なモンだな。こんな虚名でも」
砂漠のレジスタンス、明けの砂漠のアジトへ招かれることになったアークエンジェル。その場にムウがいたことは相手方にとっても非常に交渉しやすかっただろう。
「いくら地球軍の新造艦とはいえ、艦長がこんなに無名では話にならなかったでしょう。少佐がいてくださって助かりました」
「俺は何にもしちゃいないよ?」
「ただの虚名なら、こんな砂漠にまで少佐の名前が知れることなんてありません」
エンデュミオンの鷹。モビルアーマー1機でザフトのジンを5機撃墜。
それは特殊なことで確かに目立つ。
けれど、ここまで育て上げられた虚名には理由がある。
「それでも、虚名なんだよ。それは」
エンデュミオン・クレーターで起こった出来事。
用意周到に張られた罠、サイクロプスに敵を引き付けるための餌だったムウの部隊。
生き残ったのは僅かだった。敵も味方も。
「…お嫌いなんですか?そう呼ばれるのは」
マリューが詫びるように、真摯な目を向ける。
わざわざ軍の穢れ切った部分を教える必要もない。
ムウは薄い水色の空に欠けた白い月をみつけて、全ての想いを封印する。
「そうだなぁ。ラミアス少佐にはそう呼ばれたくはない」
「…え?」
「他の連中が呼ぶのは構わないさ。今回みたいに便利なこともある。けど……」
言いよどんだムウに、マリューが包み込むように笑んだ。
「了解しました」
end
ここからあの焚き火シーンへ続け!
と、久しぶりに穴埋め妄想でした。(笑)
2004/05/10 UP
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